気が付けば皆して城壁の見える平野の上に立っていた。
「え?いきなりなにこれ?」
おおよそ五十名ほどの集団が円状の都市の近く、少し小高い丘の上で唐突に訪れた変化に驚いていた。
「まぁまぁ、落ち着こう。前に過去に飛ばされたときも結構唐突じゃなかったか……また別の世界みたいだけどね」
「落ち着けるかぁ!?」
その集団の背後には当然のように巨大地下墳墓の様な拠点、ナザリックが鎮座していた。
「おいおいナザリックまで来てるぜ。どうするんだい?」
「俺っちは封印に一票」
「私もだね。また世界征服だとか騒がれても迷惑よ」
「僕もだ。この素晴らしい自然を壊しかねないのは許せない」
他のメンバーの多くも封印に賛成の様だった、ただ少ない反対のメンバーも性格をついていくと徐々に反論も小さくなっていく。
「では採決を、満場一致で封印措置ということで……ただ中の様子が知れるようにパンドラなどの更生が完了してる子たちには理由を話しておいた方がいいかもですね」
「それもそうだな。人手も足りてるから無理にNPC達の数を借りる必要もないだろうしな」
「役に立ちたいんですーって泣きつかれそうではあるけどね」
「そこは心を鬼にして突っぱねましょう」
「それでとりあえずはあの街?ってか都市って感じのとこに行ってみる?」
「そうしようそうしよう。ナザリック使わないなら宿とかも必要だしね」
「じゃ俺は先に準備してから追いつきますね」
一人墳墓に潜り、他の皆はそれぞれに談笑をしながら目下の都市『オラリオ』を目指して歩いていく。
「あ、皆さん。人化の指輪忘れちゃダメですよ」
「「「「「「イエス、マム!!」」」」」」
オラリオの遥か地下、通称『ダンジョン』と呼ばれる『迷宮』の最下層。
そこでも地表と同じように異変が起きていた。
「ねぇ、カズト?どうもまたわたしの迷宮が変なところに移動させられたみたいなんだけど?」
金髪にツインテールをカールさせて何度もまいたような髪形をしている美少女に問いかけられた白いローブを着込んだような男はその言葉に肩をすくめる。
双角を生やし白いひげを蓄えながら背筋をピンと伸ばしたエルフのように耳の長い老人は髭をしごきながら外に思いを這わせながら考え事をする。
「おいおい、カリン。そいつはまた強いやつがいるかもしれない、『迷宮で遊んでいく』奴がいるかもしれないってぇことだろ?面白そうじゃねぇか、そんなことは愉しむもんだぜ」
盃に酒を注ぎながら大笑をしながらカリンを眺めるのは桃色の豊かな髪をウェーブをかけたように揺らめく褐色の女性で豊満な肢体を惜しむことなくさらけ出すようなカリンの藍を対象に赤を基調とした衣装に身を包んでいた。
「困りましたねぇ……本部に連絡が付きません~」
「資材は運ぶっす!」
「拡張は任せるっす!」
「モンスターもどんとこいっすよ!」
ペンギンの様な着ぐるみっぽい何かの腹にポシェットを着けたプリニーの背後にはいつの間に仕留めたのかとんでもなく巨大な蛇の様なモンスターやら金の角を持つ巨大な獣型のモンスターが解体されていた。
「Oh……」
その光景にあんぐりと小さな口を開けるのは小さなシルクハットを被った金髪ストレートの少女で眠たげな瞳をしながらも燕尾服を身に着けた男装を心掛けたというよりは男性用の衣装を女性用に仕立て直したという感じだろうか。
「外の者たちはプリニーでも問題ない弱さの様ね。地上があるか?あるのならば地上の様子はどうなのか?『迷宮』を拡張してこのダンジョンをわたしのものにすることが出来るか、試すことはまだまだありそうね。イェンレン、カズトまずは二人でその辺りの情報収集をしなさい」
男はこくりと頷き、イェンレンと呼ばれた女性も笑いながら了承する。
「ふむ、面白そうじゃ。儂もちょいと本気を出して遊ぶとするか」
「おじいちゃんはモンスターの支配が出来ないか試してみてほしいわ」
「そうです。バーン様無茶しないでください~……せっかくのダンジョンが壊れたら困ります~」
下からじわじわと魔境と化していくダンジョン、地上に降り立った超越者たち。
それとは知られずにこれまた同じく発生する
「……きょときょと」
足元に広がる程に長い金髪の頭にちょこんと乗る小さな王冠にフリル満載のドレスを着た幼女が興味深そうに周りをしきりに見渡す。
その幼女は神でありその名も邪神アザトースと呼ばれるもの。
「これこれ、そんなに目移りしていては田舎者のお上りさんじゃぞ」
白髪を隠すわけでもなく灰色のスーツ姿にモノクル、好々爺とした態度をとる二百セルチという長身をもつ老人。
この老人も神であり混沌の神カオスと呼ばれるもの。
「この世界は初めてだしいいんじゃない?他にも神とかいるみたいだし」
純白のドレスにプラチナの髪をなびかせ、暢気についてくる女性は金色の魔王と呼ばれる神を、そして魔王を生み出したという存在。
「神とか言ってるけどそこまで力はないみたいだし、多少はほっといてもいいでしょ」
赤いドレスに仄暗い水底の様な蒼い髪、顔の半分を覆う鬼の面、植物を思わせる脚甲とは非対称になる魚の様なひれのついたサンダルを付けるのは自壊という意味を持つアポトーシス。
「俺としては他に気になることがあるのだが……創造主が来ているのか?この世界に」
筋肉質な体に鋼色の両腕を持ち、髪をオールバックにまとめた威風堂々とした男性は半袖のカッターシャツにスラックスという格好だった。
機械の神、デウス・エクス・マキナ。
それぞれがそれぞれに超級の厄を呼び込み、無謀を通り越して死亡が確定されるような試練を次から次へと作り上げるこのオラリオを混乱の坩堝に叩きこみ蟲毒の様により強いものをより強くしていく。
「「「何、楽しければいいのよ」」」
「だぁーぅ」
「アッザは知恵を取り戻してくれ」
迷宮の奥深くに鎮座する「
極悪ギルドと呼ばれ恐れられていたアインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーの
ラスボスどころか裏ボスと呼んでもその言葉すら霞む、チートを使って戦いを挑むような邪神5人衆が手を組む
そんなものが待つ街『オラリオ』に辿り着くのは本来の主人公「ベル=クラネル」。
少年は
本来ならば存在しない筈の姉と共に……
注意:この作品ではベル君の前世が違います
お姉ちゃんは強いですが最強ではないです