ウソ予告から始まるのは間違っているだろうか   作:ししお

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いつものミノさん前哨戦、なんか違う?知らんなぁ!
なんかいつの間にかソードの方がほぼ壊滅する件は気にするな


第三話「遥か高き強さ」

 今ロキ・ファミリアは未到達階層の開拓のために五十九階層という現在では深層、後に改めて表層と呼ばれるようになる階層を目指すための準備として五十階層でキャンプを張っていた。

 そして目的の階層へと向かう前に冒険者依頼(クエスト)を達成するために先に五十一階層に生息するカドモスの討伐を成してその生息域に存在する「カドモスの泉水」を入手するという冒険者依頼を行う為に、冒険者依頼達成に必要な量を確保する為に主力を二手に分けることにする。

 その片方となった女性チーム、エルフの少女レフィーヤ、アマゾネスの姉妹ティオネとティオナそして剣鬼とも呼ばれるアイズ。

 彼女たちはカドモスの眠る場所にたどり着き、異様な景色を見る。

 

「何あれ?」

 

 極彩色の芋虫が剣が振るわれたと思われる一拍後に破裂していく不思議な光景。

 レフィーヤはレベル3と決して低くないレベルといえども主武装は魔法である魔法使い(マジック・ユーザー)な為に格上の剣筋が見えない事があってもなんらおかしくはない。

 おかしいのは前衛というポジションに就く他の三人をして、その剣筋が見えなかった事だろうか。

 

「一体どこのファミリアよ……」

 

 一人は煽情的な赤いチャイナドレスを着たアマゾネスだと思われる女性、手には両刃の直剣を持ちながら殲滅の大半を請け負っているように見える。

 もう一人は白のローブ姿で前を閉じていないことから見える胸板でおそらく男だと予想が出来るが、魔法を使っているのか寄せてくる芋虫の波が一定の距離に迫ると灰になって散っていく。

 男が何かを言ったのだろうかアマゾネスは灰となって散る範囲に入ると部屋を覆うようにして存在していた芋虫が一瞬で消し飛ぶ。

 消し飛ばすような熱量を感じたわけでもない、何かを振るった風を感じたわけでもない、凍死させるような冷たさも感じなかった。

 何をしたのか、何もわからなかった。

 

「……」

 

 何もわからないという未知に遭遇して背筋に冷や汗が伝う。

 暗黒期を乗り越え多少小さなファミリアでも知ろうとしてきた【ロキ・ファミリア】が目の前の人物が所属するようなファミリアを知らない。

 

「混じり者か」

 

 ローブの頭蓋で顔の下半分しか見えないのにアイズは視線が合わさったと感じた瞬間、足が竦み腰が抜けそうになる怖気に襲われる。

 

「ッヒ!?」

 

 一歩後退るアイズを見て二人から視線を一瞬切ってしまう。

 

「ふぅん、こんな小娘が精霊の愛し子かい。随分とよわっちいねぇ」

 

 ただの一瞬、隙間のように空いた空白にアマゾネスと思しき女性に背後を取られていた。

 ばっと勢いよく振り返り視線を向けて臨戦態勢を整えようとする四人の頭に剣の腹がドゴンと意識ごと叩き落される。

 

「判断が甘い、行動が遅い。そんなのでよくもまぁ俺たちに敵対行動を取ろうと思ったものだな」

 

 男が四人を担ぎ、女が前に立ち四人が来た方向へと向かっていく。

 

 

 

 

 ロキ・ファミリアの団長フィンはベート、ガレスと共にラウルを担いで通路を駆け抜ける、駆ける後を追うのは通路を埋め尽くす極彩色の芋虫の群れ。

 芋虫は攻撃すると溶解液をぶちまけ攻撃した武器のみならず攻撃した対象にも強酸による表面を融解させることで強烈なダメージを与えてくる。

 単体単体では攻撃力自体はその巨体による攻撃のみである為にそこまで脅威ではないが、攻撃する方法が限られるのが今四人が撤退をしている理由だった。

 彼らに出会ったのはそんな時、男が一言呟き、女は行動に起こす。

 

炎蓮(イェンレン)

 

「あいよ」

 

 その気楽なやり取りに、フィンは咄嗟に制止の声を出す。

 

「止せ!」

 

 フィンの言葉に耳を貸さずイェンレンと呼ばれた女性は直剣を虚空に振るう。

 

デス・バウンド(死の跳弾)!」

 

 振るうのが見えたのはただの一振りの軌跡。

 なのに無数の斬撃が軌跡から離れ壁を、床を、天井を反射されながら飛び交い後続の芋虫も巻き込みながら、死の猟犬の如く標的に飛びかかっていき、さながら光景はミキサーに巻き込まれた果実のように芋虫を引き潰されていく。

 芋虫の破鐘の様な悲鳴も苦悶の音もなく、消し飛び灰に帰っていった。

 その光景を見ていたベートはおろかガレスとフィンですら息を吞み絶句する。

 

「「「っ……」」」

 

「うぅ……」

 

 溶解液を浴びて瀕死だったラウルの呻き声にガレスが目をやれば、紫色に浸食されるように溶かされていた箇所はいつの間にか完治していて近くにいた男が離れていくところだった。

 二人を追うようにして向かった先ではキャンプ地を襲っている芋虫の群れの成れ果て、灰となり壁や床に撒き散らかされていた。

 

「はっ?!別の方向に向かったアイズ達は無事なのか?!」

 

 面倒な性格をしながらもアイズに恋慕を寄せるベートはキャンプ地の無事に安堵しながらも今更ながらに別のカドモスに向かったアイズ達が無事なのかに考えつく。

 その思考に行きついたからこそベートは他のメンバーが無事かどうかを確認するよりももう一つの方向へと駆け出す。

 

「待て、ベート!」

 

 それを止めようとフィンも叫ぶがそんな言葉で止まるようであればベートは面倒な性格とは表現されていないだろう。

 

「仕方ない!僕が行く。ガレスはラウルを連れてキャンプの方を確認してくれ!」

 

「やれやれ貧乏くじでなければいいんじゃが」

 

 頼まれたガレスは肩を落として、まだいくつかの黒煙の上がるキャンプ地へと足を向ける最中にこちらへと向かってくるエルフの幹部、リヴェリアと顔を合わせる。

 

「一体どうしたんじゃ。そんなにも慌てて」

 

「アイズとティオナが攫われた!」

 

 その言葉に一瞬、意味を飲み込むまでの空白を開けた後、ガレスは驚愕の声を上げた。

 

「な、なんじゃとぉっ!?」

 

「どどどどどどどどどいう事っすか!?ベートさんも団長も四人を探しに行っちゃったっスよ!?」

 

 ラウルも驚きから叫び声をあげながら団長の後を追うか、それともリヴェリア側に付くべきか右往左往する。

 

「不幸中の幸いというべきか、レフィーヤとティオネは返されて今はキャンプで寝ている……」

 

 リヴェリアは苦々しいものを思い出す様に顔を歪ませて、現状を伝える。

 

『窮地を助けてもらった。礼を言わせてくれ、ありがとう』

 

 極彩色の芋虫の波を号砲ただ一つで消し飛ばした者にリヴェリアはテントへと案内し助けられた謝辞をしていた。

 新種かそれともただ私たちの知らない更なる深層のモンスターだったのかは不明だが、目の前の女性のおかげで被害は小さく済んだ。

 

『そうかい、それじゃあ謝礼として二人貰っていくとしよう』

 

 そう言って目の前に投げ出されたティオネとレフィーヤ。

 

『な……に……?!』

 

 驚き顔を上げれば今まで担がれてもいなかったアイズの姿が映っていた。

 

『アイズ!』

 

『なるほどね。この子はアイズって言うのかい』

 

 アイズを取り返そうと手を伸ばすが、その瞬間、眼前に剣先を突きつけられ動きが止まってしまう。

 それでも睨みつけ、敵意を消すことは出来ない。

 助けられた相手とはいえ、それでも家族(ファミリア)に手を出されて黙っていられない。

 

『貴様はアイズをどうするつもりだ』

 

『そいつはこっちの台詞(セリフ)だ。精神(こころ)が幼いままの子供に武装させて、戦わせて、血に塗れさせて、どうするつもりだ』

 

 女の冷たい殺気が視線に込められてリヴェリアに突き刺さる。

 アイズがロキ・ファミリアに来たのは暗黒期の真っ只中のこと、当然危険だから最低限身を守るための武装と、モンスターへの復讐を望んでいたためにダンジョンへとよく突撃していた。

 生まれ故郷を黒龍に滅ぼされた復讐のために力を求めていた。

 幼いままに。

 

王の(自分の)跡継ぎにそういった(力を持たせる)ことが必要だ、そういった(取捨選択の)教育が必要だなんてのはよーくわかる。俺がそうだったからな。だが、この子はそうじゃねぇだろ、こっちの子もそうじゃねぇだろ。そうやって生まれた子じゃなく産んだ子でもなく、てめぇらの都合を押し付けただけじゃねぇか』

 

 家族(ファミリア)という枷をはめて。

 

『どんな恨みや憎しみがあるかは知らねぇし、知ったこっちゃねぇが……ガキの悲しみに(かこつ)けて利用してるようなクソが戯言ほざこうとしてんじゃねぇよ!』

 

 精霊の加護を受けた子、闇派閥(イヴィルス)の手に落ちるのはまずいと思った、黒龍への復讐を願いアイズ自ら(みずから)剣を取った。

 言い訳ばかりが並ぶ。

 幼いままに孤児(みなしご)になった子供(アイズ)哀れだった(他には居なかったとでも?)

 最初は涙を流していたのだ、悲しんでいたのだ、嘆いていたのだ。

 憎しみでもなく怒りでもなく復讐とは無縁の願いが始まりだった。

 自分が弱いから置いて行かれたのだと幼女は考えた、だから力を求めた、その目標が黒龍に定められた。

 逸る気持ちが苛立ちに拍車をかける、憎しみという昏い炎を灯すには十分な時間がかけられた。

 憎しみは始まりの願いとはかけ離れた鬼道、修羅に堕とすには十分だった、だから彼女は剣鬼と呼ばれるように成る。

 

 

 

 始まりは、ただ一緒に居たかった、ただそれだけだった。

 

 

 

 懐かしい夢を見た。

 遊び疲れて眠ってしまった時に父がしてくれたおんぶのような心地良い揺れに、幸せだった時の夢を見た。

 母がいて笑っていた。父がいて嬉しかった。幼い私が笑えていた。

 そんなもう現実に戻ることはない過去に燃やされ尽くした掴もうとすればボロボロに崩れて散っていく戻れない過去の夢。

 背中に回された二の腕に体重を預ける、少女が父親の背中に安心して体重を預ける様に。

 優しかった夢も覚めるときがくる、夢だからこそ覚めるときがやってくる。

 

「んぅ……?」

 

 寝ぼけ眼で覚めようとする頭が回転をし始めるが、片腕で抱かれて運ばれているのに揺れの一つも感じられずに視線が真っすぐ寝ているティオナの寝顔を眺めることになる。

 

「(あれ?いつのまに拠点(ホーム)に戻ってきたんだっけ?)」

 

 しばらくぼぅっとしていたが、今に繋がる記憶を引き当てて、慌て始める。敵対した相手の一振りで四人が一瞬で昏倒して自分とティオナがここにいるということは他の二人は何処にいるのか。

 跳ね起きようとして前から声をかけられた。

 

「アイズとか言ったか、お前はどこまで強くなれれば満足する?」

 

 その言葉の意味を考えて、はたと動きが止まる。

 

『どこまで』

 

 両親を追える(置いて行かれない)だけの強さが欲しかった。

 じゃあ、その強さはどこまで?どのくらい強くなれれば私は置いて行かれなかった?どこまで強くなれば追いつける?

 

『どこまで』

 

 この世から、私から奪った怪物が全て居なくなる迄。背中のイコル(神の血)が熱を持つように熱い。

 復讐こそが私の望み。

 

『本当に?』

 

 だって、この感情に他の表し方がないから、きっとこの復讐こそが正しい。

 

『本当に?』

 

 小さな私が私の目をまっすぐに見て問いかけてくるその光景は夢か幻か、それでそれから目を逸らしてはいけない気がした。

 

『本当に?それがあなたの願い?』

 

「私は、全ての怪物を殺せるだけ、強くなれればいい」

 

 前に立つ女性は溜息を一つついて、頭をかきながら「俺達なら強くしてやれる、ついてくるか?」と不本意そうに私の答えに対して聞いてくる。

 その言葉に私は頷く。

 頷くといつの間にか目を覚ましていたティオナともども地面に下ろされ自分の足で二人について行く。ティオナはついて行く私が心配だからと一緒に来てくれるらしい。

 一度地上に出て、道中に二人が拾っていたマ石を三分の二程換金してオラリオを一通りぶらつきながらどのような鍛え方になるのかの説明や自己紹介などをされていた。

 

「やっぱり恩恵(ファルナ)ってのは外法だねぇ。力ばっかりが高くて技術や知識ってのがその水準に追い付いてないんだよ」

 

 最初はその意味が分からなかったが、拠点(ホーム)に戻るために再びダンジョンに潜るという私たちからすれば訳の分からない最中に見せられた技、それをまずは覚えろと指示された。

 ゴブリンやコボルト達相手に見せられる生きたまま灰になる瞬間、いつの間に抜き取られたのか小指の爪先程度のマ石。

 止まっていると言っても過言ではないほどのステータス差がありながらも、アイズ達は失敗続けで何度も挑戦しているうちに通路に怪物(ミノタウロス)の咆哮が耳に届く。

 

 

 




 孫堅 真名:炎蓮(イェンレン)
 真・恋姫世界にて死亡するはずだったところをバーンに拾われ超魔生物へと改造されている

 デス・バウンド 振るう剣もしくは腕から衝撃波を飛ばし広範囲を攻撃する物理技、魔力ではなく生命力を消費する技だが超魔生物の回復能力でごり押しすることが可能
上位技に奥義一閃や空間殺法、冥界波、モータルジハードなどが存在する


カズト達が教えようとしているのは意識の隙間を縫った一撃、弱点の見極め、極限まで無駄を省いた攻撃
認識さえできれば素人でも見ることは出来る速度で行われている
ハンター×ハンターのキルアが死刑囚にやったハツ抜きをスピードではなく技量のみでやるようなもん
それぞれ隠密必中、確定クリティカル、防御無視に分かれるのでどれに気づくかで教える物が変わってくる
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