「はぁー…...美味しかったぁ……」
数分後、イスに座ったネモは幸せそうに自分の腹 を撫でる。テーブルの上には四枚の皿が置かれており、同じくイスに座っているユウはその姿を見て微笑んだ。
「お粗末様。ホムラとシャリタツは……どうやら聞くまでもなかったみたいだね」
ユウの視線の先ではホムラとシャリタツが揃って幸せそうな顔をしており、その視線に気づいたシャリタツはハッとした。
「マ、マアキュウダイテンダシ。ユウナラシャリヲゲットシテモイイシ」
「ゲットは良いけど、本当に良いの? キミにも帰るところがあるんじゃ…..…..」
「……アンナトコロハイイシ。 アノオージャの湖デノセイカツハシャリニハアワナインダシ」
「オージャの湖?」
「パルデア地方の北部にある大きな湖だよ。そっか、たしかにあそこならシャリタツや相棒になるヘイラッシャもいるもんね」
「相棒って?」
「シャリタツはとても知能が高いポケモンで今みたいに人間の言葉も喋るんだけど、身体が小さいから普段は分類のぎたいポケモンの名の通りに擬態したり弱った振りをしたりしているの。それで身体は巨大だけど あまり知能が高くないとされてるヘイラッシャと協力して狩りをして生活をしているんだよ」
「そうなんだ。それじゃあシャリタツも相棒のヘイラッシャがいるの?」
ユウのその問いかけを聞き、シャリタツは表情を暗くする。
「イナイシ……リーダータチガミトメタコタイドウシジャナイトアイボウニナレナイシ。ダカラ、シャリニハイナインダシ」
「リーダー……そんなのがいるんだ。ネモは何か知ってる?」
「うーん……それ程有益な情報はないかな。ただ、シャリタツについてなら少しあるよ。さっきシャリタツはヘイラッシャと協力しているって言ったけど、別に特定の相手はいないんだ。これはシャリタツが固有で持っている『しれいとう』っていう特性が関係しているんだよ」
「しれいとう』?」
ユウの疑問に合わせてホムラが首を傾げ、その姿を見たネモがクスリと笑うと、シャリタツは静かに口を開いた。
「シレイトウハヘイラッシャノクチノナカニハイリシジヲダストクセイダシ。コレノオカゲデヘイラッシャジシンノウリョクモアガルカラスゴクツヨインダシ」
「そうだね。そしてシャリタツにはもう一つの特性が──」
その時、玄関のチャイムが再び鳴り、ユウ達はそろって玄関へ視線を向けた。
「あれ、またお客さんだ。今度は誰だろ……?」
「もしかしたらクラベル先生かも。そろそろ来てもおかしくはないと思うし、まずは出てみよっか」
「うう……また初めましての人と話さないといけない……」
「ソレハガマンスルシ。ハヤクデルンダシ」
「わ、わかったよ……」
シャリタツに促されてユウは立ち上がり、ネモやホムラと一緒に玄関へ向かう。そしてドアを開けるとそこには緑色のジャケットを着て手には荷物を持った男性とユウ達と同じ格好をした黒い三つ編みの少女、そしてその足元に立つ三匹のポケモンの姿があり、男性の姿にネモは嬉しそうな顔をした。
「クラベル先生、お疲れ様です。その子がユウと同じで今日から転入してくる子ですか?」
「そうですよ、ネモさん。そしてそちらがユウさんなのですね?」
「はい! 誰かとお話しするのは少し苦手みたいですけど、料理がとても上手で穏やかな子ですよ」
「ほう、そうなのですか。それならば家庭科のサワロ先生が喜びそうです。では、私も挨拶をしましょうか」
そう言うと、ユウが緊張した面持ちで見つめる中、クラベルは静かに微笑んだ。
「初めまして、ユウさん。私はクラベル、貴方にこれから通って頂くグリーンアップルアカデミーの校長です」