モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~   作:メソポ・たみあ

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第33話 強化週間・一日目

 

 やることはシンプルだった。

 

 ”バクダンザクロ”を食べ、

 モンスターを倒し、

 ”バクダンザクロ”を食べ、

 モンスターを倒す。

 

 これを繰り返す。

 

 〔炎〕属性をできるだけ効率よく強化しつつ、少しでもレベルを上げていく。

 

 人間で言うところの筋トレと一緒だ。

 

 ボディビルダーが筋肉を大きくするためにハードトレーニングを行い、一日五回とか十回とか食事を摂取する。

 

 これをスピカは一週間行うのである。

 

 とは言っても、彼女の身体はまだ幼年期。

 

 成熟期ほど体力(スタミナ)の限界値は高くない。

 

 あまりに無茶をすれば体調を崩してしまうことは必須。

 

 だから調教師(テイマー)である俺が絶えず体調を管理。

 

 薬師であるソリンにも協力してもらって、疲労回復薬などの薬を調合してもらう。

 

 ロゼはひたすらスピカと一緒にモンスターと戦ってもらい、両者の息を合わせていく。

 

 もっともスピカの経験値を奪ってはならないので、あくまでサポートに徹する形ではあるが。

 

 そうして”スピカの〔炎〕属性強化週間”が始まり――今日が一日目。

 

「スピカちゃん、行ったわよ!」

 

「きゅーん!」

 

 『トロイデ火山』に出現するモンスター、バジリスク。

 

 このダンジョンに生息するバジリスクは所詮大きな岩トカゲだが、今のスピカの相手にはもってこいだ。

 

「シュルル!」

 

 ロゼに追い立てられたバジリスクは、スピカの射程に入る。

 

「ぐるるる……ぎゅーん!」

 

 ピゴーッ!と〔ファイヤ・ブレス〕を発射。

 そして見事に直撃。

 

「フシュルゥ……!」

 

 バジリスクの先天属性は〔土〕なので、〔ファイヤ・ブレス〕は効果抜群。

 

 一撃でバジリスクを倒してしまった。 

 

「やったわね、スピカちゃん! それじゃ、はい。これ食べて」

 

「きゅーん♪」

 

 ”バクダンザクロ”を取りだし、スピカに食べさせるロゼ。

 

 なんとも仲睦まじく、美しい光景だ。

 尊い……。

 

「お疲れ様です、お二人共。さあスピカちゃん、お身体ふきふきしましょうね~♪」

 

「きゅーん♡」

 

 泥で汚れたスピカの身体をタオルで拭いてくれるソリン。

 

 サポートの体勢も万全。

 極上この上ない。

 

 ロゼもソリンもどちらかというと世話焼きな性格だから、スピカも助かっていることだろう。

 

 まあ問題があるとすれば……サポートが厚過ぎて、俺の陰が薄くなるってことかな。

 

「……ところでノエル、あなたさっきからなにしてるのよ」

 

「感謝の正拳突き」

 

 スピカの体調には気を配るが、いざ戦闘が始まれば俺にできることは多くない。

 

 なにせロゼがついてるワケだから。

 

 己の肉体とやることに限界を感じ、

 悩みに悩み抜いた結果、

 俺がたどり着いた結果(さき)は、

 感謝であった。

 

 健やかに育ってくれているスピカへの限りなく大きな恩。

 

 自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが、

 

 一戦闘一万回、感謝の正拳突き!!!

 

「スピカへの愛を以てすれば、いずれ音を置き去りすることも……! あっ、腕攣った……ッ!」

 

「ねえノエル、私時々思うんだけど……あなたって本当にどうしようもない親バカよね」

 

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