「あれ……ヒメグマって虫タイプだったっけ……?」
「イヤ、ノーマルタイプダシ。ナノニカエデガダシテキタッテコトニナニカリユウガアルハズダシ」
「だよね……」
繰り出してきたヒメグマを見ながらユウ達が警戒する中、カエデはエプロンのポケットからテラスタルオーブを取り出した。
「うふふ、その答えはこれですよー」
「テラスタルオーブ……!」
「ソウイウコトカダシ……!」
「そうですよ。さあヒメグマ、あなたの羽化した姿を私達に見せてー」
その言葉と同時にテラスタルオーブが光り出すと、その力の波動に耐えながらカエデは帽子を手で押さえた。そしてカエデは、テラスタルオーブを投げると、ヒメグマは足元から現れた水晶に飲み込まれ、それが砕けた後には蝶を模したテラスタルジュエルを被り、水晶化したヒメグマがいた。
「これが虫タイプのテラスタルジュエル……」
「ケド、コレデヒメグマハムシタイプニナッタシ。アトハクロエノホノオタイプノワザデセメテイクダケダシ」
「たしかにそうですね。でも、そう簡単には行きませんよー? ヒメグマ、あまいかおりです!」
「クマ!」
ヒメグマは返事をすると身体中から甘い香りを漂わせ始めた。そしてその香りはクロエに届くとクロエの目はとろんとし始め、その動きもふらっとした物に変わった。
「デ、ル……」
「ク、クロエ!?」
「あまいかおりハアイテノカイヒリツヲオオキクサゲルワザダシ。ソシテコノアトハ……」
「うふふ、あまーい香りに誘われた後はどうなるのか。その身を以て思い知ってもらいますね。ヒメグマ、みだれひっかき!」
「クマー!」
カエデの指示に従ってヒメグマはクロエに近づくと、爪を光らせながらクロエの体を引っかき始めた。
「クマ! クマー!」
「デルビ! デルッ!」
「クロエ!」
「シマッタシ……!」
ユウが焦り、シュリが悔しそうにする中、クロエはみだれひっかきを受け続けた。そして、ヒメグマの爪が光を失うと同時にクロエはその場に崩れ落ちると目を回しながら倒れた。
「デルビル、戦闘不能! ヒメグマの勝ち!」
「クマちゃん、お疲れ様ー」
「クマ!」
カエデとヒメグマが嬉しさを分かち合う中、ユウは悔しそうにクロエをモンスターボールへと戻した。
「クロエ、お疲れ様。これで僕達も残り一匹……いよいよ追いつめられたね」
「ダシ。ヒメグマノあまいかおりニキヅケナカッタノハクヤシサシカナイシ。ケド、コレデアイテノセンリャクハワカッタシ。ダカラ、ココカラマキカエシテイクシ」
「うん!」
返事をした後、ユウは別のモンスターボールを取り出し、一度強く握りこんでからスイッチを押した。
「頼んだよ、ホムラ!」
「カゲ!」
ホムラはボールから飛び出すと、元気いっぱいに返事をした。