モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~ 作:メソポ・たみあ
「ちょっとノエル! どういうつもり!?」
「え、なにが?」
「さっきのアレよ! どうしてスピカちゃんを私の眷属だなんて……!」
ロゼは激しく詰め寄ってくる。
まあそりゃ怒るよね~。
覚悟はしてました。
――マシューに決闘を挑まれたロゼ。
決闘の内容は互いに
場所は学園の大決闘場。
『フォルシティ魔導学園』は大勢の貴族が通うため、驚くべきことにマジで決闘場があるんだよな。
話し合いで決まらなかったらレッツ決闘!ってのはどの世界も同じってことらしい。
決闘の日時は一週間後。
そこで「大勢の観客の前で跪かせ、俺こそがアリッサム家に相応しいと示してやる、フハハハ!」とマシューは言っていた。
相変わらずの小者ムーブだよなぁ。
ある意味期待を裏切らないというか……。
――と言っても、別に俺たちに勝ちフラグが立ってるワケでもないんだけど。
まあそんなこんなで俺たちはマシューと別れ、庭園でソリンが作ってきてくれた昼食を頬張っていた。
あ、このサンドイッチ美味しい。
「だけどさ、ああ言っておかなきゃアリッサム家をマシューに乗っ取られてただろ?」
「そ、それは……!」
「スピカと心が通じたんだよ、ロゼを助けたいって」
「きゅーん!」
うん、私がお姉ちゃんの力になる!
とロゼの周りをパタパタと飛ぶスピカ。
そう、俺の背中を押してくれたのは他ならぬスピカなのだ。
本気でロゼを助けたいという彼女の気持ちを、俺は汲んだに過ぎない。
「……ロゼはさ、俺たちを巻き込みたくなかったんだろ?」
「――っ!」
「キミはマシューが眷属を手に入れたことを知ってたはずだ。にもかかわらず、スピカを自分の眷属にしたいと一度も言わなかった」
「だ、だって……」
「葛藤してたんじゃないか? 俺からスピカを奪う真似はしたくないけど、眷属を探す猶予はもうない。でもマシューにアリッサム家を奪われるワケにもいかない。一体どうしたら――って」
ロゼはいい奴だ。
だからなにも言わず、相談もせず、笑顔でスピカと遊んでくれていた。
このままじゃ自分が破滅するとわかっていても。
ただ俺とスピカを、アリッサム家の跡目争いに巻き込みたくないがために。
本当、流石はメインヒロインの風格だよ。
そんな姿見せられちゃったらさあ、助けないワケにいかないじゃん?
っていうか力になれそうなの、俺たちしかいないし。
それにたぶん……ロゼが眷属を作れないのは、ダンプリと同じようにマシューが陰で妨害工作をしてるからだろう。
アリッサム家がドラゴンの卵を入手できないよう、アレコレ手回ししてるはず。
それも、なんとかしないとだな。
いずれにしても放ってはおけない。
やれやれ……本当、主人公は今頃どこでなにしてるのやら。
いつか俺の前に現れたら文句言ってやる。
これお前の仕事やろがい!って。
「俺とスピカが一緒に決めたことだ。ロゼを助けるって。だから一人で抱え込まないでくれ」
「きゅーん♪」
そうだよ、お姉ちゃん!
とロゼに頬擦りするスピカ。
うふふ、お前は本当に優しい子だねぇ。
お父ちゃん嬉しい。
「それに眷属と言っても主従関係を結ぶだけだし、複数ドラゴンを従えても構わないんだろ?」
「それは、まあ……」
「キミにちゃんとした相棒ができたら、その時はスピカを返してもらうさ」
「……後悔しても知らないから」
「やらない後悔よりなんとやら、ってね」
「……ハァ、相変わらず能天気な奴。でも――本当にありがとう」
「どういたしまして。ほら、早く食べないとサンドイッチなくなるよ」
「そうですよ、ロゼさん。元気を出して、一緒に食べましょう?」
「きゅーん♪」
「あなたたち……。そうね、それじゃ頂きます」
ロゼはサンドイッチを一つ口に頬張る。
その瞬間、少しだけ彼女の顔が綻んだように見えた。
「――でも現実的な話、どうするつもりよ」
「どうって?」
「決闘。マシューの剣の腕はともかく、眷属は成長したアース・ドラゴンなのよ? 今のスピカちゃんじゃ騎乗もできないし、勝ち目が――」
「策はある」
「……え?」
「一か八かだけどね。スピカ、今日から決闘に向けて――強化週間を始めるよ」
「きゅきゅーん!」
やってやるもんね!
とサンドイッチを食べながら、彼女は意気込むのだった。