モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~ 作:メソポ・たみあ
ソリン・フラテウス。
ダンプリのメインヒロインの一人であり、ゲーム内では
性格は大人しく気弱。
だが静かで包容力があり、一部のプレイヤーには高い人気を誇っていた。
また薬師としても非常に優秀。
ロゼが剣と魔法の才女なら、ソリンは薬と支援の才女と言ってもいい。
体力回復から状態異常回復まで様々な状況に対応できることから、ゲーム内パーティでは名誉必須メンバーだった。
実際俺も随分お世話になったなぁ。
……しかしまさか、ロゼに引き続きソリンとも遭遇してしまうとは。
これって偶然?
だとすれば、凄い偶然があったもんだ。
「それじゃあ、スピカちゃんは生まれた時からノエルさんと一緒なんですね。なんだか凄いです~」
「いや~、それほどでも」
「きゅーん♡」
「ウフフ、スピカちゃんもノエルさんのことが大好きみたい。見ているだけで幸せになります」
俺たちは
……と、そうだ。
そういえば彼女も――
「なあソリン、さっき薬屋の人とハーブの話をしてたみたいだけど……」
「! えっと、それは……」
「最近ハーブ系が入荷してない場所が多いよね。俺も困ってるんだ」
「ノエルさんも、ですか?」
「うん。スピカのごはんに加えたいと思ってるんだけどさ……」
「きゅーん……」
食べてみたいのに……。
と残念そうな鳴き声を上げるスピカ。
ごめんよ……。
俺も早くキミに食べさせてあげたいんだ……!
チクショウめ!
一体なにが原因でハーブ系の流通が滞ってるんじゃい!
「ソリンはなにか知ってる? どうしてお店にハーブが入ってこないのか……」
「……心当たりはあります」
「え?」
「きゅーん!?」
え、マジ?
適当に聞いてみただけだったけど、なにかご存知でいらっしゃる?
「実は――少し前から、『テミナ街道』にコボルトの盗賊団が出没するようになったんです」
「コボルトの……盗賊団?」
「はい。彼らが徒党を組み、縄張りを作ってしまったようで……」
――コボルト。
モンスターの中でも亜人に分類される種で、とても賢い生き物だ。
基本的に群れで過ごし、人里離れた場所で狩りをして生活している。
でも稀に、商人の荷馬車を襲う旨味を知ってしまう時があるのだ。
ダンプリでもあったなぁ。
コボルト盗賊団から商人を助けるイベント。
懐かしい。
で、今回も同じように――
「コボルトの縄張りに、街道付近が入ってしまったと」
ソリンは静かに頷く。
彼女はため息を交えて、
「ほとんどのハーブは『テミナ街道』を通って西方から送られてきていたんです。そこが通れないとなれば……」
「商人たちは大きく迂回するしかない。それでハーブが届きづらい状況になってるワケか……」
――なるほどな。
荷物が通る最短ルートを潰されて、これまでより輸送が難しくなってるのか。
それでハーブが届きづらい状況になっていると。
「組織化したコボルト相手では商人ギルドも手を焼いているようで……。薬師の私たちも本当に困っているんです」
「ハーブ系は回復薬の基本材料だもんね。そりゃそうだ」
薬師からすればたまったもんじゃないだろう。
ハーブが手に入らないと、ポーションだってまともに作れないんだ。
もう作業にならないはず。
……でも、コボルトねぇ。
アイツらだったら――
「ふぅ……。やっぱり、私が自分でなんとかしてくるしかないでしょうか」
「え? ダ、ダメだよ! ソリンは回復専門で、ソロでの戦闘はからっきしなんだから!」
「……? 私が戦闘を苦手だって、どうしてノエルさんがご存知なんですか?」
――あっ。
しまった、口が滑った。
ダンプリにおいて、ソリンは完全に支援特化のキャラ。
パーティには必須級だけど、体力や攻撃力はほぼ最弱。
ソロでコボルトの群れになんて突っ込んだら、すぐ返り討ちにあうに決まってる。
だからつい反射的に止めてしまった……。
「そ、それはほら、戦闘が得意な薬師なんて聞いたことないからさ!」
「た、確かに私ができるのなんて爆裂瓶を投げるくらいですけど……うぅ……」
「そんな顔しないでよ。俺たちも
「え? ですが――!」
「俺もハーブが必要なんだ、この子のためにね」
そう、利害は一致する。
正直モブとしては、メインヒロインと積極的に関わるのは避けたくはある。
俺は静かにスピカを育てたいだけだから。
それにどうせいつか、主人公とのイチャラブを見せつけられるんだもん。
仲良くなればなるほど、後々悲しくなりそうでな……。
……ま、それは抜きにしてもハーブが必要なのは間違いないし。
学園のことを考えても放ってはおけない。
それに――
「それに――たぶんスピカも同じ気持ちだろ?」
「きゅーんッ!」
勿論! コボルトを懲らしめてやる!
と、スピカは勇ましく咆哮。
そう、
なにせ今の彼女は、レベル10のドラゴンだからね。
次話は20:30に予約済みです。
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