「……よし、出来た。皆さん、おまちどおさまです」
大皿に盛られた料理をユウがテーブルに置くと、フェアリー組の面々は目を輝かせ、一斉に手を合わせてからテーブルに置かれた数々の料理を食べ始めた。
「……うまいな。なんならウチのシェフ達よりも料理が美味いんじゃないか?」
「ぼっちゃま、それを言ってしまわれたら彼らが悲しみますよ。ですが……たしかにどのお料理も絶品ですね。どなたか名のある方から教わったのですか?」
「いえ、母から料理を教わっていて、レシピは教わった物だったり調べたりした物です。家庭科のサワロ先生と一緒に考えた物もありますよ」
「ユウノリョウリハニンゲンノミナラズポケモンマデトリコニシテシマウホドニゼッピンナンダシ。サテ、オルティガモコレデユウノツヨサヲミトメタシ?」
咀嚼していた食べ物を飲み込み、イヌガヤが渡してきたナプキンで口元を拭いてからオルティガは頷いた。
「まあ強いのはたしかみたいだな。ただ、最後に控えてるビワはそううまくはいかないからな」
「ビワさん……かくとう組のボスですよね」
「そうだ。スポーツ特待生で入ってるから自分自身も強くて、育ててる格闘タイプのポケモン達も強い。油断してるとすぐにやられるからな」
「カクトウタイプッテコトハ、ヒコウタイプヤエスパータイプ、フェアリータイプノイクセイガヒツヨウニナッテクルシ。タダ、ムコウモソレラノタイプヘノタイサクハカンガエテルハズダカラタシカニユダンハキンモツダシ」
「そうだね。オルティガさん、助言ありがとうございます」
ユウが頭を下げるとオルティガは照れ臭そうな顔をし、その姿を見たイヌガヤは嬉しそうに微笑んだ。
「とてもよい方と出会えましたね、ぼっちゃま。ユウさん達のような生徒さんが当時のアカデミーにいたらぼっちゃま達もどれだけ助けになったか……」
「そういえば、イヌガヤさんは前の校長先生でしたよね。どうして校長先生を辞めてしまったんですか?」
「……以前のアカデミーには、イジメ問題が多く発生していて、ぼっちゃまや他の組のボスをやっている皆さんもそのターゲットになっていました。そしてマジボスがスター団を率いて、スター大作戦を計画し、イジメっ子達をグラウンドに集めた上でスターモービルを用意していたのですが、当のイジメっ子達は恐れをなして全面降伏した上で全員が退学。事態が大きくなりすぎた事で責任を感じたマジボスがいなくなったのですが、当時の教頭が責任逃れのためにスター大作戦に関するデータを抹消して隠蔽したのです」
「酷い……大人としての責任感がまったくないじゃないですか」
「お恥ずかしい限りです。教頭にはしかるべき処罰を下しましたが、イジメを防ぐ事が出来なかった私にも責任はあるため校長を辞め、他の先生方にも無理を言って辞めていただき、教員の総入れ替えをしたことで今のアカデミーがあるわけです」
イヌガヤの話を聞き、シュリはヒレを組む。
「ケッコウネブカイモンダイダシ。コレハシッカリマジボスカラモハナシヲキカナイトイケナイシ」
「そうだね。オルティガ君、ピーニャ君やメロコさん達みたいに君も仮のボスみたいな形で残ってくれるんだよね?」
「まあ行く宛もないしな。コイツらをほっとくのもなんだかイヤだしオレだってマジボスに会いたい。だからしっかりと待つよ」
「ウムウム。コレデフェアリー組モモンダイナイシ。ノコルハかくとう組ダケド、ユダンスルコトナクシッカリトミンナヲキタエテ、シッカリトカッタルシ!」
「うん、そうだね。どんなポケモンが出てくるかわからないけど、気を引き締めながら行こう」
ユウの言葉にシュリ達は揃って頷く。そしてフェアリー組の詰所内でスター団のメンバーやネモ達と一緒にオルティガが料理を食べながら楽しそうに話す中、その姿をネルケとイヌガヤは安心した様子で静かに見守っていた。