「……戻って、二匹とも」
ネモが俯きながらイイネイヌとヒンバスを戻していると、その姿にコウキは心配そうな顔をした。
「ネモさん、大丈夫かな……」
「あー……その、大丈夫……ですよ?」
「ムシロシンパイスベキハヒカリノホウダシ」
「え?」
コウキが不思議がっていると、ネモは身体を震わせてから顔を勢いよく上げた。そしてそれにヒカリが驚いていると、ネモは目を輝かせながらヒカリに近づいた。
「ヒカリさん! もう……スッゴく楽しいバトルでした!」
「そ、そうですか……それならよかったです」
「ヒンバスのミラーコートがあるから色々反射していけると思っていたら物理技のダブルウイングも出てきてそのまま勝負を決められて……! 他にもポケモンはいて、中にはコウキさんみたいにヒスイのポケモンもいるんですよね!?」
「い、いますけど……」
「だったら今からもう一度──」
ネモが興奮気味に言っていると、近づいていたユウがネモの頭にシュリを乗せ、シュリはヒレで軽く頭を叩いた。
「オチツクシ、ネモ。サラナルキョウシャニデアエテウレシイノハワカルケド、トリアエズオチツクシ」
「あはは、ごめんごめん。というか、私の頭も叩いてくれるんだね」
「シュリノペシペシハアイジョウヒョウゲンダシ。トレーナーケンモウヒトリノ偽竜の司令官デアルユウハモチロン、キタカミデアイボウダッタネモモソノタイショウダシ。トッテモコウエイナコトダカラカンシャスルシ」
「ふふっ。うん、ありがとう。さて、私達もバトルしたし、次はハルト達がバトルしてるところを見たいけど……」
その言葉と同時にチャイムの音が鳴り響いた。
「あはは、思ってたよりも時間が経ってたみたいだな」
「そうですね。それでは午前の部はここまでにして、お二人には午後の部まで休んでいただきましょう。ユウさん達には昨日と同様にコウキさん達のご案内をお願いしてもよろしいですか?」
「はい、もちろんです」
「タビノサイカイハモウスコシアトニスルツモリダッタカラモンダイナイシ。セッカクダカラ、サッキノバトルノハンセイカイモシタイシ。バトルヲミテタガワノイケンモホシイカラ、ボタントペパーニモキテホシイシ」
「ああ、俺は別に良いぜ。アイツの調子も少しよくなってきたし、ちょっとヌシの件でも話したい事があったしな」
「ウチも……まあ別に良いけど」
「ナラヨカッタシ。トコロデ、ヌンクニツイテハナニカワカッタシ?」
クラベルは静かに頷く。
「はい。昨日、本人に連絡をしたのですが、どうやら足についてはしっかりと治療をした結果だそうで、今はブルーベリー学園で非常勤講師をしながらテレポートなどを利用して各地でフィールドワークをしているのだそうです」
「ツマリ、シュリタチガデアッタノハソノトキダッタワケダシ」
「そうだね。それにしても、ブルーベリー学園って事はスグリ君とゼイユさんはヌンクさんの事を知ってそうだね」
「ダトオモウシ。トリアエズコノケンニツイテハマタアトニシテ、シュリタチモシッカリヤスムシ。ツヨキモノノダイイッポハ、シッカリトシタスイミントショクジ、ソシテキュウソクガアッテコソダシ」
シュリの言葉に頷くと、ユウ達は歩き出し、他の生徒や教員達もそれぞれのやるべき事に向けて歩き始めた。
「……一応彼の前では納得しましたが、ヌンクの足の件は治療しても治る見込みがないものだったはず。彼に一体何があったのでしょうか……」
ポツリと呟くと、クラベルは不安そうにしながら歩き去っていった。