「はい、召し上がれ」
手早く作られたサンドイッチをユウが差し出す。ヒノアラシは軽く匂いを嗅ぐと、嬉しそうな顔をし、そのまま食べ始めた。
「どう? 美味しい?」
『うん、とっても。こんなに美味しいものを食べたのは初めてだよ』
「ユウノツクルリョウリハゼッピンダシ。アリガタミヲカンジナガラタイセツニタベルンダシ」
「もう、シュリったら……」
ユウが呆れる中、ネモはクスクス笑いながらもう一つのサンドイッチをシュリに近づける。
「はい、シュリも。あーん」
「アーンダシ」
シュリは上機嫌な様子でサンドイッチを食べ始め、その様子を見た後にユウはヒノアラシに視線を戻した。
「さて、このヒノアラシはどうしようか」
「ソンナノキマッテルシ。エヅケサレタイジョウ、シュリタチノシジヲキイテキリキリハタライテモラウシ」
「それは結構言い方が悪いけどね。ただ、ちょっと考えてる事があって、アオイちゃんやハルト君にも聞いてみようと思ってるんだ」
「聞くって仲間にしたいかどうかをって事?」
「うん。ネモにはゲッコウガ達がいるし、ライラさんもこの前テツノツツミをゲットしてるから、中にはハルト君やアオイちゃんを気に入る子もいると思う。だからまずはヒノアラシをハルト君達に会わせてみようかなって」
「ソレハタシカニダシ。チナミニ、コノヒノアラシノテラスタイプハナンナンダシ?」
「ちょっと見てみるね」
ユウはテラスタルしている眼でヒノアラシを視た。
「……視えたよ。この子のテラスタイプはゴーストみたい」
「ホウ、ソウナンダシ」
「他のさいきょうの証持ち達と同じパターンなら特性もたぶんもうかじゃなくてもらいびだろうし、テラスタルしたら炎とノーマル、格闘の三つを無効に出来る強力な個体になるね」
「ナカナカユウボウナヤツダシ」
「ふふっ、そうだね」
サンドイッチを食べ終えたヒノアラシが満足そうに鳴き声を上げていたその時だった。
「あっ、ユウ君達がいたよ!」
嬉しそうな声に対してユウ達が視線を向けると、ライムを連れたアオイ達が近づいてきており、ユウ達の目の前で足を止めると、アオイはヒノアラシを見て笑みを浮かべた。
「わあ、可愛い! その子、どうしたの?」
「さっき出会ったさいきょうの証持ちの子だよ。お腹が空いてたみたいだから、サンドイッチを作ってあげてたんだ」
「トコロデ、ジムセンハカッタンダシ?」
「うん、勝ったよ。中々苦労はしたけどね」
「はっはっは! アタイもそう簡単にはいかないって事さね。さて、それじゃあアンタ達もジム戦を始めるかい?」
「はい。でも、その前に……」
ヒノアラシを抱き上げるとユウはアオイにヒノアラシを渡した。
「アオイちゃん、この子をお願いして良い?」
「うん、いいけど……どうして?」
「アオイちゃんがだいぶヒノアラシを気に入ってるみたいだったからね」
「うん! それじゃあちょっと預かるね」
ヒノアラシをアオイが受け取ると、ユウとピーニャはライムに視線を向けた。
「ライムさん、よろしくお願いします」
「憧れのライムさんとのバトル、精いっぱい頑張ります!」
「ああ、アタイも楽しみにしてたんだ。一緒にオーディエンスのテンションをぶちあげてくよ、ベイビー」
ユウ達が頷いた後、一行はジム戦をするためにバトルコートに向けて歩き始めた。