西門を出たユウ達は南2番エリアを歩いていた。南2番エリアを歩く中で他の学生ともすれ違い、ユウの姿を見た学生達はバトルをしかけるためにモンスターボールを手に取ったがネモがいる事に気づくと、体をビクリと震わせ、気づかなかったような振りをした。
「ミンナ、ネモヲコワガッテルシ」
「ほんとだ……ネモ、心当たりは──」
ユウはネモに視線を向ける。しかし、ネモの表情は少々曇っており、ユウが心配そうな表情を浮かべる中、シュリは少し考えてから口を開いた。
「ネモ、チョットキュウケイスルシ」
「……え?」
「サッキ、ピクニックヲシテルヒトガイタシ。セッカクダカラシュリタチモピクニックスルシ」
「でも、セルクルタウンに着くのが遅れちゃうよ?」
「ベツニイソガナクテイイシ。ユウ、ソウダシ?」
「う、うん! 中々、外でピクニックなんてする機会ないから僕もやりたいな」
「うん、わかった。それじゃあそうしようか」
ネモが微笑みながら言った後、ユウ達は地面が平らな場所を探し、そこに折りたたみのテーブルを用意した。
そしてテーブルクロスをかけ、食材の確認をしていると、ネモは申し訳なさそうな表情をした。
「なんだかゴメンね。二人に気を遣わせちゃって……」
「ううん、大丈夫だよ。 でも、あそこまでの反応をしてるって事はみんなネモとのバトルは避けたいと思ってるのかな……」
「ソウミタイダシ、キノウノバトルノトキモユウガマケルトオモッテタミタイダシ」
「うん……私、チャンピオンクラスでしょ? だからかみんなバトルをしたがってくれないんだよね。私は楽しくバトルしたいだなんだけど……」
「セイトタチカラスレバマケルトワカッテルバトルハシタクナイシ。 モットモアノトキノバトルハソダテチュウノニャオハタチダッタカラカテナイワケジャナイシ」
「僕の場合、シュリの手助けがあったから勝てたんだけどね。もしかして、ライバルが出来た時にあんなに嬉しそうだったのって」
ユウの言葉にネモは寂しそうに頷く。
「うん……あの時も言ったけど、競い合える相手が出来たから嬉しかったんだ。ユウからすれば、突然の事だったわけだけどね」
「そうだね。でも、ネモのライバルになった事は後悔してないよ。バトルは苦手だし、今でも自信はないけど、少しずつバトルには慣れてきた 気がするし、僕はこれからもネモのライバルでいたいな」
「ユウ……うん、ありがとう。でも、それなら旅の中で何度もバトルは申し込むからね。覚悟しておいてよ?」
「あはは……うん、わかったよ」
ユウは苦笑いを浮かべる。そして嬉しそうな様子のネモに対してユウは安心したように微笑むて、再び食材に視線を向けた。 すると、ユウの表情は不思議そうな物に変わった。
「あれ……食材がちょっと減ってる……?」
「え、本当?」
「うん……でも、誰も食べてないだろうし……」
「待って。どこからか甘い香りがするよ。これは、テーブルの下から……?」
「テーブルの下……?」
不思議そうな表情でユウはテーブルの下を覗き込んだ。すると、そこでは頬が濃いピンク色に染まり、濃い黄色い体色をした小さなポケモンがいた。
「キ、キミは……?」
「ピチュ?」
ユウの問いかけに対して、ポケモンは不思議そうに首を傾げた。