「いやー、本当にごめんね。いきなりお邪魔しちゃってやっぱりビックリしたよね?」
褐色の少女はニコニコ笑っていたが、ユウは軽く赤面しながら緊張した面持ちで少女を見つめており、シャリタツは肩の上から不思議そうに見上げた。
「ユウ、カオアカイケドドウシタシ?」
「え? あ....ご、ごめん。いきなり可愛い子が訪ねてきたから……」
「……ハ?」
「可愛いって……私が? あははっ、初めましての子からそんな事言われるとは思ってなかったよ。学校だと言われる事無いからなんだか新鮮だなあ」
「ガッコウ…………オマエ、ユウトオナジガッコウノセイトナンダシ?」
「お前じゃなくて私は──って、ウソ!? 今、あなたが喋ったの!?」
「トーゼンダシ。シャリハシャリタツダカラアタマハイイシ。コウベヲタレテシャリヲアガメルトイイシ」
シャリタツが大きく胸を張りながら偉そうにしていると、ユウが慌てる中で褐色の少女はポカンと してから大きな声で笑い始めた。
「あはは! その子中々生意気そうだけど、すごく 面白い! キミ、中々ユニークな子を連れてるんだね」
「別に僕のポケモンじゃないです」
「え、そうなの? それじゃあ私がゲットしようかな〜? シャリタツは喋るポケモンだけど、ここまで会話が出来る個体は初めてだからね」
「シャリヲゲットシタイナラ、オイシイリョウリヲヨウイスルシ。ソレガジョウケンダシ」
「料理かぁ….…あんまり得意じゃないかも」
「ソレナラアキラメルシ。ソモソモダレデ、ナンノヨウデキタンダシ?」
シャリタツが問いかけると、褐色の少女はハッとした。
「あ、そうだった。私はネモ、グリーンアップルアカデミーの生徒会長で1年生だよ。それで、ここには校長先生のクラベル先生からのお願いで来たんだよ」
「校長先生の……?」
「うんっ! 実は入学に必要な物で渡し忘れた物があるみたいなんだ。それで、今は別の子の所に行ってるんだけど、この近くに私の家もあるからさっきウチに来て、先に行ってこの事を伝えておいてほしいってお願いされたの」
「あ.....そ、そうなんですね……」
ユウが消え入りそうな声で言うと、ネモは小さくため息をついた。
「もう、別にタメ口で良いよ? 歳は私の方が上みたいだけど、同じ学年で同じクラスだからさ」
「ソウナンダシ?」
「そうなんだし。だから、ちょっとお話しようよ」
「ソレハダイジョウブダシ。デモ、ユウガ……」
「カゲー……」
シャリタツとホムラはそろってユウを見上げる。ユウは不安で満ちた表情をしており、その姿にネモは不思議そうな顔をした。
「あれ? もしかして嫌だった?」
「嫌というか……あまり話すのは得意じゃなくて……」
「あ、なるほどね。でも、学校に行くからには他の子と話すのは必須だよ?」
「う……」
ユウが暗い顔をする中、ネモは笑みを浮かべながら手を差しのべた。
「だから、私とお話して慣れていこうよ。本当はバトル をしたいんだけど……キミもそっちが良かったりする?」
「……バトルはそんなに得意じゃないから……」
「うーん.......それは残念! でも、お話くらいは良いでしょ?」
「バトルをするよりはまあ……」
「やった! それじゃあちょっとお邪魔しまーす!」
嬉しそうに言いながらネモが家の中へ入ると、 ユウは小さくため息をつきながらも少し嬉しそうに口許を綻ばせた。