「生徒会長が負けた……!?」
「私、生徒会長が負けたの初めて見た……」
「アイツ、本当に何者なんだ……?」
生徒達がざわつく中、ネモはパモをしまったモンスターボールを手にしながら肩を震わせていた。
「ネモ……」
「……イヤ、ナンダカイヤナヨカンガスルシ」
「え?」
シュリの言葉にユウが首を傾げていると、ネモはガバッと顔を上げ、嬉しくてたまらないといった表情でユウ達の元へ駆け寄った。
「ユウ! シュリ! 良いバトルだったよ!」
「わわっ!?」
「ヤッパリダッタシ……」
ユウが驚き、シュリが呆れる中でネモはユウの手を掴んだ。
「えっ!? ネ、ネモ!?」
「もう、ほんっとうに楽しかったよ! テラスタルも使ったのに、それでもあんな風にかわした上にだいもんじまでしっかり当ててきて……負けたのにすごく楽しかった!」
「そ、そっか…..それならよかった」
「ネモ、テラスタルノサラナルチカラハ、モシカシテイリョクノヒキアゲダシ?」
「そうそう! さっすがシュリ!」
「威力の引き上げって……?」
ユウの疑問に対してシュリは静かに答える。
「ネモハジブンガツカッタワザノタイプトテラスタイプガオナジダトイリョクガアガルトイッテタシ。タダ、アマリニモイリョクガアガッテイタワザがアッタシ」
「……もしかしてそれがでんきショック?」
「あとはほっぺすりすりもだね。普段威力が低い技って幾つかの技を除いてテラスタルした状態だとテラスタイプと一致していれば、いつもより威力が上がるみたい。だから、ほっぺすりすりみたいに本来あまりダメージを与えられない技でもそれなりにダメージを与えながら相手に状態異常を付与出来るからポケモンによっては考えても良いかもね」
「シュリテキニハ、ドクタイプノアシッドボムナンカモイイトオモウシ」
「あははっ、たしかにね。さて、そろそろ勝者からのお願いをきこうかな」
ネモが少しワクワクした様子で言い、ユウが緊張した面持ちで シュリを頭から降ろして両手に載せる中、シュリはヒレでネモを指差しながら口を開いた。
「ネモ、コレカラハユウのライバルヲナノルシ!」
「……え?」
「私が……ユウのライバル……」
「ソウダシ。ネモハチャンピオンクラスダケド、イマノテモチテキニハユウトホボドウトウダッタシ。ソレナラ、ネモガタビノナカマケンユウノライバルニナッテクレレバ、ユウモモットバトルナレスルシ」
「ユウが私の……」
「もう、シュリったら……ごめんね、ネモ。シュリが変な事を──」
ユウが謝る中、ユウの手を掴むネモの力が強くなった。
「すーっごく嬉しい! え!? 本当に良いの!?」
「う、嬉しいの……?」
「うんっ! だってお互いに高め合える関係だもん! しかもその相手と旅まで出来るならバトルだっていっぱい出来るわけだし、断る理由なんてないよ!」
「そ、そっか……まあネモが良いなら良いけど……」
ユウは苦笑いを浮かべていたが、ふと周囲に気づくと、その視線にビクつき始めた。
「うぅ……なんだかさっきよりも視線がキツいような……」
「キツいというか注目されてるんだよ。よかったね」
「良くないよ……シュリ、なんとかならないの?」
「ナラナイシ。ドーセネモナミニツヨクナッタラ、モットチュウモクサレルンダカライマノウチニナレトクシ」
「うぅ……」
シュリの言葉にユウが俯いていたその時、グラウンドに拍手の音が響き始めた。そして、ユウ達が拍手の音の主に視線を向けるとそこにはハルトとアオイを連れたクラベルと拍手をしながら歩いてくる青い襟の黒い衣服を身にまとったボリュームのある黒い長髪の褐色の女性がいた。
「あっ、クラベル先生達! それにトップまで!」
「トップ?」
「チョウテンナノカシ?」
「あ、ユウ達はまだ知らなかったんだね。あの人はオモダカ、このアカデミーの理事長でありポケモンリーグの委員長をしていて、更にはチャンピオンクラスの中のトップであるトップチャンピオンなんだよ」
ネモはとても誇しげな顔で言った。