審判の声が響き渡り、ギャラリーから歓声が上がる中、ユウは目の前の光景にポカンとした。
「勝った……シュリ、勝てたよ!」
「オツカレダシ。マエヨリハジシンモツイテキタシ?」
「少しだけね。それにしても……本当に疲れたよ」
「ジムセンハヨリシンケイヲツカウヨウナキガスルシ。コンヤハユックリネムルシ」
「うん、そうす──」
「ユウー! シュリー!」
ユウの言葉をさえぎるようにネモは嬉しそうな声を上げると、そのままユウへ向けて走っていき、力いっぱいにユウを抱き締めた。
「えっ!? ネ、ネモ!?」
「やったね、ユウ! まずは一つ目突破だよ!」
「そ、そうだけど……!」
「ヤレヤレダシ。ネモ、ハナサナイトユウガツブレルシ」
「あはは、ごめんごめん」
笑いながらネモは体を離すと、ユウは赤い顔で恥ずかしそうにしており、その姿にカエデは微笑ましそうな笑みを浮かべた。
「うふふ、お二人とも仲が良いんですね」
「はい、ユウと私はライバルですから!」
「たしかにそうだけど、いきなり抱きつかれるとやっぱり照れるというか……」
「だって、途中まではシュリが頑張ってたけど、最後はユウのアイデアで倒せたんだよ! バトルが苦手で自信もないって言ってたユウがジムでのバトルだって勝てたんだから、もう感動しちゃうよ!」
「ネモ……」
「ユウの実り具合、これからもそばで見せてもらうね」
「うん」
楽しそうな笑顔を浮かべるネモに対してユウが嬉しそうに頷いていたその時、そこへ近づいてくる二人の人物の姿があり、その足音に気づいたユウはその姿に嬉しそうな顔をした。
「ハルト君! アオイちゃん!」
「今朝ぶり、二人とも」
「ユウ君のジムバトル見てたよ。ネモが感動するのもわかるくらい良いバトルだった!」
「え、見てたの?」
「えー、それなら声をかけてくれたら良かったのに」
「すごく真剣に見てたからね。ユウ、本当におめでとう」
「ハルト君·····うん、ありがとう」
ユウが微笑みながら言っていると、そこにヒメグマをボールにしまったカエデが近づいた。
「ユウさん、本当におめでとうございますー」
「カエデさん、ジムバトルありがとうございました」
「イイバトルガデキテマンゾクダシ」
「うふふ、それはよかったです。それではジムリーダーに勝利した証、ジムバッジを差し上げます」
「ありがとうございます」
カエデが差し出したジムバッジを受け取り、そのままバッジケースにしまうと、ネモは不思議そうに首を傾げた。
「あれ? バッジ獲れたぞ、やったーみたいなのやらないの?」
「や、やらないよ! それは流石に恥ずかしいし……」
「そっかぁ……ちょっと見てみたかったけど、まあ良いや。はあ、真剣に観戦してたからお腹空いちゃった」
「ソノキモチハワカルシホムラトクロエノケントウヲタタエルタメニナニカツクルシ」
「別にそれは良いけど……」
ユウがそう言う中、カエデはクスクス笑った。
「それなら私がごちそうしますね」
「え、良いんですか?」
「もちろん。そちらのお二人もご一緒にどうぞー」
「僕達も……せっかくだしお言葉に甘えようか」
「うん。カエデさん、ありがとうございます」
「いえいえ。では、これからお店へ行きましょう」
その言葉に頷いた後、ユウ達はカエデの後に続いて歩き始めた。