モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~   作:メソポ・たみあ

16 / 90
第16話 ハーブが手に入らない理由

 

 ソリン・フラテウス。

 

 ダンプリのメインヒロインの一人であり、ゲーム内では 回復役(ヒーラー)を担っていた子だ。

 

 性格は大人しく気弱。

 だが静かで包容力があり、一部のプレイヤーには高い人気を誇っていた。

 

 また薬師としても非常に優秀。

 ロゼが剣と魔法の才女なら、ソリンは薬と支援の才女と言ってもいい。

 

 体力回復から状態異常回復まで様々な状況に対応できることから、ゲーム内パーティでは名誉必須メンバーだった。

 

 実際俺も随分お世話になったなぁ。

 

 ……しかしまさか、ロゼに引き続きソリンとも遭遇してしまうとは。

 

 これって偶然?

 だとすれば、凄い偶然があったもんだ。

 

「それじゃあ、スピカちゃんは生まれた時からノエルさんと一緒なんですね。なんだか凄いです~」

 

「いや~、それほどでも」

 

「きゅーん♡」

 

「ウフフ、スピカちゃんもノエルさんのことが大好きみたい。見ているだけで幸せになります」

 

 俺たちは市場(バザール)の中を歩きながら話をする。

 

 ……と、そうだ。

 そういえば彼女も――

 

「なあソリン、さっき薬屋の人とハーブの話をしてたみたいだけど……」

 

「! えっと、それは……」

 

「最近ハーブ系が入荷してない場所が多いよね。俺も困ってるんだ」

 

「ノエルさんも、ですか?」

 

「うん。スピカのごはんに加えたいと思ってるんだけどさ……」

 

「きゅーん……」

 

 食べてみたいのに……。

 と残念そうな鳴き声を上げるスピカ。

 

 ごめんよ……。

 俺も早くキミに食べさせてあげたいんだ……!

 

 チクショウめ!

 一体なにが原因でハーブ系の流通が滞ってるんじゃい!

 

「ソリンはなにか知ってる? どうしてお店にハーブが入ってこないのか……」

 

「……心当たりはあります」

 

「え?」

 

「きゅーん!?」

 

 え、マジ?

 適当に聞いてみただけだったけど、なにかご存知でいらっしゃる?

 

「実は――少し前から、『テミナ街道』にコボルトの盗賊団が出没するようになったんです」

 

「コボルトの……盗賊団?」

 

「はい。彼らが徒党を組み、縄張りを作ってしまったようで……」

 

 ――コボルト。

 モンスターの中でも亜人に分類される種で、とても賢い生き物だ。

 

 基本的に群れで過ごし、人里離れた場所で狩りをして生活している。

 

 でも稀に、商人の荷馬車を襲う旨味を知ってしまう時があるのだ。

 

 ダンプリでもあったなぁ。

 コボルト盗賊団から商人を助けるイベント。

 懐かしい。

 

 で、今回も同じように――

 

「コボルトの縄張りに、街道付近が入ってしまったと」

 

 ソリンは静かに頷く。

 彼女はため息を交えて、

 

「ほとんどのハーブは『テミナ街道』を通って西方から送られてきていたんです。そこが通れないとなれば……」

 

「商人たちは大きく迂回するしかない。それでハーブが届きづらい状況になってるワケか……」

 

 ――なるほどな。

 荷物が通る最短ルートを潰されて、これまでより輸送が難しくなってるのか。

 

 それでハーブが届きづらい状況になっていると。

 

「組織化したコボルト相手では商人ギルドも手を焼いているようで……。薬師の私たちも本当に困っているんです」

 

「ハーブ系は回復薬の基本材料だもんね。そりゃそうだ」

 

 薬師からすればたまったもんじゃないだろう。

 

 ハーブが手に入らないと、ポーションだってまともに作れないんだ。

 

 もう作業にならないはず。

 

 ……でも、コボルトねぇ。

 アイツらだったら――

 

「ふぅ……。やっぱり、私が自分でなんとかしてくるしかないでしょうか」

 

「え? ダ、ダメだよ! ソリンは回復専門で、ソロでの戦闘はからっきしなんだから!」

 

「……? 私が戦闘を苦手だって、どうしてノエルさんがご存知なんですか?」

 

 ――あっ。

 しまった、口が滑った。

 

 ダンプリにおいて、ソリンは完全に支援特化のキャラ。

 

 パーティには必須級だけど、体力や攻撃力はほぼ最弱。

 

 ソロでコボルトの群れになんて突っ込んだら、すぐ返り討ちにあうに決まってる。

 

 だからつい反射的に止めてしまった……。

 

「そ、それはほら、戦闘が得意な薬師なんて聞いたことないからさ!」

 

「た、確かに私ができるのなんて爆裂瓶を投げるくらいですけど……うぅ……」

 

「そんな顔しないでよ。俺たちも手伝う(・・・)から」

 

「え? ですが――!」

 

「俺もハーブが必要なんだ、この子のためにね」

 

 そう、利害は一致する。

 

 正直モブとしては、メインヒロインと積極的に関わるのは避けたくはある。

 

 俺は静かにスピカを育てたいだけだから。

 

 それにどうせいつか、主人公とのイチャラブを見せつけられるんだもん。

 仲良くなればなるほど、後々悲しくなりそうでな……。

 

 ……ま、それは抜きにしてもハーブが必要なのは間違いないし。

 学園のことを考えても放ってはおけない。

 

 それに――

 

「それに――たぶんスピカも同じ気持ちだろ?」

 

「きゅーんッ!」

 

 勿論! コボルトを懲らしめてやる!

 と、スピカは勇ましく咆哮。

 

 そう、アイツら(コボルト)だったら――スピカで十分に蹴散らせると思う。

 

 なにせ今の彼女は、レベル10のドラゴンだからね。

 





次話は20:30に予約済みです。

何卒、評価とお気に入り登録して頂けると嬉しいです!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。