シャリタツの案内でユウ達が歩いていた時、ユウの隣をトテトテと歩いていたホムラにアオイは視線を向けた。
「そういえば……この子ってたしかヒトカゲだよね? でも、こんな色だったっけ?」
「ううん、本当はオレンジ色なんだけど、このホムラは色違いっていう個体みたいないんだ」
「色違い……前に生物のジニア先生の授業で聞いたけど、たしか約4000分の1で生まれる個体で、別に通常色との間に強さの違いはないけれど、色違いを好むトレーナーも少なくないみたいだね」
「そうですね。ユウさん、ホムラさんはカントー地方からお連れしたのですか?」
クラベルの問いかけにユウは首を横に振る。
「いえ……ホムラは引っ越してきた日に出会ったんです」
「え? でも、ヒトカゲはパルデア地方にはいないし……あ、誰かから貰ったとか?」
「ううん、ホムラはこの辺りをフラついていたんだ」
ユウの言葉を聞き、ホムラは肯定するように嬉しそうな鳴き声を上げると、ユウはホムラに微笑みかける。
「校長先生がいらっしゃる前で言うのもあれだけど、バトルが苦手な事もあって、入学に対してかなり不安があったんだ。もちろん、今も不安でいっぱいだけど、あの日はもっと不安だった。それで、気分転換でサンドイッチを作ってせっかくだから外で食べようとしたらお腹を空かせたホムラと 出会ったんだ」
「それで、サンドイッチをごちそうしたら気に入られてそのままって感じなんだね」
「そんなところ。ただ、ホムラはちょっと変わってて特性がもうかじゃなくてサンパワーな上に右手首にこんなアザみたいなのがあるんだ」
ホムラを抱きかかえたユウが右手首を見せると、そこには王冠を象ったアザのような物があり、ネモやアオイが首をかしげる中でクラベルは驚きから声を上げた。
「そ、それは……!」
「校長先生、何か知っているんですか?」
「これは証と呼ばれる物の一種で、これはその中でも特別なポケモンのみが持つというさいきょうの証です。私も実際に見るのは初めてですよ」
「さいきょう……! ユウ、ホムラが育ったら私とバトルを──」
「オチツクシ。ネモハホントニバトルガスキスギルシ」
「あはは………バトルって聞いたらつい反応しちゃうんだよね。 でも、ホムラとのバトルには興味あるから、バトルに自信がついたら是非
「あ、うん……か、考えておくね……」
「やたっ!」
ネモが心から嬉しそうに言う中、ユウ達はコサジの小道を進んでいった。そして、コサジの灯台が見え始めたその時、落下防止用の柵の一部が壊れているのが見え、ユウ達は驚きながら近づいた。
「これは……」
「だいぶ壊れていますね……何かがぶつかったかのような感じだけど、一体何が……」
「ソノナニカガシャリガミタヤツラダトオモウシ」
「そうだとすれば、だいふ強い力でぶつかった事になりますね。後は、ぶつかったものの正体ですが……」
「正体……あっ、もしかしてあれが──」
浜辺に打ち上げられている赤色の大きな体のポケモンと紫色のどこか光沢のあるポケモン、そして紫のポケモンのそばにいる少年の姿にユウが気づいたその時だった。
「……えっ?」
近づきすぎたユウの足元が軽く崩れ、ユウとシャリタツ、そしてホムラの体が宙を舞う。
「わっ!?」
「ユウ!」
ネモが手を伸ばすがその手は空を切り、ユウ達はそのまま落下していった。
「う……わあぁーっ!!」
「ダシー!」
「カゲー!」
ユウ達は揃って声を上げ、地面と衝突する寸前でホムラは ユウのズボンのポケットからスマホロトムを取り出した。すると、スマホロトムの安全機能が働き、ユウ達はすんでのところで衝突を免れた。
「あ、危なかった……ホムラ、ありがとう」
「ホムラ、アリガトダシ」
「カゲ」
ホムラは胸を張った後、ユウにスマホロトムを返し、 ユウは受け取ってから先程見えたものへと近づいた。
「ミライドン! お願いだから目を開けてよ!」
少年は目を潤ませながらミライドンと呼んでいる紫色のポケモンの体を揺さぶっており、ユウは心配そうな顔でそのままで近づいた。
「あ、あの……」
「え?キ、キミは……?」
「僕はユウ。キミは?」
ユウの問いかけに紫色のネクタイを締めて、灰色のシャツに紫色の半ズボン、白い帽子を被った少年は暗い声で答えた。
「僕はハルト。たぶん……ポケモントレーナーだよ」