「んー……目が変化してる以外はあまり異常は見られないかなぁ」
翌朝、向かい合って座っているユウの目を見ながらミモザは言う。そしてユウの後ろに立っているネモ達に対して笑いかけた。
「安心して。視力の低下や失明の危険性、他の病気もない。他のところにも異常は見られないし、いたって健康体よ」
「よかったぁ……」
「体力が増加したのは何故なんでしょうか?」
「それに関してはその目が理由なのかもしれないけど、あたしにもまだわかんないなー……まあユウの体力が増えた件についてはキハダ先生が喜びそうだけどね。体力テストの成績も良くなるだろうし、授業のしがいがあるとか言いそうだしね」
「それはたしかに。でも、本当に不思議だな……みんなはまだ少し林間学校の疲れが残ってるみたいなのに僕は疲れが全部取れたような気がするし、腕力も前よりついた気がするし……」
ユウが何度か手を握ったり開いたりしていると、シュリは頭の上でヒレを組んだ。
「ユウガテラスタルシテルセツ、ケッコウアルカモダシ。ソモソモ、ニンゲンガテラスタルスルカハワカラナイケド……」
「んー……体力がついたというよりは筋肉の超回復や体力の回復速度が早くなってたりしてると見るべきかもね。とりあえず、今回の診察はここまでかな。他に何かあったら教えてねー」
「わかりました。ありがとうございました」
「どういたしましてー」
ミモザはヒラヒラと手を振る。そしてユウ達が医務室を後にしようとしたその時、ドアが勢い良く開いた。
「ユウ達はいるか!?」
「れ、レホール先生……」
「やあ、貴様達! 今、ヒスイ地方のポケモンや昔話のポケモン達は持っているか!?」
「い、いますけど……」
「レホールノコウフンドアイガパナイシ……ソンナニアイタイノカシ?」
レホールは目を輝かせながら頷く。
「当然だ! それに、スイクンやビリジオンに似たポケモンを持っているという情報も入っている! ビリジオン似のポケモンに関しては歴史を感じさせない見た目のようだが、伝説のポケモンに似ているという点が実に興味深い! さあ、早く!」
「あ、あはは……」
「ちょっとちょっとレホール先生ー? ここ、医務室なんでよそでお願い出来ますー?」
「む、それもそうだな。よし貴様達、グラウンドに行くぞ」
苦笑しながらユウ達は頷く。そしてミモザに一言挨拶した後、ユウ達は医務室を出て廊下を歩き始めた。そしてグラウンドに着くと、ユウ達はモンスターボールを手にし、揃ってスイッチを押した。
「出てきて、みんな!」
「ゾロア、イイネイヌ、出てきて!」
「キチキギス、お願い!」
「マシマシラ、ちょっとお願い!」
オーガポンやともっこ、そしてヒスイ地方のポケモンとウネルミナモ達が現れると、その姿にレホールは息を飲んだ。
「こ、これが……! ああ……歴史を、ロマンを感じる……!」
レホールの様子にオーガポン達が怯む中、ユウは微笑みながら声をかける。
「みんな、ごめんね。少しだけ我慢しててもらえると助かるな。レホール先生はちょっと……いや、かなり変わってる人だけど、悪い人ではないから」
オーガポン達は顔を見合わせると頷き合った。そしてユウ達が見守る中、レホールによるオーガポン達の観察会が幕を開けた。