モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~ 作:メソポ・たみあ
なんということでしょう。
モブの俺、主人公たちと同じ学園に通うことになりました。
『フォルシティ魔導学園』。
ダンプリの物語の舞台。
巨大な学園都市。
主人公たちが三年間を過ごす場所。
そこはあらゆる魔法や技能を学べる。
攻撃、回復、支援、錬金……。
剣術、槍術、弓術……。
コミュ力やリーダーシップなんかも。
そして勿論、"モンスター育成"もだ。
ここでの授業や体験を通して、主人公は能力値を上げていくシステム。
ダンプリのコンテンツが集約される場所。
それが『フォルシティ魔導学園』。
しかし意外だよ。
俺はてっきり、辺境でドラゴンを愛でながら一生を終えるモノと思ってたのに。
――まあいいか!
もう一度あの三年間を楽しめるなら悪くない!
モブとして、だけどな!
そんなこんなで――
「おお……これが生で見る学園かぁ……!」
馬車に揺られ、『フォルシティ魔導学園』の正門を越える。
手にはケースに収められた”ドラゴンの卵”を抱えて。
いやしかし、こうして見るとデカいな。
学園都市って言われるのは伊達じゃない。
北海道よりでっかいどう、なんつって?
……ごめん、嘘。
流石にそこまでデカくない。
馬車は絢爛な学生寮に到着。
ドアを開けて降りると、謎の魔法生物が出迎えてくれる。
『お待ちしておりました! ノエル・リントヴルム様ですね?』
まん丸の身体にケモ耳。
しかもふよふよと宙に浮く魔法生物。
あ、こいつ見たことある。
チュートリアルで主人公が最初に出会う生き物だ。
なんか懐かしい気分。
「うん、俺がノエルだ。今日からよろしくね」
『こちらこそ! ではお部屋にご案内します!』
荷物と”ドラゴンの卵”を抱え、魔法生物について行く。
廊下をしばらく歩くと、
『ここがノエル様のお部屋でございます!』
とある一室に案内される。
その中は――ダンプリで見た主人公の部屋とそっくり。
そりゃそうだ。
デザインの同じ学生寮なんだから。
でもこの雰囲気……落ち着くわぁ。
『ご夕食は七時からです! ご用があればお呼びください!』
颯爽と去っていく魔法生物。
とりあえず荷物を置く俺。
ケースから”ドラゴンの卵”も取り出し、日当たりのいい窓の傍に置く。
「ん、ここでいいかな」
タオルも取り出して、卵を拭いてあげる。
温度も適温。
ヒビもない。
「早く生まれてくるんだぞ? 待ってるんだから」
卵に向かって呼びかける。
早く顔を見せておくれ、と。
すると――
ピシッ
「え?」
ヒビが、入った。
ピシッピシピシッ
「――! マジか!?」
来た!
ついに来た!
この瞬間が!
“ドラゴンの卵”に次々とヒビが入っていく。
そして遂に――
ピシッ――パキン!
「きゅーん!」
卵の殻を突き破り――ドラゴンが現れた。
白色の鱗。
後ろにちょんと伸びる二本の角。
短いながらも立派な翼。
先端が僅かに膨らんだ尻尾。
そして――額に浮かぶ特徴的な☆マーク。
この子、まさか……!
「ス、〈ステータス〉!」
確認のため画面を開く。
そこには、
==========
名前:???
種族:ホワイト・ドラゴン
性別:
年齢:0歳
レベル:1
体力:25
攻撃力:10
防御力:5
素早さ:15
知能:20
属性レベル
〔炎〕Lv:1
〔水〕Lv:0
〔風〕Lv:0
〔土〕Lv:0
〔光〕Lv:1
〔闇〕Lv:0
親密度:0
魅力:30
性格:甘えたがり
==========
――やっぱり、ホワイト・ドラゴン!
ダンプリに出てくる竜の中でも上位種族じゃないか!
俺は歓喜に震える。
ホワイト・ドラゴンは非常にレアな存在。
卵を入手するだけで数十時間、
ステ調整しながら育てるのに数百時間、
理論上の最高性能にするには数千時間――
なんてネットで言われるほど、入手も育成も大変な個体。
その流線的な姿からプレイヤーからの支持も抜群。
同じ上位種族のブラック・ドラゴンと人気を二分していた。
俺はかつてホワイト・ドラゴンを入手できずブラック・ドラゴンを育てていたから、これは嬉しい。
「きゅーん?」
生まれたばかりの彼女は、不思議そうにこちらを見つめる。
幾らゲームで見慣れたとはいえ、竜は竜。
間近で見ると迫力あるな……。
「え、えーと、おはよう……?」
「きゅーん!」
パタパタと翼を動かし、彼女は俺の周りを飛行する。
俺を親だと認識してくれたようだ。
「アハハ、もう飛べるんだ! 凄いな!」
「きゅきゅーん!」
手を差し出すと、ちょんと手の平に着地。
まだ手の平サイズってのがかわいいなぁ。
「そうだ、名前をあげなきゃだよな」
「きゅーん?」
「幾つか候補はあったんだけど、キミの☆を見て決めたよ」
彼女の額に浮かぶ☆マーク。
それを人差し指で撫でつつ、俺は言う。
「キミの名前は――”スピカ”だ」