ポケットモンスター~偽竜の司令官~   作:九戸政景

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第六十三話

「ユウ、ほんっとーにごめんね!」

 

 

 バトル終了後、チーム・セギンのアジトの詰所内でネモが頭を下げる中、ユウはテーブルの上にサンドイッチを並べながら苦笑いを浮かべた。

 

 

「あはは……大丈夫だよ。僕達ももすっかり忘れてた事だから」

「フカクダッタシ……テラスタルナシデモコレマデカッテキタカラシツネンシテタシ……」

「テラスタルなしって······キミ達もすごすぎっしょ。実はかなり強かったりするの?」

「いやいや、そんな事ないですよ。よし·······ひとまずここまでかな。さあどうぞ、召し上がれ」

 

 

 大きなテーブルの上に並べられた料理者を前にユウが言って、ピーニャを含めたあく組の面々は目を輝かせた。

 

 

「す、すごい! これ、本当に食べてもいいのかい?」

「どうぞどうぞ。いきなり訪ねてきたのはこっちですし、食材も使わせてもらいましたから」

「そ、それじゃあ……」

『いただきます』

 

 あく組の面々は揃って言うと、嬉しそうに食べ始めた。

 

 

「……う、美味い! ここにあった食材でこんなに美味い物が出来るのか!」

「味付けも少し拘ったので。それに、作ったのもそんなにクセのない料理ばかりですし、まだあるのでどんどん食べてくださいね」

「ああ、そうさせてもらうよ。しかし……こうなると、他のみんなにも食べてもらいたくなるなぁ」

「他のみんなというと、他のボスの人達ですか?」

「ああ、ほのお組のメロコにどく組のシュウメイ、そしてフェアリー組のオルティガにかくとう組のビワ。みんな大切な仲間だよ。もちろん、マジボスもなんだけど……」

「マジボスノショウタイヲシラナイナラシカタナイシ。ケド、ソンナボスタチヲタバネルマジボスハツヨイトレーナーナノカモシレナイシ」

「それはそうかもしれないね。でも、マジボスを見た事ないって事はどれだけ強いのかもわからないって事だよね?」

 

 

 ポケモン達にサンドイッチを与えながらネモが聞くと、ピーニャは頷いてから答えた。

 

 

「そういう事になるね。本当は直接会って話をして、一緒にポケモンバトルをしたり食事をしたりしたいんだけど……」

「連絡もつかないようだったからな。さてピーニャ、昨日も聞いたんだが、お前にとってスター団はどういう存在だ?」

「何度聞かれても答えは同じだよ」

 

 

 ピーニャは目を閉じながら息をついた後、静かに目を開けてから親指を立てて答えた。

 

 

「アカデミー風に言えば宝物。それ以外にないっしょ」

「……そうか。それが聞けて安心した。それじゃあ俺はそろそろ失礼するぜ」

「はい! あ、そうだ……」

 

 

 そう言うと、ユウは手早くサンドイッチを一つ作り、軽く包んでからそれをネルケに手渡した。

 

 

「どうぞ。良かったら道中食べてください」

「おお、すまないな。ありがたくいただこう。ではな、お前達」

 

 そう言うと、ネルケは詰所を出ていき、その姿を見送っていると外からは大きな鳴き声が聞こえ始めた。

 

 

「あれ、この声って……」

「コライドンとミライドンだね。アオイとハルトが来たのかな?」

「待ち合わせでもしていたのかい? 」

「いえ、してはないはずなんですけど……」

 

 

 ユウが不思議そうにしていると、詰所の中にハルトとアオイが入ってきた。

 

 

「失礼しまーす……あ、ユウ君達いた!」

「ほんとだ。ネルケさんの言う通りだったね」

「ネルケさんの?」

「そう。ヌシがいたところに行ってみてもいなかったから試しにここに来てみたら、ネルケさんと入口で会って、ここにいるって教えてもらったんだ」

「そうだったんだ。あ、二人もここまで来てお腹減ってない? まだ食材は残ってるから、よかったら何か作るよ?」

「え、良いの?」

 アオイの問いかけにユウは領いた。

 

 

「うん。ピーニャさんも大丈夫ですか?」

「ああ、もちろん。キミ達とはもう少し話してみたいからね」

 

 

 それを聞いたハルトとアオイは顔を見合わせると、微笑みながら頷き、空いていた席に座った。そして、あく組の詰所はしばらくの間、賑やかな声で満ちていた。

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