「シド……!」
「もしかしなくても警戒されてるね……どうしよう?」
「トリアエズゴハンヲオゴルシ。クロエタチノトキハソレデナントカナッタシ」
「それはそうだけど……うーん、今回もそれでどうにかなるのかな?」
「わからないけど、まずはやってみよう。もしかしたら本当に警戒を解いてくれるかもよ?」
「……わかった。それじゃあ作ってみるけど、ダメだった時は何もせずにここから帰るからね?」
「ひでんスパイスハイイノカシ?」
シュリからの問いかけにユウは頷く。
「うん。あのオトシドリ、まだダメージが回復しきってなさそうなのにそれでもひでんスパイスを守ろうとしてるし、それなら無理には持っていきたくないよ」
「ヤレヤレダシ。ユウノソウイウトコロ、キライデハナイケド、イツカソレデカナリソンヲシソウダシ」
「そうかもしれないけど、本当にユウらしい考えだね。それじゃあオトシドリの様子は私が見てるから、ユウは調理に集中してていいよ」
「うん、ありがとう。それじゃあ始めていくね」
「うん」
ネモが返事をした後、ユウが折りたたみ式のテーブルを用意し、その上に食材や調味料を準備する中、ユウの雰囲気はとても落ちついた物に変わった。
「お、出たね。調理中のユウは不思議と落ちついててカッコいいんだよね」
「……うん、ありがとう。 早めに作っちゃうからちょっと待っててね」
「うん」
「イツモナラテレルコトバニモコノハンノウ……マッタクノベツジンミタイダシ」
シュリが不思議そうに言いながらユウの調理風景を眺める中、オトシドリは何も言わずにユウの姿を見つめていた。そして数分後、テーブルの上には三つのサンドイッチが置かれた。
「よし、完成。みんな、出来たよ」
「おっ、今回のも美味しそう! これはいつかユウの料理を宝食堂の人達にも食べてみてもらいたくなるなあ」
「宝食堂?」
「そう。ノーマルタイプのジムがあるチャンプルタウンにあるお店の一つで、そこのご飯もすっごく美味しいし、ジムリーダーのアオキさんの行きつけでもあるみたい。だから、宝食堂の人達やアオキさんにも食べてみてもらいたいなあって」
「あはは……それは本当に緊張するなぁ。さて、それじゃあそろそろみんなも出そうか」
「だね!」
そして、ユウとネモはモンスターボールを取り出すと、一斉に投げ上げた。すると、ポケモン達が出てくると同時にオトシドリは再び警戒した様子を見せ、ユウは苦笑いを浮かべた。
「やっぱり見慣れないポケモンが多いとそうなるよね。ネモ、僕達はオトシドリと食べてくるから、他の子達をお願いしても良いかな?」
「うん、任せて」
ネモが返事をした後、ユウはサンドイッチの一つを手に取り、警戒するオトシドリに近づいた。
「オトシドリ、よかったら一緒に食べてくれないかな?」
「オト......」
「ケイカイスルノハワカルケド、トリアエズイッショニタベトクシ」
シュリの言葉を聞き、オトシドリはユウの手の中にあるサンドイッチに目を向けると静かに頷いた。そしてユウは嬉しそうな笑みを浮かべると、サンドイッチを千切ってオトシドリに渡し、ネモとアイコンタクトを交わしてから同時に口を開いた。
『いただきます』