アカデミーの外に出た後、階段を降りながらネモはユウに話しかけた。
「さて、それじゃあジム巡りの第一歩を踏み出そうか」
「うん。それは良いんだけど……まずは何をしたら良いかな?」
「まずは一番近くのジムがあるセルクルタウンに行こうか。セルクルタウンは西門を抜けた先にある町で、オリーブ転がしっていう行事があるよ」
「オリーブコロガシダシ?」
「そう。豊穣祈願のためにやってる物で大きなオリーブの実を転がして、ゴールまで運べば良いんだけど、実はそれがジムテストになってるんだ」
「え? それがジムテストなの? てっきりジムのトレーナーの人達とバトルするんだと思ってた」
ユウが少し安心したように言うと、ネモはクスクス笑う。
「もちろん、バトルをするのがジムテストのとこもあるよ」
「やっぱりあるんだ……」
「トーゼンダシ。ソレデ、セルクルシティハナンノタイプノジムナンダシ?」
「虫タイプだよ。それで、ジムリーダーにはそれぞれ異名があるんだけど、 セルクルジムのジムリーダーのカエデさんはお菓子の虫って呼ばれてるね」
「お菓子の虫? 本の虫なら知ってるけど……」
「カエデさんはムクロジっていうお菓子屋さんを営んでいて虫タイプのジムのジムリーダーだからだろうね。たぶん、本の虫のお菓子バージョンっていうのもあるだろうけど」
ネモが笑いながら言っていると、シュリはヒレを顎に当てる。
「ムシタイプノジャクテンハホノオトイワ、ソシテヒコウタイプノミッツダシ。ユウ、コノコトバノイミハワカルシ?」
「えっと……僕の手持ちポケモンが全員セルクルジムに対して有利って事だよね?」
「ソノトオリダシ、ダケド、クロエトリーフハムシタイプニヨワイタイプモモッテルシ。ダカラ、ユダンシテルトスグニマケルシ。ソコハチュウイスルシ」
「うん、わかった。あ、そういえば...... セルクルタウンと言えば、その近くにペパー先輩から教えてもらったヌシの住みかがあった気がする」
「ヌシ………ああ、これだね。
「オトシドリ? どんなポケモンなの?」
ユウの問いかけに対してネモは図鑑アプリを起動しながら答える。
「オトシドリはおとしものポケモンって呼ばれてる飛行/悪タイプのポケモンで、胸の羽毛と抜け落ちた羽根で作った袋に物を入れて高いところから落として遊ぶって書いてるね。だから、大空のヌシっていう名前も考えてそうかなと思ったんだけど……」
「どうしたの?」
「オトシドリだとしたら大きさがおかしいんだ。オトシドリは1.5mくらいのポケモンだから、大きな岩を落とす程の大きさはないの。シュリ、何か心当たりはない?」
「タブン、スパイスヲタベタエイキョウデオオキクナッテルシ。シュリタチノリーダーモホカノコタイヨリオオキイカラキットソウダシ」
「スパイスで身体が……ペパー先輩はそれを欲しがってるようだけど、 誰か食べさせたい人がいるのかな?」
「そうなのかもだけど、ペパーは話してくれないし……まあそっちはジムを突破した後にでも行ってみる事にしようか。ペパーも近くを通ったら様子を見る程度で良いって言ってたし」
ネモの言葉に対してユウ達が頷いた後ネモはやる気に満ちた様子でユウ達に話しかけた。
「それじゃあ行こうか、二人とも。私達もそろそろセルクルタウンに行かないと」
「うん、そうだね」
「サッリクシュッパツダシ」
そして三人は、セルクルタウンへ向かうべくテーブルシティの西門へと向かった。
「....... ピチュ」
そんな三人の様子を一匹のポケモンが遠くからジッと見つめていた。