モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~ 作:メソポ・たみあ
――そんなワケでやってまいりました、『トロイデ火山』。
読んで字の如く灼熱の火山ダンジョンであり、グツグツと煮え滾る溶岩がそこら中で溢れ返っている。
もう雰囲気からして危険地帯。
と言ってもここは火山ダンジョンの中で一番学園に近くて、あくまで初級レベルの場所なんだけど。
「暑っっっつ……」
「きゅーん……」
さっそく猛暑にやられそうな俺とスピカ。
しんどい。
まるでサウナにでも入ってる気分だよ。
あ~整う整う……(強がり)。
「熱中症になっちゃいますよぉ……。皆さん水分補給をお忘れなく……」
「ねぇノエル……こんな場所で一体なにをするつもりなの……?」
ソリンやロゼも汗を流しつつ、俺に追従してくれる。
俺は額の汗を拭いつつ、
「ああ、ここにリポップする”あるアイテム”を探しにね」
「アイテム? モンスターを倒して経験値を稼ぐんじゃなくて?」
「それもある。でも一週間だけじゃ、アース・ドラゴンのレベルを超えるのはムリだ。だから――」
会話する俺の視界に、お目当てのアイテムが映る。
「あった、”バクダンザクロ”だ!」
ダンジョンの片隅に自生する真っ赤なフルーツ。
これを探してたんだ。
そんな”バクダンザクロ”を興味深そうに見たソリンは、
「この果物は……確か〔炎〕属性の強化に使われるアイテムですよね」
「おお、流石は薬師。よく知ってるね」
「バフアイテムの調合に度々使ったりする物なので。でもこれをお探しだったいうことは……」
「うん、決闘に向けてスピカの〔炎〕属性を重点的に強化する」
――ダンプリ世界の生物は、誰しもが先天属性を持って生まれる。
〔炎〕〔水〕〔風〕〔土〕〔光〕〔闇〕――このいずれかの。
そしてこの属性には相性が存在するのだ。
〔炎〕は〔水〕に弱く、
〔水〕は〔風〕に弱く、
〔風〕は〔土〕に弱く、
そして――〔土〕は〔炎〕に弱い。
〔光〕と〔闇〕は互いに有利でもあり不利でもあるという特殊な立場なので、今は一旦置いておこう。
スピカの先天属性は〔光〕だが、幸いにも〔炎〕属性の技も得意としている。
アース・ドラゴンは、この〔炎〕の技が弱点なのだ。
レベルやステータスで勝てずとも、この属性相性を意識して戦えば勝機はある。
……というか、格上を倒す正攻法はこれしかない。
でなきゃ、赤ちゃんのスピカが中高生のアース・ドラゴンに勝つなんて無茶だって!
虐待ですよ虐待!?
ドラゴン愛護団体に訴えてやるけんのう!
……なんて叫んでも仕方ない。
俺は自生していた”バクダンザクロ”を採取すると、スピカへと差し出す。
「さあ、スピカ。お食べ」
「きゅーん♪」
美味しそう!
とムシャムシャと頬張るスピカ。
ピコン!
〔〔炎属性の経験値を取得〕〕
彼女の頭上にアイコンが表示される。
うーむ、流石に一個でレベルアップはしてくれないか。
でも概ね思った通り。
この調子で”バクダンザクロ”を食べて〔炎〕属性を強化し、モンスターも倒して少しずつレベルも上げていく。
……彼女にとってはつらい一週間になるかもだけど――
「一緒に頑張ろうな、スピカ」
「きゅーん!」