「うわ......これは大きいなぁ……」
ユウは目の前にある物体を見ながら独り言ちた。ユウの前には先が軽く尖った黄緑色のだ円形の物体があり、その大きさにユウが驚いていると、シュリはユウの頭の上から目の前の物体を見つめた。
「ナイヨウヲオサライスルシ。オオキナオリーブノミヲモシタモノヲコロガシテ、ゴールマデハコブシ。ケド、コースハスコシフクザツニナッテイテ、チカミチヲトオロウトシタラジムトレーナーガユクテヨハバムシ。ダカラ、ミチエラビハトレーナーノハンダンニユダネラレルシ」
「うん、そうだね。シュリはどうしたい?」
「バトルハシタイケド、ソレハユウニマカセルシ。トリアエズゴールヲメザスノヲイチバンニカンガエルシ」
「わかった」
ユウが頷いていると、セルクルジムのスタッフが声をかけてくる。
「それでは、準備は良いですか?」
「はい!」
「ドントコイダシ!」
「わかりました。それでは……よーい、スタート!」
その声と同時にユウはオリーブの実を模したバルーンを押し出す。押し出されたバルーンは坂を転がり、ユウはその後を追った。
「シュリ、とりあえずバトルは避けるからね。その分、疲れそうだけど……」
「ソレハシカタナイシ。ケド、ルートヲマチガエタラメンドウナコトニナルシ。ダカラ、バルーンノウゴキニハチュウイシナガラススムシ」
「うん」
シュリの言葉に答えた後、ユウはバルーンを押しながら進み始めた。力の加減や形によって思わぬ動きをするバルーンに翻弄されながらもユウはシュリの指示に従ってバルーンを押していき、ネモはユウ達の動きを外で見ながら声援を送った。
オリーブ転がしを開始してから数分後ユウが押し出したバルーンは大きな赤いカゴの中へと入り、その瞬間にピストルの音が辺りに鳴り響いた。
「チャレンジャー、ゴールです! ジムテスト、無事クリアです!」
「はあ、はあ……お、終わった……」
「オツカレダシ。ケド、コノアトハジムバトルがアルカラキハヌケナイシ」
「……うん、そうだね。もう一踏んばりだし、ジムバトルも勝てるように頑張ろう、シュリ」
「ゼッタイニカツシ!」
オリーブ転がしの会場からユウ達が出てくると、ネモは笑顔を浮かべながら近づいた。
「お疲れ、二人とも! 次はお待ちかねのジム戦だよ!」
「別にお待ちかねじゃないけど……それでどこで戦うの? ジムの中?」
「ふふ、もっと驚く場所だよ。でも、その前にジムの人にテストが終わった事を報せに行こうか」
その言葉に頷いた後、ユウ達はジムの建物へと戻り、チャレンジの成功を報告した。そして、ネモの案内に従って歩いていくと、到着したのはカエデがオーナーを務めるムクロジだった。
「え、ここ!?」
「正確にはここの上だよ。さあ、行こう」
ユウ達は階段をゆっくり上がっていき、ムクロジの屋上にあるバトルフィールドに辿り着いた。
そこにはビビヨンにえさを与えるカエデがおり、ユウが近づいていくとカエデはユウへ視線を向けた。
「うふふ、お待ちしてましたよー。ユウさん、どうぞよろしくお願いしますね」
「こ、こちらこそ……あ、あとなんですけど、僕達のやり方って僕とこのシュリで指示を出す形なん
ですけど、それでも良いですか?」
「あら、そうなんですねー。構いませんよ、それはそれで楽しそうですから」
「カンシャスルシ、カエデ」
「どういたしまして。ではルールを説明してもらいます。それでは審判さんお願いします」
「わかりました。それではルールを説明します。ルールはシングルバトル、お互い二匹のポケモンを出し、どちらかのポケモンが先に戦闘不能になった時点で試合終了とします。両者とも、準備は良いですか?」
「はい!」
「モンダイナイシ!」
「オーケーですー」
「わかりました。それでは、バトルスタート!」
その言葉と同時にユウの初めてのジム戦が幕を開けた。