「……よし、やろう。みんな」
数分後、厨房の中で見回しながら言ったユウの言葉にハルトやアオイは頷く。
「ユウ程料理が出来るわけじゃないけど、困っている人は放っておけないからね」
「そうだね。私も家庭科の成績は特別良いわけじゃないけど、せいいっぱい頑張るね」
「うん、ありがとう。女将さん、食事会の献立について教えてもらっても良いですか?」
「ああ、うん……けど、本当に良いのかい? みんな、ジム戦をしに来たんだろ?」
店主の女性が申し訳なさそうに言うと、ネモは笑みを浮かべた。
「みんな、自分がやりたくてやってますから。それに、ユウはカエデさんやハイダイさんに認められている程の腕ですし、一人でも数十人分の料理を手際よく作れちゃうので助っ人としては心強いはずですよ」
「へえ! あの人達に認められるなんて大したもんだね!」
「それはたしかに期待出来ますね」
「よし、それじゃあ献立を教えるから、間に合うように頑張っていくよ!」
店主の女性の言葉に頷いた後、ユウ達は献立を聞いた。そしてユウの周りをサポートしながらの作業とシュリのテキパキとした指示に従ってハルト達は作業をし、その様子をカウンター席に座って見ていたアオキはポツリと呟いた。
「これはスゴいですね」
「偽竜の司令官デアルユウトシュリノチカラガアレバコンナモンダシ!」
「あたしから見てもこの子の腕はたしかだと思うよ。テキパキと作業しながらも周りにもしっかりと目を向けて最適な方法を考えてるのがわかる。正直、将来はウチで働いてもらいたいくらいだよ!」
「おっ、スゴいじゃないか! もうそんな事を言ってもらえるなんて!」
「私もスゴいと思います。流石ユウさんですね」
「うん、ありがとう。さあ、どんどん作っていくよ」
ユウの言葉に頷いた後、ハルト達は作業を続けた。そしてそれから数十分後、席には多くの料理が並んだ。
「どうにかなりましたね」
「ああ、本当に助かったよ! みんな、本当にありがとう!」
「これは驚きましたね。思わず真顔になりました」
「サッキカラマガオダシ。ソレデ、オモダカタチハイツクルシ?」
「そろそろ来ますよ」
アオキが入り口に視線を向けると、引戸がゆっくりと開き、オモダカやハッサクが姿を見せた。
「ごめんくださ……おや、皆さん」
「ユウ君達ではありませんか! アオキのジムに挑戦しにいらっしゃったんですか?」
「はい。あれ、そういえばオモダカさんと四天王の皆さんのお食事会って聞いてたんですけど……」
「ん? ああ、たしかにチリちゃん達はトップも含めて四人やな」
チリがニッと笑いながら言う中、オモダカは口元に手を添えた。
「ふふ、もう一人の四天王ならばそちらにいますよ。そうですよね、アオキ?」
「……え?」
「アオキさんが……!?」
「四天王……!?」
ユウ達が驚く中、アオキは大きくため息をつくと、ユウ達にお辞儀をした。
「では、改めて自己紹介をしますか。チャンプルジム配属のジムリーダー兼ポケモンリーグ営業部所属兼四天王のアオキと申します。どうぞよろしくお願いいたします」