ポケットモンスター~偽竜の司令官~   作:九戸政景

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第三十三話

「ナ、ナニモノダシ?」

「このポケモンは……たしかアローラ地方のモクローだったかな? でも、知ってる色と違ってなんだか緑色で、うっすらと翼のところに何かあるような……」

「この子も色違いでさいきょうの証持ちなのかもね。それにしても、すごい食べっぷり……」

 

 

 ユウ達の視線を浴びながらモクローは食べ続け、サンドイッチを一つ平らげると、満足そうな顔をした。

 

 

「ホウ……」

「満腹みたいだね。モクロー、僕が作ったサンドイッチは美味しかった?」

「ホロ!」

 

 

 モクローが翼を上げながら答える中、シュリは呆れたようにため息をついた。

 

 

「ドコカラカギツケタカワカラナイケド、サンドイッチメガケテオリテキテ、ソノママイッコタイラゲルナンテトンダクイシンボウダシ」

「僕は美味しく食べてもらったからそれだけで満足だけどね。とりあえず、残った一個はネモとシュリで半分こにしてよ」

「え? でも、そしたらユウの分がないよ?」

「僕の分は大丈夫。シュリ、ちょっとだけ降りてもらって良い?」

「ワカッタシ」

 

 

 シュリが頷いた後、ユウはシュリをテーブルの上に置き、残っていたサンドイッチを半分に割ってネモとシュリに渡した。

 

 

「はい、どうぞ」

「ありがと。ところで、サンドイッチを作ってた時のユウがすごく落ちついてるように見えたけど、いつもあんな感じなの?」

「落ちついてたって……え? どんな風に?」

「作り始める前の落ちつきのなさが嘘みたいな感じだった。見てて楽しかったけど、 不思議ではあったかも。それに、少し大人っぽくてカッコ良いなと思ったよ」

「そ、そんな事……でも、ありがとう」

 

 

 ネモの言葉にユウが頬をポリポリと掻きながら答える中、シュリはサンドイッチを齧ってから不思議そうに首を傾げた。

 

 

「ソノトキノキオクハナインダシ?」

「ないというか……作る事に集中しちゃうから他の事に意識が向かないんだよね。作るのも楽しいからすごく気持ちも落ちつくし」

「他の事に……それじゃあバトルの時もそうなれば慌てる事が無くなるんじゃない?」

「ネモ、ナイスアイデアダシ。アトハユウガリョウリノトキトオナジイシキヲバトルニタイシテモツダケダシ」

「それはそうなんだけど、どうすれば良いんだろ……」

「焦ってもしょうがないし、ゆっくりやっていこうよ。それよりも今はこの子の事を考えないと」

 

 

 サンドイッチを食べ終えたネモがモクローに視線を向けると、モクローはユウを見ながら嬉しそうに鳴き声を上げた。

 

 

「ホロロ」

「別地方のポケモンだし、もしかして迷いこんできたのかな?」

「ホムラノケンモアルカラナクハナイシ。 ソレデ、モクローハドウスルシ? ゲットスルノカダシ?」

「ゲット……モクローはたしか草/飛行タイプだから丁度良いけど、モクローはどう? キミをゲットしても大丈夫かな?」

 

 

 ユウが問いかけるとモクローはユウをジッと見つめ、やがて翼を上げながら鳴き声を上げた。

 

 

「ホロウ!」

「イイミタイダシ」

「うん、ありがとう。 モクロー、これからよろしくね」

「ホロ」

「よし、それじゃあ早速……」

 

 

 ユウはモンスタボールを取り出すと、モクローに軽くぶつけた。そして、モクローがボールの中に吸いこまれていくと、ボールは数回揺れ、青い光を軽く放ってからその動きを止めた。

 

 

「ゲットカンリョウダシ」

「そうだね。まさか草タイプがいたらいいって話してたらいきなり出会えるとは 思わなかったけど、これで少しはバランスは良くなったかな?」

「うん。まだ、岩タイプが弱点のポケモンばかりだけど、モクロー側からも弱点はつけるから、戦い方次第ってところかな」

「だね。よし、せっかくだからモクローにもニックネームをつけようかな。一匹だけニックネームがないのも可哀想だからね」

「それが良いね。それで、どんなニックネームにするの?」

 

 

 ネモの問いかけにユウは少し考えてから答えた。

 

 

「リーフにしようかな。今回はあまり凝れてないから申し訳ないけど……」

「ううん、良いと思う。シュリはどう?」

「ワルクナイシ」

「よかった。よし、それじゃあ──」

「バトルしようよ、ユウ!」

「え?」

 

 

 ユウが驚く中、ネモはシュリをユウの頭に乗せてからユウの手を握った。

 

 

「ネ、ネモ!?」

「だって、モクローやヒトカゲと戦った事ないんだもん! そんなのワクワクしちゃうよ!」

「ネモイシ……」

「さあ、グラウンドに行こうよ! 今ならバトル学の授業中でもないはずだから!」

「ちょ、ちょっと……!」

「ヤレヤレダシ」

 

 

 ユウが焦り、シュリがため息をつきながら首を振る中、ネモはワクワクした様子でユウの手を引いて部屋を出た。

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