モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~   作:メソポ・たみあ

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第29話 俺はお世話係だ

 

「きゅーん!」

 

「ブオォォンッ!!!」

 

「きゅ……うぅ……」

 

 ロゼの肩に乗り、アース・ドラゴンに向かって威嚇するスピカ。

 

 だがそれは赤ちゃんが中高生に喧嘩を売るようなもの。

 

 あっという間に気圧されてしまう。

 

 うぅ……可哀想なスピカ……!

 

 キミが成長すれば、絶対アース・ドラゴンなんかに負けないのに……!

 

 お父さん悔しい……!

 

「んん~……? その貧相な生き物は……ドラゴンか?」

 

 怯えるスピカを見て、鼻で笑うマシュー。

 

「お主、今貧相と申したか?」

 

 聞き捨てならぬ言葉であった。

 

 必ずやこの怨敵を討ち取らねばならぬと決意した。 

 

 今この場にて、口は災いの元だと思い知らせて――

 

「ノ、ノエルさん、落ち着いて……!」

 

「――はっ!? ごめんごめん……」

 

 ソリンが俺の正気を取り戻してくれる。

 

 危なかった、危うく刀もないのに斬りかかってしまうところだった……。

 

 でも人ん家の子を貧相呼ばわりとか、マジ許せんよなぁ!?

 

 今のマシューの発言にはロゼもカチンときた様子で、

 

「だ、だったらなによ! この子は――」

 

「はっ、そうかそうか! それが眷属だと言い張って、俺を騙そうって魂胆だろう?」

 

 そう言うと、マシューは俺を指差す。

 

「だが残念だったな。そのホワイト・ドラゴンの飼い主が、そこにいる田舎者だということは知っている」

 

「学園で散々噂になってるからな!」

 

「マシュー様を騙そうたって無駄だぜ!」

 

 威勢よく話に加勢するシュガー&ソルト。

 相変わらずウザイなこいつら。

 

 ――でも、そういえばデイヴィス学園長も言っていた。

 

 ”ホワイト・ドラゴンの赤子を連れ回してる新入生”が噂になってるって。

 

 ああマジかよ、まいったな……。

 

 それを知られてなければ、この場限りでも適当な言い逃れができたかもしれないのに……!

 

 マシューはロゼへと近づき、

 

「……そう怖がるな。お前のことはちゃんと正妻なりの扱いをしてやる。――利用価値のある間は、な」

 

「っ、バカにして……ッ!」

 

 あまりにも人をコケにした物言いに、激しく憤るロゼ。

 

 彼の言ってることは、アリッサム家の全権を奪ったら放逐してやるぞ、ということだ。

 

 残念なことに、貴族という家柄はそれが不可能ではない。

 

 適当な言い分で離婚でも婚約破棄でもできてしまうのだ。

 

 そして……本当にマシューが竜騎士となったのであれば、もはや選択の余地はない。

 

 アリッサム家の家督は彼のものとなるだろう。

 

 

 ――それでいいのか?

 

 

 俺は、このまま見ているしかできないのか?

 

 ロゼを悲しませたままでいいのか?

 

 彼女が不幸になる未来を、黙って見届けるのか?

 

 俺は所詮辺境の貴族。

 ヴェルドーネ家の嫡男を止められる立場じゃない。

 

 だけど――それでも――

 

 考える。

 この状況を打開する術を。

 

 ロゼをバッドエンドで終わらせない方法を。

 

 その時――

 

「きゅーん」

 

「! スピカ……?」

 

 不意にスピカと目が合った。

 

 瞬間――彼女がなにを伝えようとしたのか理解する。

 

 そうか――そうだよな。

 

 ロゼはキミにとっても、大事なお姉ちゃんなんだもんな――!

 

「……おい、待てよ」

 

「ん?」

 

「そのホワイト・ドラゴンは、ロゼ様の眷属(・・)だぞ」

 

「……は? 貴様なにを――」

 

「いいか、俺は――ロゼ様の眷属(ドラゴン)の"お世話係”だッ!!!」

 

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