夜、ユウ達はフリッジタウンの近くで野宿をしていた。
「はあ……それにしても、バッジもあとは二つか。ネモ、あと二つってどこのジムだっけ?」
「後はね、エスパータイプのジムのベイクジムと氷タイプのジムのナッペ山ジムだよ。ここからならナッペ山ジムが近いけど、あそこのジムリーダーのグルーシャさんはジムリーダーの中でも最強って言われてるから、挑むなら最後がおすすめだね」
「サイキョウトイウナライドミガイハアルシ。タダ、タシカニイドムナラサイゴニシトキタイシ。チカイカラトイッテツイデニイッテイタイメニアウノハゴメンダシ」
「たしかにそうだね。そういえば、フェアリー組のアジトに行ってきた話をまだしてなかったよね」
「タシカニソウダシ。フェアリーグミハドンナダッタシ?」
ハルトは頷いてから答えた。
「とても綺麗な場所にあったよ。ボスのオルティガだけど、とても強かったし、少し素直じゃないだけでいい人みたいだったよ」
「あはは、たしかに素直じゃないね。ただ、自分の家の力を使わないって決めたりしっかりとメカニックとしてスターモービルのメンテナンスもしているから、慣れてさえくれば悪い奴じゃないよ」
「そうなんですね。そういえば、行ってないスター団のアジトもあと二つか。かくとう組のボスはどんな人なんですか?」
「ビワ姉はスポーツが得意な女の子で、アカデミーにはスポーツ特待生で入学したんだよ。それで僕達の中ではバトルの腕もトップクラスだから、戦闘指南役をしているね。それでその姿なんだけど……」
「ん、どうかしたのか?」
クロスが不思議そうにする中、ピーニャは苦笑いを浮かべた。
「あ、いや……普段はシュウメイが仕立てた改造制服を着て、少し強面のメイクをしている上に背も高いから初めて見る時には驚くはずだよ。ただ、ビワ姉自身は優しすぎる程に慈悲深いし、仲間思いなところがあるからそういうところが団のみんなからは慕われてるんだ」
「ナルホドダシ」
「なんだか、ユウさんと意気投合しそうな方ですね」
「それはたしかにね。ところでアオイさん、そのヒノアラシは君にずいぶん懐いてるようだね」
膝の上で眠るヒノアラシを撫でながらアオイは微笑む。
「私もこの子は好きになっちゃいましたけど、でも元々はユウ君に引き寄せられてきた子だしなあ」
「アオイちゃんがゲットしてもいいよ?」
「え、いいの?」
「うん。ネモやライラさんもさいきょうの証持ちの子はゲットしてるし、僕だけがゲットしていい子達でもないからね」
「そっか……それじゃあ後でヒノアラシにも聞いてみよっと。ふふ、楽しみだなあ」
アオイが嬉しそうにヒノアラシを撫でる中、ネモはクスクス笑った。
「その内、ハルトとクロスにもさいきょうの証持ちの子が見つかったりしてね」
「そうだったらいいな。僕もユウ達が羨ましいなと思っていたから」
「だな。ただまあ、その前に俺はメレシーをゲットしないといけな――」
「バシロォーッス!」
「え?」
突然聞こえてきた鳴き声にユウ達は辺りを見回す。
「な、なに……?」
「キキナレナイコエダッタシ。ミンナ、ケイカイシトクシ」
「うん」
「そうだね」
「今の鳴き声、ポケモンだよね! どんな子だろ、早くバトルしたい!」
「ネモハカワラズネモイシ……」
シュリがため息をつく中、暗闇の向こうから近づいてくる影があった。
「あれが鳴き声の主……」
「でも、あれ……? なんだか、二匹いない?」
「あ、ほんとだ」
ユウ達が見つめる中、暗闇の中から二匹のポケモンが姿を見せた。
「このポケモン達は……」
そこには頭と蹄が氷でおおわれた白馬のポケモンとその背に乗った足が岩になった少女のようなポケモンがユウ達の視線を浴びながら静かに立っていた。