モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~ 作:メソポ・たみあ
「ブオ……オォ……!」
スピカが放った渾身の一撃。
それはアース・ドラゴンの硬い鱗すらも燃やし、大ダメージを与えた。
彼の巨体は炎に包まれたままぶっ飛び、決闘場の壁に激突。
凹のクレーターを作って砂煙をぶちまけた。
『あ……あああああっとおおおおお――ッ! スピカ選手の必殺技が、アース・ドラゴン選手に直撃いいぃぃ――ッ! まさしくジャイアント・キリング! 予想だにしない展開だあああぁぁぁ――ッ!!!』
「「「ウオオオオオォォォォォ――ッッッ!!!」」」
会場から歓声が吹き上がる。
その場にいた誰もが、スピカが魅せた決定打に狂喜乱舞した。
しかし、
『……さて、どうかのう』
『え?』
『ほれ、見てみぃ』
デイヴィス学園長が落ち着き払った声で言う。
そんな彼の視線の先には――
「ブオォ……!」
満身創痍になりながらも、四つ足で必死に身体を支えるアース・ドラゴンの姿があった。
「あいつ……まだ動けるのか!?」
まさに驚異的な耐久力。
流石はドラゴン。
そう言う他ない。
アース・ドラゴンは尚もスピカを睨み付け、未だ戦う姿勢を見せ付ける。
けれど――
「ブオ……ォォ……」
遂に力尽き――ズダーン!とその場に倒れた。
『アッ、アース・ドラゴン選手ダウ――ン! これでドラゴン同士の戦いは決着だあああぁぁぁッ!』
「なッ……なんだとぉ!?」
マシューが唖然とする。
まるで天変地異でも目撃したような表情で。
「おい、ふざけるな! さっさと立て、この役立たずがッ!」
「決闘の最中に余所見なんて、いい度胸じゃない」
「がぁ――ッ!?」
ロゼの剣がマシューの懐に滑り込み、斬り傷を負わせる。
激しく動揺したマシューは防御の精彩を欠いてしまい、彼女の剣を防ぎ切れない。
「こ、こんなのイカサマだ! 審議、審議を要求する!」
『えー、マシュー選手が審議を求めておりますが……どうしましょうか、解説のお二方?』
『ならん。ワシの目の下に疑惑はなかった。審議は認めん』
『おおう、ベイベー……見苦しい真似はよすんだな……』
『というワケで審議拒否です! 決闘は続行されます!』
「「「イエエエェェッッッ!!!」」」
フロア熱狂。
じゃなかった会場熱狂。
っていうか解説がレフェリーも兼ねてるんだ……。
いやまあ学園長がやってくれるなら誰も文句ないだろうけど。
「お、横暴だ! 俺はヴェルドーネ家の嫡男だぞ!? こんなことして許されると――!」
「思ってるけど」
――ロゼが、マシューの剣を弾き飛ばした。
同時に、刃の切っ先を彼の喉元に突き付ける。
「ぐ……う……っ」
「――まだ悪あがきするなら、本当にヴェルドーネ家の名に泥を塗るわよ」
もはやマシューに打つ手なし。
誰の目にもそれが明らかになった時、
『はい、勝負あり』
デイヴィス学園長が判定を下した。
『この決闘、ロゼ&スピカ組の勝利じゃ』
『おおう、ベイベー……文句なし、あっぱれだぜ……』
『け――――決闘終了おおおおおぉぉぉぉぉ――ッッッ!!! マシュー&アース・ドラゴン組の敗北! 勝者はロゼ&スピカ組いいいぃぃぃッッッ!!!』
実況のミスミが宣言した瞬間――決闘場は、この日一番の盛り上がりを見せたのであった。