ポケットモンスター~偽竜の司令官~   作:九戸政景

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第二百八十六話

 スモッグが晴れると同時にユウ達は指示を出した。

 

 

「クロエ、ニャースにひのこ!」

「ウッウ、こごえるかぜ!」

「デル!」

「クエッ!」

 

 

 クロエとウッウは同時に技を出す。ひのことこごえるかぜが並びながら飛ぶ中でネモはワクワクしたような顔をしていた。

 

 

「いいねいいね! そのガンガン向かって来る感じ、ほんっとうにテンション上がるよ! ニャース、メタルクローで打ち消して!」

「グラエナ、バークアウト!」

「ウニャ!」

「ウォウ!」

 

 

 向かって来る攻撃を迎撃すべくニャースのメタルクローが光り、グラエナのバークアウトが響く。威力を失った二つの攻撃が光となって消える中、ユウは眼に闘志の炎を宿しながら声を上げる。

 

 

「まだまだ行くよ! クロエ、力をこめてひのこ!」

「だったらウッウはおいかぜだ!」

「デルビ!」

「クエー!」

 

 

 ウッウの翼が広げられると、ユウ達の背後からゴウッと風が吹く。そのおいかぜによって勢いを増したひのこは広がっていき、ニャースとグラエナを焼き尽くそうとメラメラと燃える。

 

 

「ちょっと威力が上がったみたいだけど、この程度ならまだまだ打ち消すよ! ニャース、もっともーっとメタルクロー!」

「グラエナ、避けてからとおぼえよ!」

「ニャオ!」

「ウォン!」

 

 

 ニャースのメタルクローが輝きを増しながらひのこを打ち消し、ヒラリと躱したグラエナが腹の底からのとおぼえを上げると、クロエは悔しさに満ちた様子を見せた。

 

 

「ルビッ! ガウ、グオウ!」

「ダイブクヤシガッテルシ……フム、ダッタラチョットカンガエガアルシ」

「考え……うん、それをお願いして良い? ただ攻撃するだけというのもそろそろ難しくなってきたから」

「ガッテンダシ! クロエ、ヨークキクシ。ソノイカリヤクヤシサ、アイテヘノシットヲガンガンモヤスシ」

「デル……」

 

 

 クロエは静かに目を閉じる。その奥底で音を立てながら様々な感情の入り交じった炎が燃え盛ると、クロエの体は赤紫色のオーラを纏い、その姿にシュリはニヤリと笑う。

 

 

「ジュンビバンタンダシ。サア、ソノホノオデヤキツクスシ! しっとのほのお!」

「デル!」

 

 

 クロエを中心に半円形の炎が放たれると、ニャースとグラエナは避ける間もなくその炎に巻かれた。

 

 

「ウニャ……!」

「ウォウ……!」

「ニャース!」

「グラエナ!」

 

 

 ニャースが目を回しながら倒れ、やけど状態になったグラエナが苦しそうに前足を折りながら伏せると、シュリは満足げに頷く。

 

 

「ウム、しっとのほのおハアイテゼンタイニアタルワザデチョクゼンニノウリョクヲアイテガアゲテイレバやけどジョウタイニデキルンダシ」

「スゴい……スゴいよ、クロエ!」

「ルビ!」

 

 

 クロエは笑みを浮かべる。その姿を見ながらニャースをボールに戻すネモにゼイユは頭を下げた。

 

 

「ごめんなさい、ネモ。とおぼえがうまく決まったと思って良い気になっちゃってた」

「ううん、新技なんて予想出来ないから仕方ないよ。それにしても……ふふっ」

「どうしたのよ?」

「……ユウってさ、私が出会ったばかりの頃はバトルに自信がなくてやりたくないって感じだったんだ。それからシュリと出会って少しずつ自信をつけてたけど、一度バトルを止めるところまでいってしまった。でも、今はこうしてあんなに楽しそうにスグリ君やシュリと一緒にバトルをしてる。そんな姿を見られるのが本当に嬉しいし、心から幸せなんだ」

「……まあ気持ちはわからなくないわ。あたしもスグが気の置けない仲間とバトルしてる姿見るのは嬉しいから。でも、負けたくない気持ちはもちろんある。ここから巻き返してくわよ、ネモ!」

「うん。さて、ニャースも倒れちゃったし、ここは新メンバーに頑張ってもらいますか!」

 

 

 ネモはモンスターボールを投げる。開かれたボールから溢れだした光はやがて小さな生き物へと形を変えた。

 

 

「あれは……」

「……ショウジキ、ヤッカイデハアルシ」

 

 

 全員が見つめる中で現れたその背中にネモは笑みを浮かべながら声をかける。

 

 

「さあ楽しんでいくよ、ジャラコ!」

「ジャラ!」

 

 

 うろこポケモンのジャラコはネモの声に応えて鳴き声を上げた。

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