「だ、誰って……ぼ、僕はユウだよ」
「ユウ……ナンカタンジュンナナマエダシ」
「初めましてなのに失礼な……というか君こそ誰なの? ポケモンにしてはすごい流暢に話すし……」
「シャリハシャリタツダカラアタマハイイシ。 ホカノポケモントハワケガチガウシ」
「シャリタツっていうんだね」
「ソウダシ。ソレデソッチノキイロイノハダレダシ?」
シャリタツは自身を興味深々な様子で見てくるホムラをジッと睨む。そんなシャリタツの姿を見てユウはクスリと笑ってからホムラを抱き上げる。
「この子はヒトカゲのホムラ。こっちに引っ越してきた直後に出会ってその時にちょうと持ってた食べ物をあげたらなつかれて、それ以来ずっとここにいるんだ」
「カゲ」
「フーンダシ……」
「それで、シャリタツはどうしてここにいるの? 窓から飛びこんできてすごくビックリしたけど……」
「それは──」
その時、シャリタツの腹部から音が鳴り、シャリタツはそのままへたりこんだ。
「オナカ、ヘッタシ……」
「あ、お腹が空いているんだね。それなら一緒にどうかな?」
「……イッショニ、ダシ?」
「うん。僕達もサンドイッチを作って食べようかって話をしていたから、君も一緒にどうかなと思って。一緒に食べた方が美味しいからね」
「イッショ……」
ユウの言葉にシャリタツが表情を暗くすると、ユウとホムラは顔を見合わせる。
「もしかして一緒に食べるの嫌だった?」
「ベツニイヤジャナイシ。イツモヒトリデタベテタカラナレテナイダケダシ」
「そうだったんだ。一緒が嫌っていうわけじゃなくてよかったよ」
「カゲ」
「ユウタチハイツモイッショダシ?」
シャリタツからの問いかけにユウは微笑みながら頷く。
「うん。いつものご飯とは別で僕が気持ちを落ちつけるために作る物を一緒に食べてもらってるけど、ホムラも食べる事が好きだから喜んで食べてもらってるよ」
「フーンダシ。マアオナカヘッテルノハマチガイナイカラツキアッチャッテモイイシ。シャリハヤサシイシャリタツダカラダシ。カンシャスルシ」
「ありがとう。それじゃあ君はこっちに」
そう言うと、ユウはシャリタツを右肩に載せた。
「これでよし、シャリタツ、大丈夫そう?」
「モンダイナイシ。タダ、モウスコシアイソウナバショハサガスシ」
「合いそうな……うん、わかった。ちょっと考えてみるね」
「ウ、ウン……」
素直に応じるユウの姿にシャリタツが戸惑った後、ユウはホムラを抱き抱えたままで歩き始めた。そして階段を降りていたその時、玄関のチャイムが鳴った。
「あれ……誰だろ?」
「デナイノカダシ?」
「で、出るけど……僕、ちょっと人見知りなところがあって….」
「ヒトトハナスノガニガテダシ?」
「そう……だから、いつも父さん達が出てたし、 いない時は居留守を……」
チャイムが再び鳴る中、シャリタツはため息をついた。
「ミタトコロ、オヤハルスナヨウダシ。ダッタラユウガデルシカナイシ。ハヤクデルシ」
「で、でも……」
「ウジウジシテテモシカタナイシ。ハヤクデルンダシ」
「わ、わかったよ…」
ユウが渋々といった様子で玄関へと向かった。そして表情を暗くしたままで玄関を開けると、そこにはユウと同じ制服に身を包んだ背の高い褐色の少女が立っていた。
「......え?」
「おはよう! キミがユウだよね!」
褐色の少女は元気な声でユウに呼びかけた。