翌朝、セルクルタウンの前でハルト達と別れたユウ達はセルクルタウンの北部へ向けて歩き続けていた。そしてユウがスマホロトムの案内に従って歩く中、シュリはその後ろを上機嫌で歩くネモを見ながらため息をついた。
「ハア……ネモ、バトルガデキテスゴイウレシソウダシ」
「うん! アカデミーの学生は私とバトルするのを避けてくるけど、他の人達は喜んでバトルに応じてくれるからね! もう、大満足だよ!」
「あはは………それはよかった。結構バトルもしたし、ニャオハとパモのレベルもだいぶ上がったんじゃない?」
「そうだねー! でも、私もニャオハ達ももっとレベルが上がっていくし、次こそユウ達には負けな──」
その時、地面に埋まっていた石につまづき、その体は前方ヘグラリと揺れた。
「わっ!?」
「あぶない!」
倒れそうになったネモの手首をユウはガッシリと掴むと、そのまま自分へと引き寄せ、地面を両足で踏みしめながら力強く抱きしめた。
「えっ……」
「ふう、危なかった。もう、嬉しいのはわかるけど、足元にも気をつけないとダメだ……よ……」
自分がネモを抱きしめており、ネモの顔が近くにある事に気付くと、ユウの顔は途端に赤くなった。
「ご、ごめん……!い、今離すから……!」
「あ……う、うん……」
ネモが返事をし、ユウがネモを立たせてから体を離していると、シュリは大きなため息をついた。
「ナーニヲアサッパラカラヤッテンダシ。アマズッパイラブストーリーハヨソデヤルシ」
「シュ、シュリ!」
「あはは……でも、ユウが受け止めてくれて助かったよ。ユウ、本当にありがとう。 思ったより力もあって、体幹もしっかりしてて驚いちゃったよ」
「それはたぶん、料理をする事が多かったからじゃないかな。フライパンや鍋ってやっぱり持ち上げるとちょっと重いし、頼んで買ってもらった食材も自分で運んでたから姿勢に気をつけないと腰を痛めたり尻もちついちゃったりするからね」
「あー、なるほどね。私、そんなに体力ない方だし、同じ事してみたら途中でへばっちゃいそう」
「あれ、そうなんだ?」
「ふふ、意外でしょ? さて、ペパーが教えてくれた場所までもう少しだし、はりきっていこうか」
その言葉にユウとシュリは頷き、三人は再び歩き始めた。そして歩く事数分、山道を登り終えたユウ達は崖の上で足を止めた。
「ここみたいだけど……オトシドリは見かけてないよね?」
「うん、そのはずだけど……シュリも見てないよね?」
「ミテナイシ。デモ、イナイナラソレハソレデコウツゴウダシ。ひでんスパイスダケイタダイテコノママテッシュウスルシ」
「うーん、残念だけどそれが良さそうだね。でも、ひでんスパイスはどこなんだろ?」
「えーと……あ、あそこに洞穴みたいなのがあるし、あそこにあるんじゃない?」
「あ、たしかに! よし、それじゃあ行ってみよう!」
そして三人は洞穴の中へと進み、薄暗い中を歩いていった。すると、程なく広場のような場所に出たが、そこにいたポケモンの姿にユウ達は驚いた。
「え、あれって……」
「オトシドリだ……」
ユウ達の声が聞こえたのかオトシドリはユウ達を一瞥した後、背後にある物を守るかのように翼を大きく広げた。