「おお……こうなっているのか、実にワクワクするじゃないか……!」
レホールがメモを取ったり目を輝かせながら観察をする事数十分、オーガポン達の表情に疲れが見え始めるのに対してレホールはまったく疲れを見せる様子はなく観察を続けていた。
「レホール、ゼンゼンバテナイシ。アノテンションヲイジシツヅケラレルノモナンカノサイノウダシ」
「あはは……あ、そうだ。ユウ、返し忘れてたシュリのモンスターボールを渡しておくね。シュリ、キタカミでは色々ありがとうね」
「ドウイタシマシテダシ。マアネモナラタベモノヌキデモマタイウコトヲキイテモイイシ。カンシャスルシ」
「もう、シュリったら……さて、そろそろオーガポン達を助けてあげようか」
「だね。レホール先生、そろそろ勘弁してあげてください」
レホールはネモに視線を向けると、残念そうにため息をついた。
「……仕方ない。まあだいぶ観察は出来たからな。貴様達、感謝するぞ」
「いえいえ」
「さて、頼みを引き受けてくれた礼をしよう。貴様達、何が良い?」
「お礼……あ、それならシンオウ地方、そしてキタカミの歴史について教えてほしいです」
レホールは驚く。
「ほう? シンオウ地方ならまだしも、キタカミならば貴様達もよく知っているんじゃないか?」
「僕達が知らない歴史があって、それがイイネイヌやモモワロウに関係しているかもしれないんです。レホール先生が知っている中でキタカミに関係しそうな話って何かありませんか?」
「そのモモワロウというポケモンについても後で聞きたいところだが、そうだな……ん、そういえば気になる話があったな」
「気になる話、ですか?」
「ああ、ある老夫婦の話だ。揃って穏やかで感じの良い二人だったが、突然色々な物を手に入れたり欲しがったりし始め、それを不思議に感じた村人達が二人の家に行くと、そこにあったのは盗品ばかりで、老夫婦は村人達から村八分にされたという話だ」
「え……」
ユウがイイネイヌに視線を向けると、イイネイヌは俯き、レホールは何かを察したように頷いた。
「どうやらその老夫婦のようだな。だが、村人達も老夫婦達の人格は知っていたし、二人だけではそこまでの事は出来ないと考え、二人が真犯人を庇っているんじゃないかと疑った。だが、二人は自分達がやったと言うばかりで、村人達は仕方なく老夫婦を村八分にし、老夫婦亡き後には生前の二人の人格を尊重して手厚く葬ったそうだ」
「そう、ですか……」
「最後の最後までモモワロウとイイネイヌを庇ったんだね、おじいさんとおばあさん……」
「気持ちは……わかるからね」
「だね……」
ユウ達が俯き、静かに涙を流すイイネイヌをオーガポンと残る二匹のともっこが慰める中、レホールは再び話を始めた。
「まあその件やキタカミの件についてはもう少し調べておこう。さて、次はシンオウ地方だが、これも中々興味深い話がある」
「どんな話ですか?」
「シンオウ地方は以前はヒスイ地方と呼ばれ、ポケモンは人間を襲う恐ろしい生き物だと考える人間もいた。そんな中、ある少年少女によってその考えは覆され、とある人物によって引き起こされそうになった危機も免れたそうだしな」
ユウ達がゴクリと唾を飲み込む中、レホールは口を開いた。
「テルとショウ、それが二人の名前だ」