長い階段を上がり終え、アカデミーの扉の前に着くと、そこにはクラベルやオモダカ、そしてハイダイの姿があった。
「校長先生、それにオモダカさんにハイダイさんまで……」
「おかえりなさい、みなさん。林間学校はどうでしたか?」
「はい! とーっても楽しかったですし、新しい出会いにも恵まれました!」
「ちょっと大変な出来事はありましたけどね」
「そうですか。その件については後々感想文を書いて頂くとしてこちらのお二人のご用事に移りましょうか」
クラベルの視線に頷き、オモダカとハイダイは前に進み出る。
「ごきげんよう、チャレンジャーユウ。また良い目を……おや? 片方の瞳が少し変化していますね」
「あ、はい。どうやらポケモンのテラスタイプを一目で確認出来るようになったみたいです」
「ほう、それはまた変わってはいますがバトルにおいて有用な能力を手に入れましたね。その力を生かすも殺すも貴方次第。それはしっかりと理解して下さいね?」
「はい。あの、それで用事というのは……?」
「貴方にお返しするべき物があるので参りました」
オモダカが二つのモンスターボールを取り出すと、ユウは驚きと哀しみが入り交じったような顔をした。
「ウネルミナモ……テツノイサハ……」
「その通りです。調査のためにお預かりしておりましたが、貴方と離れたからなのか検査などの時も元気がなく、技の指示も聞かない、とだいぶ困っていたのです。そこで貴方にお返しして、貴方に旅の中で気づいた事などを教えてもらいたいのです。今の貴方ならば問題ないと感じましたので」
「オモダカノヨウジハワカッタシ。ハイダイノヨウジハナンダシ?」
「がっはっは! オイラはユウに会いたいって奴を連れてきたんだい! おおい、そろそろ出てこい!」
その言葉と同時に一匹のポケモンがアカデミーの陰から現れた。
「え、このポケモンは……?」
「インテレオンダシ。メッソンノサイシュウシンカケイダシ」
「メッソン……え!? もしかして君って、あの時のメッソン!?」
「その通りだい。ユウ達が帰っていった後、ゆっくり姿を見せてな。寂しそうにしてたと思ったら、オイラの方を見て、やる気満々な様子でオイラに鳴き声を上げてきたんだい。特訓でもしてほしいのかと思って聞いてみたらどうやらそうだったみたいで今日までオイラと一緒に頑張ってきたんだい」
「インテレオン……」
ユウはインテレオンに近づくとその肩に手を置いた。
「久しぶりだね。あの時出てこなかったのは、君の事を怖がらせたからだよね」
『うん。あの時の君は本当に怖かった。あんなに優しかった君はどこに行ってしまったのかとも思って悲しかったよ。でも、君自身も悩み、苦しんでいた事を知った。だから、僕は強くなる事を決めたんだ。また君が力に固執してしまった時には今度は僕が止め、君が一歩踏み出そうとしていたら今度は僕が君の力になろう、とね』
「……そっか。それなら君の力をありがたく借りさせてもらうよ。インテレオン、これからよろしくね」
『うん。こちらこそよろしく、ユウ君』
ユウがインテレオンをゲットすると、クラベルはメガネを軽く押さえながら目を丸くした。
「ユウさん、ポケモンとの会話が出来るようになったのですか!?」
「はい。ポケモンの体に触れていれば出来ますし、強い感情なら感じとる事が出来るようになりました」
「これはまた興味深いですね。さて、私も二匹をお返ししますね」
「……はい」
二つのモンスターボールを受けとると、ユウはスイッチを押した。そしてウネルミナモとテツノイサハが現れた瞬間にユウは二匹の体に触れながら俯いた。
「ウネルミナモ、テツノイサハ、本当にごめんね。君達は僕の事を信じてついてきてくれたのにその信頼を損ねるような真似をしてしまったね」
『ソンナコト、ナイ。チカラ、ダレダッテホシイ。ユウノクウキ、ココチヨイカライッショニイタイ』
『マイマスター、ワタシタチハフタタビアナタノチカラトナリマショウ。ソレガワタシタチノネガイデスカラ』
「うん、ありがとう。改めてよろしくね、二人とも」
「シュリタチモセンパイトシテビシビシシドウシテイクシ。カクゴスルシ」
二匹が頷いた後、ユウは二匹をボールに戻した。
「……僕は本当に恵まれてるな」
「それをわかっているだけあの時の貴方とは違いますよ。それでは私はこれで。チャレンジャーユウ、そしてハルト、アオイ。あなた方とポケモンリーグの頂点で会える事を楽しみにしていますよ」
「オイラもそろそろ行くんだい。みんな、またな!」
オモダカとハイダイが去っていった後、クラベルは両手をパンパンと打ち鳴らした。
「では、私達もそろそろいきましょう」
その言葉に頷いた後、ユウ達はアカデミーの中へと入っていった。