「……なるほど、このポケモン達はパラドックスポケモンというのですね」
「はい、その通りです」
パラドックスポケモン達との出会いから約一時間後、アカデミーのグラウンドにはユウ達とパラドックスポケモンの他にクラベルやオモダカ、そしてスマホロトムによるビデオ通話でオーリムとフトゥーが会話に参加していた。
『エリアゼロに生息しているポケモンの数が微かに減少しているとは思っていたが、まさか抜け出したりアルセウスの手によって外に出たりしていたとはな』
『僕達の管理不足だったね。だが、君達がパラドックスポケモンを手持ちに加えて世話をしてくれるなら安心だよ。みんな、どうかよろしく頼むよ』
フトゥーの言葉にユウ達が頷いていると、クラベルは眼鏡を直してからオーリムとフトゥーに話しかけた。
「オーリム、フトゥー、あなた方は一体エリアゼロで何をしているのですか?」
『……それについてはまだ言う事は出来ない。ただ、一つだけ言えるのは私達はパラドックスポケモンを管理し、所有しているという事くらいか』
『多くのパラドックスポケモンがエリアゼロには生息しているから管理は必要なんだよ。イダイナキバ達に関しては完全に僕達の失態だが、普段はしっかりと管理をしているつもりだ。外に出して生態系を壊してしまっては意味がないのだから』
「私も同感ですし、チャンピオンネモも同じ事を考えていたようです。パラドックスポケモンの件はしかと認識しましたし、今後はチャレンジャーユウ達からの情報提供を元にジムリーダーや四天王にパラドックスポケモンの情報を周知し、エリアゼロへの入り口に対しての監視を強めましょう」
その言葉にネモ達が安心した様子を見せる中、ユウは拳を軽く握ってから二人に話しかけた。
「あの! ペパー先輩には会ってあげないんですか?」
『……それは出来ない。本当にすまないが』
「どうしてですか!? ペパー先輩は今はマフィティフのためにスパイス集めを頑張っていますが、会いたい気持ちはあるはずです! だから……!」
「ユウ……」
ユウの様子にネモが哀しそうな顔をするが、オーリムとフトゥーは揃って首を横に振る。
『私達も会いたいが、私達はこの研究所から出る事が出来ないんだ』
「ウッカリナカカラソトニカギデモカケタンダシ?」
『中々ユニークな発想だね。そういうわけではないが、僕達は研究所から出る事が出来ない。だから、ペパーがどうしても僕達に会いたいのなら……』
「自分からエリアゼロに行くしかない……」
オーリムは静かに頷く。
『そういう事だ。さて、申し訳ないが私達はそろそろ失礼するよ。もしパラドックスポケモンについて何か質問があれば遠慮無く連絡してくれ』
「ソレモソウダケド、オーリムトフトゥーモヌンクトイウオトコヲシッテルカキキタイシ」
『ヌンク? もちろん知っているが……』
『彼がどうしたのかな?』
シュリがヌンクについて話すと、オーリムとフトゥーは画面の向こうで顔を見合わせた。
『それはたしかに妙だな』
『そうだね。わかった、彼についても調べておこう。君達にはペパーが世話になっているからね』 「タスカルシ」
『では今度こそ失礼するよ』
その言葉を最後にオーリムとフトゥーは画面から消え、オモダカは目を閉じながら人差し指を立ててその先を額につけた。
「パラドックスポケモン……まだまだ謎は多いですし、個体によって性格なども異なるでしょうから楽観視は出来ません。アルセウス、もう少しパラドックスポケモンやエリアゼロについて知っている事を話していただけますか?」
「ええ、構いませんよ」
アルセウスが答える中、ユウは軽く俯いた。
「研究所から出られないにしても今みたいに電話くらいは出来るはずなのに……」
「博士達にも色々あるんだろうけどね。それにしても、博士達に直接会うにはエリアゼロに行かないといけないのか……トップ、流石にエリアゼロに入る許可って貰えませんよね?」
「申請をする分には構いません。ですが、本人が最低でも四天王全員を倒す事が出来るだけの強さを持っているか相応の強さを持った同行者がいなければ承認は出来ません。危険な場所に変わりはありませんから」
「ソレハソウダシ。ケド、ソレナラネモハモウソノシカクハアッテ、ユウタチモコノママイケバシカクハテニハイルシ。チャンピオンクラスニナルタメダケジャナク、ペパーヲリョウシントサイカイサセルコトモモクテキニスレバイインダシ」
「……そうだね。僕はペパー先輩に博士達と会って話をしてもらいたいし、改めてこれからも頑張るよ」
「ソノイキダシ」
シュリが頷き、ユウ達はやる気に満ちた様子で頷き合った。そしてその姿を見ながらクラベルやオモダカは安心したような笑みを浮かべていた。