翌朝、ユウ達が食堂で朝食を食べていた時、そこにハッサクが近づいた。
「皆さん、おはようございますですよ」
「ハッサク先生、おはようございます」
「皆さん、少々お話をしたい事があるので、この後グラウンドまで来てもらえますか?」
「良いですけど……」
「ハッサク、ドンナヨウジダシ? ホカノヒトニハキカセラレナイハナシダシ?」
「そんなところです。では、お待ちしておりますよ」
ハッサクが去っていくと、ユウ達は顔を見合わせる。
「なんだろうね……?」
「そうだな。そういえばハッサク先生ってどんな先生なんだ?」
「ハッサク先生は美術の先生でもありますけど、パルデアリーグの四天王でもあるんですよ」
「四天王……なんだかただ者じゃなさそうとは思ってたけど、それなら納得だな」
「そうですけど、そんな人からのお話となるとなんだか緊張しますね」
「ダシ。ケドワルイハナシデハナサソウダシ。ダカラ、マズハイッテミルシ」
ユウ達は頷いた後、再び朝食を食べ始めた。そしてそれから十数分後、ユウ達がグラウンドに着くと、入口付近に立っていたハッサクが声をかけた。
「皆さん、よく来てくださいました」
「いえ。それでお話っていうのは?」
「昨晩の件です。ユウさん、このグラウンドでギラティナと会っていましたね?」
「ハッサク先生、見てたんですか?」
「夜間のパトロールの際に見かけ、物陰から見ておりました。ユウさん、あのギラティナですが、あなたのポケモンになったという事で間違いないですか?」
ユウが頷くと、ハッサクは安心したように深く息をついた。
「そうですか……小生もドラゴン使いの端くれですから、ギラティナについては多少知っているのです」
「それで安全確認のためにこうして誰もいないタイミングでユウを呼んだんですね」
「その通りです。まあユウさんなら、いえ今のユウさんならば大丈夫でしょう。クラベル先生も仰っていましたが、林間学校を経て大きく成長したようですからギラティナのように強大な力を持つポケモンとも絆を深められると思っています」
「シュリタチモイルカラモンダイナイシ。チナミニ、ギラティナトアッテミタイシ?」
「是非会ってみたいですが、この後にバトル学の授業もありますし、生徒達が来る中で出してしまったら騒ぎになるのは間違いありませんからまたの機会にしようと思います」
「わかりました」
ユウが答えていた時、そこに近づく一人の人物がいた。
「ハッサク様」
「あなたは……まったく学校には来るなと言いましたですのに」
青いスーツにマントといった出で立ちの女性がハッサクに近づくと、ユウは少し緊張した様子でハッサクに話しかけた。
「あの、この方は……?」
「……親族の一人です。どうせまたくだらない話をしに来ただけですので気にしなくて大丈夫ですよ」
「くだらなくなどありません。さあ、早く当主となるためにお戻りください」
「と、当主……!?」
「……小生はドラゴン使いの家系出身なのです。ですが、当主になる気はありませんでしたので家を出たのです」
「じゃあ一体何で食べていくつもりだったんですか?」
ハッサクは真剣な顔で答える。
「音楽です。ただ、その後になんやかんやあって美術の道を志し、こうして美術教師をしています」
「ソノナンヤカンヤガケッコウキニナルシ。フム……ダッタラ、シュリニイイカンガエガアルシ」
「ほう、なんでしょうか?」
「バトルヲシテ、マケタラハッサクガカエッテカッタラコッチノニンゲンガオトナシクカエルンダシ」
「ふむ、バトルですか」
「ダシ。ケド、バトルスルノハハッサクジャナイシ」
シュリはユウを見下ろしながら言った。
「ユウガハッサクノカワリニバトルスルンダシ!」