グラウンドに到着すると、そこには楽しそうに話をする生徒やポケモンの世話をする生徒の姿があり、ユウの手を引いたネモが歩いていくと、生徒達の視線は二人に集中した。
「生徒会長と……あれは誰だ?」
「あ、あの子は昨日スター団と戦ってた転入生の子だ」
「もしかして今から生徒会長と戦うのか?」
「ああ.....アイツ、終わったな」
生徒達の声に少しだけネモの顔が強張り、ユウは何かを察した様子でシュリと頷き合った。そしてバトルコートに立つと、ネモは小さく息をついてからユウの手を離して笑みを浮かべた。
「さっ、早くやろ!」
「それは良いけど……大丈夫?」
「大丈夫って……あはは、慣れてるから平気だよ。それより早く戦ろうよ」
「ネモガイイナラベツニイイシ。ケド、ムリハスルナシ」
「うん、そうする。そういえば、リーフの技ってまだ確認してなかったよね?」
「あ、そうだね。出てきて、リーフ」
ユウがボールからリーフを出すと、見慣れぬポケモンの姿に周囲の生徒達はざわめく。そして、リーフはユウの肩へ向かって飛ぶと、音を立てずに降り立ち、満足そうな顔をした。
「ホウ……」
「スッカリユウニナツイテルシ」
「胃袋と一緒に心も掴まれたんだね」
「そんなつもりはなかったんだけど……あ、リーフの技を見ないと」
ユウはリーフにスマホロトムをかざすと、図鑑の画面に視線を向けた。
「リーフブレードにブレイブバード、つるぎのまいにフェザーダンスの四つみたいだね。それで特性がえんかく、と……」
「えんかくはリーフブレードみたいな接触技を非接触技に出来る特性だけど、この子も特別な個体みたいだね」
「ホムラトオナジデさいきょうの証ニハジヌツヨサダシ」
「だね。さて、技の確認も終わったし、流石そろそろ始めよっか」
ネモがワクワクした様子で言う中、何事かと感じた生徒達が次々に近付き始め、その光景にユウの表情は強張った。
「ひ、人が……いっぱい……」
「オチツクシ、ユウ。 トコロデ、ネモ。バトルノマエニヒトツイイシ?」
「うん、良いけど……どうしたの?」
「シュリタチハネモニヒッパラレテココニキタシ。ソシテバトルモネモノオネガイヲキイテハジメルシ。ダカラ、コノママダトシュリタチニハリターンガナイシ」
「つまり何か対価が欲しいって事?」
ネモの問いかけにシュリは静かに頷く。
「ソウダシ。ダカラ、シュリタチガカッタトキニハナニカイウコトヲキイテモラウシ」
「ちょ、シュリ!?」
「あははっ、私は構わないよ。シュリ達なら変な事は言わなそうだし、安心出来るからね」
「ネモまで……」
「よし、それじゃあ、戦ろうか。ルールはシングルバトルで使用ポケモンは二体、どっちかが先に全て戦闘不能になったらバトルは終了だよ」
ネモの言葉にユウは首を傾げる。
「え? ニャオハ以外にいたの?」
「実はね。さあ始めよう。芽吹き始めたユウ達の今の実力、たしかめさせてもらうね!」
その言葉に対してユウが頷いた後、二人はそれぞれのポケモンを繰り出した。