ウルベルトさんはリアルと違うの、魔術魔法が使える世界なので出来ちゃいました
地下水道もしくは下水道というべき場所に一人紳士然としたスーツ姿の老人が靴音を鳴らしながらその地下道へと踏み込む。
ポケットから何やら小さなカプセルを取り出し放り投げれば、煙が立ち上がり十人という白銀の鎧に身を包んでその姿を現す。
「さて、浅い悪党とはよく地下に身を潜める。なんとも考えが浅いものよ」
門の前に立ち開錠を命じる。
鎧に身を包んだ者が一人、火花を散らすトーチ、レーザーカッターを取り出しバチバチと音を鳴らしながら重厚そうに見える門を焼き切り突入路を創り出す。
レーザーカッターを腰に仕舞い、
人工的に作られたダンジョンの中には魔石灯が等間隔に連なり、それなりのセンスというものは感じるがアダマンタイト製の壁の黒々しさが明るみを感じられない。
「こういう場所では、暖色ではなく寒色の方が映えるであろうよ。欲を言えば緑、黄土色であれば不気味さも出るか。制圧後には取り換えるとしよう」
「なんだ───」
入ってきた者たちに気付いたのか灰のローブに身を包んだ者たちが、警戒の色をにじませるがキュインと銃身が回る音が響いたと思えば、ミニガンから炸裂音を響かせながら銃弾が吐き出され弾丸が通過するたびに肉が弾け、骨が砕け、神経が弾丸の熱で焼かれ、弾け散りながら、言葉を言い切ることもなくミンチに変えられる。
「制圧───敵対生命ナシ」
飛び散った銃弾は半秒後内側から破裂してミンチからペースト状の血溜まりへと変えていく。
それを後ろからついてくる数名が透明なタンクを担ぎ、吸引機を使い吸い込んでいく。
「うむうむ、後の材料じゃからの……一人残らず回収せよ」
進む一団に気付いたものは即座にミンチにされ回収されていく。
魔法も自決用装置を使う暇もなくただ無力に、意志を無意味に、意味を無価値に、作業の様にただただ駆逐されていく
異変に気が付いたものが徒党を組み植物型のモンスターをぶつけようとするが、列をなしたミニガンの銃弾の嵐の中、短い悲鳴が垂れ流される銃声の中に消えていくだけだった。
「なぁに、これで貴様らも先に逝った家族に会えるであろう?地獄か天国の違いはあるかもしれんがのう。実に無意味、その願いは実に無価値よの」
クツクツと喉を震わせ小さく笑いながら、このダンジョンの内装をどうしようかと考えを巡らせる。
ここに闇派閥の一大拠点クノッソスは、邪悪の腰掛に選ばれた。
ただ単に制圧しようとも誰からも文句を言われず、表に置いて知りようのない場所だというだけで。
ディオニソスは
「
透明な巨大なシリンダーの中に浮かぶ今は幼女の姿に満足気にしながら、三日月状の笑みを浮かべる。
流れ込む水流モーターを回転させながら発電させ、駆動音が幾つもの機械が動いていることを知らせる。
配線は多岐にわたり、その繋がる先には男神の立つシリンダーとは別に列をなす幾種もの怪物が眠るシリンダーへと繋がっている。
もみ手をしながらそれらを組み立てさせられた人間が恐怖に耐えきれなくなったのか、かすれた声で口を開く。
「ひ……ひひ……た、助けてくれよぉ……な、なぁ投降したんだ。助け──」
眼鏡をかけた細顔の男、ザニスは悲壮の表情でただ生きることを望み、そのこめかみに銃口を突きつけられそれ以上の言葉を続けることが出来なくなる。
そのまま首を掴まれずるずると引き摺られるようにクノッソスの暗闇へと連れられて行く。
「いやだぁっ!!────た、助けっ!アビャァッ──」
助けを求める声を上げる中バチィッとはじける音に悲鳴が混じりそれっきり静かになった。
ダンと重たいものが振り下ろされる音と飛び散り砕けるようなビチャリという水音、そしてピチャリピチャリと滴る様に何かが落ちる水音がするだけだった。
「異なる世界とはいえ息子エレボスはこの街に悪を説き、正義を問うた。ならば儂がそれを引き継ぐのもまた一興、真の悪を見せてくれよう」
マ石工業の発展こそあった、だが人の歩みは遅々としてその歩が離れることはない。
神々が降りてきて停滞が起きた、モンスターという外敵はいる、人の子が滅亡の岐路につかされていたのは確かだろう、だが英雄は生まれその滅亡を押し返した。
神々は
そのままでも抗う術を生み出すでもなく、技術は発展していない。
「人の業、科学の特徴は知識さえあれば再現性が極めて高い事よ。個人しか持ち得ぬ力の非力さを知らしめてくれよう。千年、千年もの時があれば人はその手に持つ物を変えていた、神がそれを止めさせたのだ、ならば
口は三日月の笑顔のまま眼だけが爛々と輝きを灯していた。
最下層そこは暗闇ばかりが広がる世界だった。
「そっち工事が遅れてるわよ」
くるくると巻かれた金髪のツインテールを揺らしながら、プリニー達が連れてきた喋るモンスター達を指揮しながらダンジョンを新たに作り上げていくカリン。
「ここはこんな感じか?」
「いえ、装飾を施してみてはどうでしょう」
一部屋一部屋モンスター達による制作で出来上がっていくそれは人の感性ではダンジョンの一部とそう変わらないように見えるのかもしれない。
ダンジョンとはモンスター達の住処であり、寝床でもある為そういった色が出てしまうのかもしれない。
リドと呼ばれるリザードマンの作り出した部屋は熱帯雨林のような沼地に樹木に絡みつく蔦、足元を覆い尽くす葦の穂。
それは移動を阻害もするし足元への注意も疎かになりかねない天然のトラップともなりうる。
レイというセイレーンの作った部屋は高山を模した切り立った崖や浮遊する小さな足場、落ちてもそこまで高さはないが上るには相応の苦労はさせられるだろう。
「地上の冒険者たちを歓迎する部屋なんだからきちんと作りなさいよ。アトラクション性も忘れずにね」
「いや、あとらくしょん性ってなんだよ。冒険者楽しませんのかよ」
リドは今一つカリンという人物の考えが理解できずにぼやきを入れながら、ここに連れられてきた経緯を思い出す。
ダンジョンから帰還するのとは違う形で下から順に正確に調査するモンスターと出会ったのは、仲間たちと一緒にダンジョンで戦っている最中だった。
見たこともないモンスター、まるで何かの皮を縫い合わせたような珍妙な着ぐるみを思わせる海洋生物のような、鳥類というには羽が小さすぎるよくわからないもの。
「こっちは隠し部屋の類はないっすね」
「こっちはなんか光ってる部屋にモンスターが大量にいるっすね」
見たこともないモンスターなはずなのになぜかそれは人間だとそう本能が感じる。
紙に何か素早くペンのようなもの走らせたかと思えば、両手にそれぞれナイフを持ち襲い掛かるモンスターを蹴散らしていく。
その技術は鮮やかとしか言い表し方を知らず、呆然と見ているしかできなかった。
見ているうちにみるみると振るわれる爪にナイフを滑らせ素早く翻すと棟打ちにしていく、その姿は異形でありながらいっそう荒々しいながらも美しいとも思える。
たった二体のモンスターは次々と攻撃を捌きながらカウンターで気絶させ、マ石を取るわけでもなくそのままにしていく。
その内襲うモンスターは少なくなり、同じフロアにいた自分たちに視線が向く。
その瞳はまるで作り物のようで下手な殺気を向けられるよりも狂気に満ちているように感じられた。
「んん?なんか変っすね」
「意志がみえるっすね。初めて見るっすよ」
変なモンスターはナイフを収め、朗らかに手?手羽?を振りながらこちらに近づいてくる。
「ハローハローっす。こっちの言葉分かるっすかね?」
「あ……あぁ、わかる」
思わず毒気を抜かれてしまい、返事を返してしまう。
喋れるモンスター、そんなものは珍しいとフェルズに釘を刺されていたにも関わらずに、だ。
「おおっ!そいつは良かったすよ。カリン様に仕えてお仕事しないっすか?このダンジョンを作り変えるお仕事っす」
嘴から出される言葉に訳が分からなかった。ダンジョンを作り変える?仕えて仕事?おいらたちはモンスターだぞ。
「おいらたちはモンスターだっ!」
「そっすね?」
「ダンジョンを作り変える!?おいらたちに何ができるっていうんだっ!」
「案くらいは出せると思うっすよ」
「仕事しておいらたちに何をしてくれるっていうんだよっ!」
「身の安全と命の保証、あとは……生きようとするなら願いを叶える手伝いをしてやれるっす」
ニッと笑って叫びに返事を返す珍妙な奴。
その叫びを聞いてか、それとも網を張られていたのか、冒険者が来る足音が響いてくる。
「おい、こっちだ。居やがったぜ。喋るモンスターどもがよ」
集まってくる冒険者たち、切り抜けるためにそれぞれが持つ武器に力を込めるが、それに待ったをかける様に片手を広げ前に出るもう一人。
「んじゃ、契約履行のために頑張るっすよ」
冒険者の数は10を超えて、この階層に来るくらいなのだから上級冒険者とか言われる奴らな筈。
それがトンッという足音が響いたかと思えば宙を舞っていた。
「は?」
皆と一緒に目が点になった。
どしゃどしゃと音を立てて地面に落ちる冒険者たちを尻目に「とっとと帰らないと日が暮れちまうっすよー……ダンジョンだからお日様みえねぇっと笑うとこっす」などと冗談を飛ばし、俺たちはそれから逃れる術なんて持たない為、素直について行く。
どんどん下に下に降りていき、ここが何階かわからないほどに時間が経った頃にようやく巨大な門を持つ、今まで過ごしてきたダンジョンとは異質な別の何かに辿り着く。
「ここがカリン様の居る泰山ダンジョンっすよー」
機械化兵(アーマード・トルーパー) 出展:オリジナル
劣化ミスリル鋼の装甲に身を包んだ機械兵、武装にミニガン、超振動ナイフ、単発式ショートバレル・ビーム・ショットガンを基本武装にレーザーカッター、生体センサー、音響ソナー、回収装置などを備える
レベル3以下を速攻でミンチに変えていく命なき兵士たち
中身は全て機械で作られており、葛藤も躊躇もなく命を刈り取っていく白銀の兵隊
材料と製造プラントがあればいくらでも生産可能、クノッソスとは別の場所にて生産されている