「……はあ、今日から学校だけど、本当に気が重いなぁ……」
白い半袖に白色の縦縞模様が入った緑色の半ズボンといった格好でベッドに腰かける少年が憂うつそうに溜め息をつく。部屋におかれた色鮮やかな家具を照らす太陽の光とは真逆の表情の少年はベッド脇に視線を向ける。そこには白い帽子とカバンがかけられており、少年は帽子とカバンをじっと見てから再び溜め息をついた。
「今日から通う学校ではポケモンやバトルの事について学べるらしいし、バトルがまったく上手じゃない僕が行ったら強くなるヒントが得られるかもしれない。 そのために『カントー地方』からこの『パルデア地方』まで来たわけだし、そうであってほしいんだけど……それでもやっぱり行きたくないよ……」
少年は泣きそうな顔でうつむく。
「強くなるヒントがあったとしても必ず強くなれるわけじゃないし、強くない事で他の生徒に笑われたら……」
少年は体をブルブル震わせており、その様子から学校に通う事への恐怖を感じているのは明らかだった。少年がベッドの上で膝を抱え、顔を埋めていると、部屋にはとかげポケモンのヒトカゲが入ってきた。そして少年を見つけると、通常の個体とは違う黄色のヒトカゲは嬉しそうに近づく。
「カゲ!」
「ホムラ、君は元気だね。僕はそこまで元気になれないよ……」
「カゲ?」
「今日からこっちにある学校に行かないといけないけど、僕は本当に行きたくないんだ。ポケモン は好きだけどバトルはからっきしだからバカにされちゃう。それが怖いんだよ」
「カゲ……」
「みんなが向けてくる視線も怖いし、転校生だからみたいに変に期待されたくもないんだよ……」
少年が俯く中、ホムラは心配そうにその姿を見つめる。 そして少年は、大きくため息をついてからゆっくり立ち上がった。
「......気持ちを落ち着けるために簡単に何か作ろう。ホムラも一緒に食べる?」
「カゲ!」
「うん、わかった。それじゃあサンドイッチにしようかな。 最近、また違うレシピを思いついたんだ」
そう言って少年が歩き出そうとしたその時だった。
「シー……」
「え?」
「ヤナカンジダシー!!」
悲鳴を上げながらシャリタツが開け放たれた窓へ向けて飛んできていた。その光景に少年が呆気にとられる中でシャリタツは窓を通って部屋の中へと入り、そのまま少年に衝突する。
「ダシ!?」
「うっ!?」
「カゲ!」
シャリタツとの衝突によって少年はうめき、シャリタツはバウンドしてベッドの上に着地した。
「いてて....... 」
「ナンナンダシー………」
「カゲ……カゲ、カゲカゲカゲ?」
「うん、大丈夫だよ……でも、本当に一体何が……」
そう言いながら少年はベッドの上に視線を向ける。そして、少年とシャリタツはお互いに不思義そうな表情で見つめ合った。
「え……キ、キミは……?」
「オマエ、ダレダシ……?」
少年とシャリタツは同時に問いかけた。