ウソ予告から始まるのは間違っているだろうか   作:ししお

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ベル君のステータス、憧憬一途二重発動
先のは始めから発動してるのにあの速度での成長です


第五話「過去の傷痕、過去に降り立つ英雄」

「人化の指輪よし、ナザリックの隠蔽よし、さてほかのみんなに追いつこうか」

 

 なだらかな丘陵に現れてしまったアインズ・ウール・ゴウンの本来であれば本拠地となる地下墳墓を地面を盛り上げる形で覆い隠し、中にいる者たちの代表となる自身の息子に統括を新任して手をパンパンと土を払うように打ち合わせる。

 見えていた街の方を見ていれば一角に黒煙が上がっていた。

 

「いや、なんで?」

 

『もっしもーし』

 

「弐式さんです?何がありました?ここから黒煙が上がってるのが見えるんですけど」

 

 メッセージという魔法で音声のやり取りができる事を利用して連絡を取り合う事が当たり前となっている彼らには、目の前にある街での技術的にはどう映るのだろうか。

 

『なんか犯罪者が腹マイト決めて自爆兵作ってるっぽいんでどっちも助けたんだけど、どうしようか』

 

「拾った弐式さんが面倒を見るということで」

 

『ヒドイ!?えー……えぇ……俺、子供(ガキ)の面倒なんて見たことねぇよ?』

 

 困惑する弐式の声に悟は笑顔で返事をしながら、為政者として執行人へと冷徹な命令を下す。

 

「それはそれとして、犯罪者には断罪の刃を、甘言を持って死を齎すものに冷たい鋼を」

 

『あいよ』

 

 友人との楽しい歓談の時間は終わりと云わんばかりに為政者としての顔を見せる、弐式も私事から仕事へと意識を切り替えて行動へと移す。

 すでに眼下には黒煙を上げていた工場が広がっており、天井を砕いて戦闘の真っただ中へとダイナミックエントリーする。

 複数人へと即座にメッセージを繋げて指示を飛ばしていく。

 

「ヒーラーは施設院へ、救助支援。タンク各員は近場の避難場所にて防衛。アタッカーは暴れている犯罪者が居れば手当たり次第で構わない。サポーターは各自各判断で連絡を密に。さぁ、我らアインズ・ウール・ゴウンの弱者救済(悪逆)を行っていこう」

 

『応!』

 

『わかった』

 

『了~解』

 

 異語同意の返事がメッセージを通して返ってきた瞬間に手を横に振るえば数百体のスケルトンたちがそれぞれの手にボロボロの錆びた剣と所々が欠け朽ち腐ったスモールシールドを持って現れる。

 

 

 

 甲高い叫び声。

 悲壮を通り越して哀れに聞こえるその叫喚に、アーディは振り向きざま剣を薙いだ。

 己の背を狙った一撃を弾いた彼女は、次には目を見開く。

 

「なっ……子供!?」

 

「(……ありゃぁ、ヴィクティムと同じか。なら照らし合わせてる情報から)」

 

 何とはなしに剣呑なふいんき(なぜか変換できない)が漂う建物に潜入した弐式はその二人を見るなり気が付くと音もなく駆け出していた。

 白濁色の頭巾とローブを纏う少女と青髪の少女(アーディ)に向かって自由落下の遅さに舌打ちしながら間に合えと手を伸ばす。

 ヒューマンと思しき少女はナイフを持つ手を押さえ、瞳に涙を浮かべていた。

 

「ぁ、ぁぁ……」

 

「こんな幼い子まで巻き込んで……!」

 

 普段は温厚なアーディが宿すことのない怒りが、はっきりと浮かぶ。

 年端もいかない子供が打ち震える姿は、煽情にそぐうはずもない光景だ。

 無力な少女をも駆り出す闇派閥(イヴィルス)に瞋恚の炎を灯しながら、アーディは少女のもとへ駆け寄る。

 

「ナイフを捨てて!戦っちゃダメだ!君みたいな子に武器を持たせる大人のいうことなんか、聞いちゃいけない!」

 

 弐式はアーディの放つ声に、なんとも言えないと顔をしながら、考えていた罠に符合してしまうことに眉を顰める。

 アーディ(弐式)が信じる『正義』に従って、震えるだけの少女を救おうとする。

 呼びかけられた少女は瞳を見張り、それから眦をぐしゃぐしゃに歪め、ぽろぽろと涙を零した。

 

「私は君を傷つけたりしないよ?さぁ、こっち――――」

 

 少女の目の前で、剣を下ろして、もう片方の手を差し伸べる。

 少女はぼうっとその手を見て、己の右手を伸ばし、左手で小さな胸を握りしめる。

 その間に姿を隠した(完全不可知化の)ままの弐式がちょうど降り立ち、二人の両手を見えない速度で掴む。

 

「――――ヒャハッ」

 

 そして、それを見たおんなは両眼を細めて嗤った。

 

「……………………かみさま」

 

 瞳から輝きを失い、声から感情も消し、少女は唇を震わす。

 敵意も殺気も、『正義』も『悪』も抱くことなく、少女はただ願った。

 

「おとうさんとおかあさんに、会わせてください……」

 

 死した父母との再会を神に請うて、胸に隠していた『装置(スイッチ)』を起動させる。

 それは弐式の力を込めた跳躍と同時の出来事だった。

 炸裂、衝撃、振動、そして爆熱。

 

「「「「「―――――――――――――っっ!?」」」」」

 

 シャクティが、アリーゼが、輝夜が、ライラが、【ガネーシャ・ファミリア】の団員が、そしてリューが、知覚上限を越えた情報量になすすべなく吹き飛ばされた。

 炎を帯びた閃光が視界を白く塗りつぶす、耳を聾するほどの爆音は聴覚の意味を奪った。

 地の底で蠢くバケモノの唸り声のような振動が建物全体を揺るがす。

 鉄製カーゴがいくつもひしゃげ、飛び、まさしく崩れ落ちる城の如き倒壊の音を連鎖させた。

 大瀑布、あるいは雪崩のごとき音の津波、何の前触れもなく大破壊が巻き起こり、その作用に何人もの冒険者が翻弄される。

 そして、受け身も取れずに吹き飛ばされ、煤と埃を被る冒険者の中で、リューは震える体を起こした。

 頭を貫く耳鳴り、ちかちかと明滅する視界が徐々に収まっていくと、視線の先の光景は抉れていた。

 

「…………え?」

 

 漂う煙が晴れ、カラカラと石材と金属片が乾いた音を鳴らして転がる。

 ごっそりと、何もかも抉り取られた空間が顕わになる。

 何もかも、粉微塵に吹き飛んでいた、壁も、床も、少女達も、跡形もなく。

 

「…………ぇ?」

 

 リューは理解を拒んだ。

 

「…………うそ」

 

 アリーゼは凍てついていた。

 

「…………まさか」

 

 輝夜は悪夢を見た。

 

「………………自爆した?」

 

 ライラは誰よりも早く、現実を把握してしまった。

 

伝言(メッセージ)、もっしもーし。…………なんか犯罪者が腹マイト決めて自爆兵作ってるっぽいんでどっちも助けたんだけど、どうしようか」

 

 弐式は少女たちを抱きかかえた状態で皆の後ろの方の壁にめり込んだまま、メッセージを繋いでいた。

 抱きかかえられた少女二人は文字通りの接触距離での爆発の衝撃で目を回していた。

 

「ヒドイ!?えー……えぇ……俺、ガキの面倒なんて見たことねぇよ?」

 

 

 

 嘘だ。

 ガキの面倒を見ていたことはある。

 ただそれは孤児を少年兵へと教練するものであり、技術を叩き込んで即興の油断させやすい子供の暗殺者(アサッシン)を作り上げる事だった。

 父母に会いたいと願う、真っ当な子供の面倒をみたことはない……むしろ真逆にいた存在だ。

 そんな生活だったからこそ、個人としての友人だった武御雷と一緒になってあの世界ではゲームに傾倒していた。

  犯罪者には断罪の刃を、甘言を持って死を齎すものに冷たい鋼を、ただその言葉で心のスイッチを切り替える様に、無罪のものも含めた夥しい血に塗れた手に短刀をそれぞれに持つ。

 もうそのあとはただの蹂躙だった。

 

 

 

 七年も前の事、あまり口に出すものは居ないが暗黒期と呼ばれるオラリオを襲った災害というか人災……いや、最後のアレはやはり災害だったのかもしれない。

 片翼でオラリオの空を覆い夜のように影を落とした推定黒龍と思われる怪物。

 そんなものを思い出し、今回ぷにっと萌えさんからギルマスであるアインズさんがもたらした情報の精査をする為にダンジョンに潜っているが、また何かしらが始まる予感だったのかもしれない。

 

「もう70階だが………………ペンギン?いや何で工事してんだ?」

 

 目の前に現れたのは工事用メットを被り、つるはしやスコップ、赤い電灯を持っている謎の連中に出会った。

 

「今、工事中っすよ」

 

「通行禁止っす」

 

 その状況はアインズさんの報告にあった通りのことで、確かに「ペンギンのようなものがダンジョンを工事しているらしい」という状況そのものだった。

 

「あー、悪い。こっちでも状況を知っておきたいんだが、どんな工事をしてるんだ?」

 

 ペンギンたちは相談し始め、話してもいいのかどうか悩んでいる様子だったがしばらくすると説明をし始める。

 

「いわゆる不思議のダンジョンっす!」

 

「自動書き込みされる白紙の地図を売りにするっすよ」

 

「世界樹の葉も販売して安全にも配慮するっす。全滅したら外に蹴りだしてやるっすよ」

 

「ほうほう、それはまた面白そうだな。なら入ったやつでランキング出してやったらどうだ?競争心だとか煽ってやれるぜ」

 

 一緒になって和気藹々とあーだこーだと案を出しながらも冷静に、千年もの間挑まれ続けたダンジョンのシステム(在り方)そのものを作り変えるような何者かが生まれたことを確信していた。

 時間稼ぎをしながらも、所詮時間稼ぎにしかならないと自覚しながらペンギンもどき改めプリニー達から情報を抜き取っていく。

 プリニー達のまとめ役はカリンという名の魔王、ダンジョン改築の目的などを抜くことが出来たが最終的な目的は確認できなかった。

 カリンという人物が何を目指しているのか、そこだけは謎だけだった。

 

 

 

 

 僕はカハクの事を説明しながらファミリアの皆で食事をとっていた。

 いつもの白銀のフルアーマーから普通の街の人と言われてもあまり違和感のないタッチ・ミーさん、二本の角を持つ長身の老人で団長と同じくマジック・ユーザーと思われるバーンおじいさん、七年前から容姿が変わっていないと街の女性陣から羨望の眼差しを向けられているエンリ・スズキ=ラ・カルネさん、名字からわかる様に団長の奥さん。

 そして恩恵(ファルナ)は刻んではいないけど一緒に暮らしているお姉ちゃん。

 

「……このことは誰にも話さないでくれ」

 

 神様はそうおっしゃったがそれに対して待ったを団長がかける。

 

「もうぷにっと萌えさんが知ってるから、ウラヌスにも話が通る。それに街中でも『話すモンスター』を従えるサマナーやテイマーと呼ばれる冒険者もちらほら居るから、むしろ堂々としておいた方がいいと思う」

 

 団長の言葉に追従するようにお姉ちゃんが口を開く。

 

「もう契約、交わしちゃってるんでしょ?カハクと」

 

 お姉ちゃんの言葉はまるでカハクのような存在の事を知っているという言葉そのものだ。

 

「アラク君、それは一体どういうことだい?」

 

「どうもこうも、カハクのような存在を昔から知っている。それだけよ?誰が繋いだ、かは知らないし何が原因かはわからないけど。マ石……生体マグネタイト結晶石が生成されている以上何かしらかの厄介ごとが起きるのは確かでしょうね」

 

「カハクちゃん自体が害になるということはないの?」

 

「いや、さすがにこの小ささじゃ出来てもせいぜいが悪戯位じゃないかな。契約が結ばれているっていってるしそうそう悪さなんてのもできないだろうし、私は特に問題があるとも思えないんだけど」

 

 エンリさんの疑問にタッチさんが残留に賛成を投げてくれる。

 

「情報を纏めるとじゃ。元々この世界とは別の異世界(魔界)が存在しておりそこから流入している存在がいる、その一つがカハクということじゃな。そのことを天上で見ていながら知らなかった神、対して知っておるアラク……どういう関係性でダンジョンからマ石が取れるか、その性質を利用してモンスターに仕立て上げていた何者かがいた、と考えるのが妥当じゃろうな。仮にそれを迷宮の主(ダンジョン・マスター)とでも呼ぼうかの。ではそやつの目的は?世界を自身で作り上げたモンスターの楽園にする事か、はたまたモンスターという弱体を課して英雄を創り出す事か、少なくとも太古からモンスターが跋扈しており神が地上に居なかった事を考えると……天界に挑もうと吠えた者かも知れんの」

 

 バーンおじいさんの推測に神様は一度ぶるりと身を震わせながら、大きく息を溜めてから溜息と共にそれを否定する言葉を吐く。

 

超越存在(デウス・デア)に挑むって……その子は神にでもなろうっていうのかい」

 

「さぁてのぅ?ところでアラクよ、お前さんその異世界(魔界)からの転生者じゃろ」

 

 はぐらかすような言葉にお姉ちゃんに投げかける質問は冗談のような軽いもので、その対応もひどく軽いものだった。

 

「えぇ、そうよ」

 

 

 




アラク・クラネル 種族:人間
力:C
耐久:D
器用:S
敏捷:B
魔力:A

備考:都市リューディア出身の染織職人であったがその腕前を誇り、アテナよりも織物の腕は上だと豪語したためにアテネ自身がそれを諌めるため、老婆に化けた状態で下界に降りたがその言葉を撤回しないためにアテネは正体を現し織物勝負をすることに、一説には女神アストレアがこの勝負の審判を務めたという
非の打ちどころのないあまりもの出来栄えにアテネはその腕を認めながら、アラクネの作り上げた作品を破り捨て、打ち据えた上にアラクネが死亡すればトリカブトの粉を撒き蜘蛛の化け物に変えた
このような出自のために女神アテネ、女神アストレアに心を開くつもりは毛頭ない
唯一、都市の守護神であったヘラには「まぁ、信仰するならこの神様かな」程度には心を開いているとか

職人気質、自身の作るものに妥協することなく最高の作品を作り上げる
前世はアルケニーとして崩壊したトウキョウでカズトの仲魔となり、最終決戦(召還プログラム起動)にてギリシャ神軍を縫い留めるために殿を務め、アテネ、アストレアを道連れに死亡している

「相手が神でも手を抜かないのが職人魂ってもんでしょ」
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