第二百九十三話
「私達は帰ってきたぞ、テーブルシティー!」
キタカミの里を出発してから数時間後、テーブルシティのバトルコートに立ったネモが嬉しそうに叫んでいると、周囲の人々の視線がユウ達に集中した。
「うぅ……もう、ネモったら……」
「ふふ、ユウ君は人見知りなところがあるから、やっぱり注目されるのは中々得意にはならないんだね」
「それはそうだよ……ね、ネモ……帰ってきて嬉しいのはわかるけど早く行こうよ」
「あはは、ごめんごめん。でも、こうやって叫ぶのはだいぶスッキリするよ。せっかくだからユウも一緒にやろうよ。一緒に叫んでスッキリしよ?」
「や、やらないから! シュリも何か言ってよ!」
シュリはわざとらしくため息をつく。
「ハアー……コッチハカエッテキテソウソウニイチャコラシテルノヲミセラレテイラットシテルシ。ヨソヲアタルシ」
「そんなのしてないから!」
「ユウ、そうやって声出してる方がより目を惹きやすいよ」
「そうだぜ、ユウ。まずはリラックスだ、リラックス」
「落ち着いていきましょう、ユウさん」
「う……わ、わかった」
ユウ達の様子にジニアは声を上げて笑う。
「あはは、みなさんの元気そうな顔を見たらクラベル先生達も喜ぶと思いますよお。そういえば、ユウさんが譲り受けたモンスターボールには何が入っているんでしょうかあ?」
「たしかに……よし、出てきて!」
ユウがモンスターボールのスイッチを押すと、中からは毛で顔の上半分が隠れたガーディが現れた。
「ワウン!」
「このポケモン……ガーディみたいだけど、なんか少し違うかも?」
「オソラクアカツキヤネモノゾロアトオナジデヒスイノガーディダシ。ケガモッサリシテテマエガミエルノカシンパイニナルシ」
「それは大丈夫じゃないかな……たぶん」
ガーディはユウ達の足元を忙しく動き回ると、ユウの顔を見上げながら短い尾をブンブンと振った。
「ワングフン!」
「人懐っこいのなのかもね。初めましてのユウに対してもこんな感じだし」
「そうかもね。あ、そうだ……せっかくだからあの子も出してあげよう」
ユウが取り出したモンスターボールのスイッチを押すと、中からはゾロアが現れた。
「コーン!」
「あ、ゾロアだ。そういえば、この子とオーガポンにはまだニックネームをつけてなかったね」
「オーガポンのはまだ思いついてないけど、この子のは思いついてるから一緒につけちゃおうと思ってね」
「ナルホドダシ。ソレデナンテツケルンダシ?」
「うん、ゾロアはクロコでガーディはカガリにしようと思うんだ」
「ユウノアクタイプノポケモンハクロガツクナマエヲツケラレルシュクメイニアルンダシ? マアホンニンタチニキイテミルシ。ニヒキトモドウダシ?」
シュリの問いかけに二匹は揃って鳴き声を上げた。
「キューン!」
「ウォン!」
「ドッチモイイミタイダシ」
「うん、わかった。それじゃあ改めてよろし……」
「あ、お前達!」
その声にユウ達は視線を向ける。そこには一人の少年の姿があり、アカデミーの夏服に身を包んだその額には星形のレンズのサングラスがかけられていた。