「そ、創造神……!?」
『そっのとおりー! 1000本の腕で宇宙を作ったとか何もないところにあったタマゴから出てきて世界の全てを生み出したとか神話で伝えられているのがアルセウスだよ。ちっなみにー、ボクは遺伝子の中に全てのポケモンの情報が入っているから全てのポケモンの先祖って言われてるんだけど、お偉い先生達の間ではボクとアルちゃんのどちらが先なのかっていう論争が今でも繰り広げられてるんだって。どっちが先だって良いのに人間ってほんとヒマだよね~』
「それだけ心に余裕があるという事でしょう。それにしても……」
アルセウスはユウに近づくと、顔をゆっくり近づけた。
「え、ちょっ……!?」
「……なんですか?」
「これでもこの世のほとんどの人間から好かれる容姿をしてきたつもりですが……流石はユウ。この程度では動じませんか」
「たしかに可愛さと綺麗さを兼ね備えた見た目なんだと思いますし、前の僕だったら照れてしまってワタワタしていたと思います。でも、今の僕には大切にしたい人がいますからその人以外で異性に照れるのはやはり良くないですし、その人を不安にさせたくないですから」
「ユウ……」
毅然とした態度のユウの姿にネモは嬉しさと安心に満ちた笑みを浮かべる。ユウとネモの姿をアルセウスは無表情で見ていたが、やがて静かに微笑んだ。
「素晴らしいですね、貴方の想いは」
『ねー。それで、アルちゃんは何しに来たの? ミュウツーから話聞いてユウの様子見でもしに来たの?』
「それもあるのですが、何やら懐かしい名を口にしていらしたようなので少々お話に混ざりに来たのです」
「それはショウとテルの事だろうけど、ユウの様子を見に来たってどういう事だ?」
「ユウさん、アルセウスさんとお知り合いなのですか?」
ユウは首を横に振る。
「ううん、まったく。でも、シンやミュウツーが僕の事を知っていたわけだし、何か関係があるのかも……」
『そんなとこだね。ミュウツーがシンオウの神話を調べさせた理由の一つがそれだし』
「ホカニモアルンダシ?」
『あるけど、どこまで話したもんかな~』
「そうですね……ふむ、ではこうしましょう。ミュウにはこれからある人達を連れてきてもらいます。あなた方の中でその人達に勝利する方が出れば、更なるヒントを差し上げましょう」
「それじゃあバトルが出来るの!?」
「そういう事です。それでは早速行ってきてもらいましょう」
アルセウスが耳打ちをすると、シンは瞬時にテレポートをした。
「これでよし、と」
「おい! 貴様は本当にアルセウスなんだな!? という事はヒスイを救った英雄達のその後も知っているのか!?」
「ええ、もちろん。あの二人はたしかに英雄と呼ぶに相応しかったです。私によって見知らぬ地に転移をして必要に迫られていたとはいえ逆境にもめげる事なく二人で手を取り合い、あの傍迷惑な私の信奉者と暴れ者の我が子すらも退けてみせたのですから。そして全てが終わった後、数々の苦難を共に乗り越えてきた事で想いが通じあっていた二人は夫婦になり、子宝やたくさんの友人にも恵まれて幸せな一生を過ごしました」
「それは良いとして……二人とも違うところから来たんですよね? それなら全部終わったら帰してあげればよかったんじゃ……」
アルセウスは笑みを浮かべながら言う。
「嫌です。あの二人は本当に才能に満ちていましたし、全てのポケモンと出会った彼らには私の分身も与えて共に世界を見てあげてほしいとお願いしましたから。それに、あの時代に残るのは彼らの望みでもあったのですよ」
「残る事が望み……」
「はい。あの二人は生まれこそ悪くありませんが、並行世界の彼らと違って旅に誘ってくれる友人も助手になりたいと思える程の人物もいませんでした。そのため、ポケモン達と出会うきっかけも中々無かったのでその才能を燻らせたくないと感じてスカウトしたような物なのです。それに……彼らの美しい絆は時空を越える程の物だったようで、たくさんの人達に見守られながら共にその生涯を終えた後に今度は自分達の子孫として生を受け、幼い頃に運命的な再会を果たすと再び恋仲になりましたよ。それぞれ強さの頂点と舞台上の女王という輝かしい栄光も少し前に手に入れましたしね」
「え、それってまさか……!?」
ネモの目が輝く中、シンは二人の人物を連れて現れた。
『二名様、ごっあんなーい!』
「お疲れ様です。では、紹介しましょう。この二人があなた方の対戦相手」
アルセウスは二人を見ながらにこりと笑った。
「シンオウリーグチャンピオンのコウキとコンテストクイーンのヒカリです」