モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~   作:メソポ・たみあ

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第17話 緊張感ないなった

 

 そんなワケで『テミナ街道』にやって来た俺、スピカ、ソリンの三人。

 

 地平線まで伸びる石畳の道、

 その道を左右から挟み込む背の高い草木、

 そして澄み切った青空、

 

 ――ダンプリで見た景色と一緒だ。

 

 『テミナ街道』も一応ダンジョンとして存在してたんだよな。

 

「きゅーん!」

 

「こらスピカ、あんまり離れるんじゃないぞ?」

 

 だだっ広い空間が新鮮なのか、上空をパタパタと飛び回るスピカ。

 

 調教場も広いけど、流石に地平線までは見えないからな。

 

「ウフフ、スピカちゃん楽しそうですね」

 

 ソリンも心なしか楽しそう。

 

 やはりウチの子は世界中の人々を笑顔にしてくれるんやな。

 ホンマ流石やで。

 

 ……ま、それはそれとして、

 

「でも油断はできない。いつコボルトが襲ってくるかわからないんだからな」

 

 こうして一見無防備に歩いていれば、その内コボルトたちも出てくるはず。

 

 奇襲には備えておかないと。

 

 俺がそう考えていると、

 

「……そういえば、ずっと考えていたんですが……」

 

「ん?」

 

「どうしてコボルトたちは荷馬車を襲うのでしょうか?」

 

 なんとも腑に落ちない様子で、ソリンはそんなことを言う。

 

 俺は一瞬呆気に取られ、

 

「どうしてって……それは食料を奪うためでは?」

 

「西方から来る荷物に食料は多くありません。それにこの辺りは十分な食用動植物が自生しています」

 

「それは……言われてみれば……?」

 

「危険を冒してまで荷馬車を襲う理由が空腹だとは、とても思えなくて……」

 

 悩ましい顔をするソリン。

 

 そういえば、『テミナ街道』にはそれなりの種類のアイテムがリポップするな。

 

 中には”サイコロりんご”のようにコボルトたちの食べ物になる物も多く含まれてる。

 

 この辺りが不作イベントに見舞われたなんて話も聞いたことがない。

 

 にもかかわらず、組織立って荷馬車を襲うってのは……。

 

 もしや金品目当とか?

 いや、まさかぁ……。

 

 俺も考え始めた、その矢先――

 

「ワオォーン!」

 

「オラオラー! コボルト盗賊団のお出ましじゃー!」

 

「パラリラパラリラー! 身包み全部置いてきやがれー!」

 

 ――噂をすればなんとやら。

 

 草木の陰から、剣や槍で武装したコボルトたちが飛び出した。

 

「ワンワンワン! バッキャローコノヤロー!」

 

「コノヤローテメー! 舐めんじゃねーぞコラー!」

 

 ――その数、総勢10体。

 

 身長約1メートル前後、

 モフモフの茶毛に包まれた身体、

 二足歩行で移動し、手には肉球付きの指と爪、

 

 そんな小柄なコボルトたちが、目の前の道を塞いだ。

 

「パーパパパー! 俺たちゃ泣く子も黙るコボルト盗賊団~!」

 

「地元じゃ敵なし喧嘩は無敵~!」

 

「荷馬車狩りじゃー! 死にたくなけりゃ、おひねりちゃん出せやコラー!」

 

 

「「「…………」」」

 

 

 コボルト盗賊団にエンカウントした俺たちは、思わず言葉を失った。

 

 何故かって?

 そりゃイメージと乖離があったから。

 しかも相当な。

 

 盗賊団と聞けば、危険でデンジャーでデンジャラスな奴らが連想される。

 

 ヒャッハー!みたいな、

 40秒で支度しな!みたいな、

 それは紛れもなく奴さ~♪みたいな、

 

 いや、なんか色々ごっちゃになってるかもしれんが。

 

 で、目の前のコイツらはというと。

 

 ――かわいい。

 モフモフしている。

 しかも小さい。

 

 凶器を持っていても、怖さは皆無。

 なんならマスコットみたいで愛くるしいまである。

 

 しかも言ってることはアレかな?

 暴走族かな?

 しかも昭和の。

 

 なんかもう小物要素が渋滞を起こしていて、かわいさに拍車がかかってしまっている。

 

 ……ま、ウチのスピカの方がかわいいけどな!

 

「え、えっと……あなたたちが商人を襲っている盗賊団なのですか……?」

 

「そうだぞ女~! お前美人だな~!」

 

「メガネが似合ってるぞ~!」

 

「三つ編みがキューティクル~! ワオーン!」

 

「ま、まあ!」

 

 唐突に褒められて頬を赤らめるソリン。

 

 もう完全に緊張感ないなったわ。

 

「ソリン、俺たち敵同士だから……」

 

「は! そ、そうでした!」

 

 我に返った彼女は、コボルト盗賊団に向けてビシッ!と指を突きつける。

 

「あなたたちですね、この街道で荷馬車を襲っているのは! どうしてそんなことをするんですか!?」

 

「ワンワン! お前らにゃ関係ないねー!」

 

「さあ親分(・・)! 今日もやっちまってくだせえ!」

 

 コボルト盗賊団の一体が叫ぶ。

 

 すると――三つの首を持つ巨大な狼が姿を現した。





次話は23:00に予約済みです。

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