第一話
「…… オナカ、ヘッタシー……」
パルデア地方の北部に位置する『オージャのみずうみ』の小島の一つに赤い魚のような生物がへたりこんでいた。生物の名前はシャリタツ。腹部に白い
「 エサ……ホシイシ……」
力無く言いながらシャリタツは別の小島を見る。そこには他のシャリタツの姿もあったがその中心には明らかに他の個体よりも大きな個体の姿があった。そして、シャリタツ達がエサを食べて腹を満たす姿を頭にねじりはちまきのような白い部位を持った青い大柄なポケモン、おおなまずポケモンのヘイラッシャが優しいまなざしで見つめていた。
「シャリハ、エサ、アリツケナイシ。 デモ、オナカヘッタシ。ナニカサガシニイクシ……」
弱々しい声でシャリタツは言う。そして海中へ潜るために軽く跳び上がったその時、そこへタイミング良く一匹のポケモンが現れた。
「ペリッパー!」
現れたのは水/飛行タイプを持つペリカンポケモンのペリッパーだった。そしてそれに気づけないまま跳び上がったシャリタツはペリッパーの開いた口の中へ着地した。
「……ココ、ドコダシ!?」
周囲を見回し、自分が居る場所が見慣れた海中ではないと知って、シャリタツは驚く。そんなシャリタツの声に反応する事なく、ペリッパーはそのまま空へと舞い上がった。
「ド、ドウスルシ……!?」
あまりに突然の出来事にシャリタツは慌てふためき、キョロキョロと周囲を見回す。しかし、そんなシャリタツの様子を知らないペリッパーはそのまま気持ち良く空を飛び続ける。予想外の珍客を乗せた空の運び屋が、様々なポケモンの頭上や街の上を飛ぶ中で、シャリタツは口内で慌てるしかなく、顔を出して場所を確認する余裕すらないようだった。そして飛び続ける事数時間、コサジタウンを越えてコサジのこみちに到着すると、ペリッパーは地面に降り立ち、その大きなくちばしを海中へ入れて口を開いた。
「イ、イマダシ……!」
シャリタツは急いで這い出ると、ペリッパーに気づかれぬように泳いで離れた。そして少し距離が離れたところでシャリタツはペリッパーを振り返る。しかし、ペリッパーは シャリタツに気づいていない様子でのんびりと しており、シャリタツは安心したように息をついた。
「デモ、コレカラドウスルシ……?」
シャリタツは不安そうな顔をする。故郷であるオージャのみずうみから遠く離れてしまっているため、陸から戻るのは当然のこと、海を泳いでいくというのも他の野生のポケモンに襲われる可能性もあった。シャリタツは空腹だったのもあるが、まだ生まれて間もない事からバトルの経験もあまりなく、その中で他のポケモンと会うのは避けたいところだったのだ。
「……タベモノ、ホシイシ……」
空腹に耐えられなくなったシャリタツはその場にへたりこみ、そのまま静かに目を閉じた。 そして、ペリッパーが飛び立ち、へたりこんだシャリタツの腹の虫が鳴き声を上げ始めたその時だった。
「...... ナンノオトダシ?」
聞きなじみのない音にシャリタツが目を開け、軽く空を見上げると、上空から赤い大きなポケモンと紫色の大きなポケモンの二匹が落ちてきていた。
「ナ、ナンダシー!?」
シャリタツが驚く中、二匹のポケモンは海に落ち、その衝撃でシャリタツは上空へと吹きとばされた。
「ヤ、ヤナカンジダシー!!」
そんな声を上げながら涙目でシャリタツが飛んでいく中、紫色のポケモンの背から一人の少年が体を起こした。
「今のは……って、それどころじゃない! ミ、ミライドン! しっかりしてよ!」
少年はミライドンと呼んだポケモンの体を必死になって揺さぶり始めた。