走り出したネを追ってユウが走る中、ネモの速度はどんどん下がっていき、やがて立ち止まると膝に手を載せながら荒く息を吐き始めた。
「はあ、はあ……」
「もう体力ないのにいきなり走るからだよ。ネモ、大丈夫?」
「だ、大丈夫……じゃないかも」
「ヤレヤレダシ。ユウ、ネモヲオブルシ」
「……え?」
シュリの言葉にネモが疑問の声を上げる中、コウは頷いてから背負っていたリュックを前面に移動させ、軽く屈みながら背中をネモに向けた。
「ほら、ネモ。掴まって」
「え、でも……ユウだって疲れてるでしょ?」
「僕は大丈夫。それよりネモの事が心配だしね」
「ユウ……」
「だから……ほら、しっかり背負うから掴まって」
「う、うん……」
ネモは頷きながら答えると、ユウの背中に掴まり、ユウは揺れないように気をつけながらゆっくり立ち上がった。
「っと……ネモ、大丈夫?」
「うん、大丈夫。ユウの背中、普段はあまり気づかないけど、何だか大きい……やっぱり男の子なんだなあ」
「あまり男らしいところは見せられてないけどね。ペパー先輩の方が力は強いし、ハルト君の方が大人っぽいし、僕ももっとそうなりたいな」
「ううん、今だって充分男らしいと思う。だって、自分より少し大きい私を問題なく背負えてるんだもん。今のユウ、すごくカッコいいよ」
「うん、ありがとう。それじゃあ行くよ」
「うん」
ネモが返事をした後、ユウはゆっくり歩き始めた。背負っているネモを揺らさないようにするためかユウの歩調はとてもゆっくりであり、その姿を見ながらシュリは小さくため息をついた。
「ハア……ナンカツマンナイシ。ユウガネモヲセオウッテナッタトキニカオヲアカクスルノガミタカッタシ」
「残念でした。最近は人と接する事や緊張する事に慣れてきたし、ネモと一緒にいる機会も多いから、前みたいに照れたり緊張を解くために料理をしたりしなくても良くなってきたんだよ」
「チェーダシ。デモ、ネモハドウダシ?」
「え、私?」
「ソウダシ。ミジカナイセイノナカデハユウガイチバンアンシンスルシ?」
「安心する異性……あー、たしかにそうかも、そうじゃなきゃこうやっておぶってなんてもらわないよ」
ネモが微笑みながら言うと、ユウの顔は灰かに赤くなり、それを見たシュリはニヤニヤ笑い始めた。
「ユウ、ネモカラノコウイヲキイテテレテルシ?」
「シュリ、怒るよ?」
「シカタナイカラココマデニスルシ。ソレデ、ガケガニガイルノハドコナンダシ?」
「えーと……この辺りのは──」
「ガニー!」
「え?」
突然聞こえた声にユウが不思議そうな声を上げたその時、ユウ達の目の前に何かが降り立ち、辺りに砂煙が立ち込めた。そして砂煙が消えると、そこには少々大きな体のガケガニが立っていた。