モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~   作:メソポ・たみあ

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第41話 お前の罪を数えろ

 

「――クソッ、クソッ! 全部お前のせいだッ!」

 

 決闘が終わった後――マシューはぐったりと横たわるアース・ドラゴンに蹴りを入れていた。

 

 固く鱗を持つ頭を、何度も踏みつける。

 

「この役立たずの無能め! お前が負けさえしなければ、俺はアリッサム家を乗っ取れてたんだぞ!? わかってんのか!? どう責任とんだよ、このクソトカゲがッ!」

 

「ブオォ……」

 

 主人の罵声に対し、抵抗するでもなく痛々しい鳴き声を上げるアース・ドラゴン。

 

 そんな中――俺はマシューの肩を掴んだ。

 

「やめろ」

 

「ああ――!?」

 

「やめろと言った。お前なんかに、正々堂々スピカと戦ってくれた彼を侮辱する権利なんてない」

 

「はっ、権利だぁ!? 貴族様に飼われてる下等生物如きに、そんなものあるワケないだろうが!」

 

「……」

 

 俺は拳をギュッと握り締める。

 

 許せなかった。

 自分の相棒を下等生物と罵るこいつの神経、それ自体が。

 

 思わず殴りかかってしまいそうな気持ちを、どうにか堪える。

 

「ふ、なんだ? 俺を殴るか? ムリだよなぁ、辺境のゴミクズ貴族のお前が俺に手を出せばどうなるか――」

 

「ああ、だからその代わりを今考えてるんだ」

 

「え?」

 

「流石に手は出せないけど、ウチの子(スピカ)をコケにしたお前だけは許さん。断じて許さん。絶対に許さん。地の果てまで追い詰めて、生まれてきたことを後悔させてやる。泣いて謝っても許してもらえない恐ろしさがどんなものか、骨の髄まで思い知らせてやる」

 

「ん、んな……!」

 

「そのために、殴るよりずっと効果的な方法を大体百通りくらい考えてたんだけど……どれがいいかな?」

 

「ひ、ひえ……っ!?」

 

 急に怯え始めるマシュー。

 

 なんだよ、そんなに怖がるなって。

 

 スピカをコケにしたお前が悪いんだからさ、ハハハ。

 

 さあ、お前の罪を数えろ。

 

「……その必要はないぞい」

 

「! デイヴィス学園長!」

 

 そんな会話をしていると、俺たちの下にデイヴィス学園長がやって来る。

 

 彼はアース・ドラゴンに近付くと、

 

「〔カース・リシジョン〕」

 

 手にしていた杖で、アース・ドラゴンの頭をコツンと叩いた。

 

「ブオ……ゲロっ」

 

 すると――アース・ドラゴンの口から、紫色の球体が吐き出される。

 

「うむ、やっぱりのう」

 

「……あれ? これって――!」

 

「”呪操珠”という呪いの装備じゃよ。人やモンスターに身につけさせると、思うがままに操れるようになるのじゃ」

 

 確かダンプリで見たことある。

 

 メインストーリーイベントの一つで、このアイテムに操られたモンスターを主人公たちが倒すんだよな。

 

 最終的にモンスターは黒幕に操られてるだけだと判明して、主人公がその黒幕を倒して終了。

 

 割と胸糞イベントだったからよく覚えてる。

 

 デイヴィス学園長は杖に魔力を込め、”呪操珠”を叩く。

 

 同時に珠はパキンッと割れ、二度と使い物にならなくなった。

 

「……さぞ苦しかったじゃろうて。さあ、もうお行き」

 

「ブオォ」

 

 呪いから解放されたアース・ドラゴンは翼をはためかせ、空の彼方へと飛び去っていく。

 

 その瞳は、とても喜んでいたように見えた。

 

「……さて」

 

 クルリ、とデイヴィス学園長は首を回してマシューの方を向く。

 

「う――っ!?」

 

「おかしいのう~。”呪操珠”は装備者に不要な苦痛を与えるとして、このワシが直々に学園での扱いを禁止にしたアイテムなんじゃがのう~」

 

「そ、それは……!」

 

「妙だと思っておったんじゃよな~。どうしてあの子が、ドラゴンを愛でる心を持つロゼ・アリッサムではなく、お主のような者に付き従うのか……。此度の決闘で確信を持ったが、このザマじゃ」

 

 すごいニコニコとした笑顔でマシューに近づいていくデイヴィス学園長。

 

 でも、ハッキリとわかる。

 

 めっっっっっちゃめちゃ怒ってるよ。

 

「ワシ、昔ドラゴンの盟友がおってのう。こう見えてもドラゴン贔屓なのじゃよ」

 

「う……あ……う……っ!」

 

「とはいえワシも学園長じゃし? 一兆億歩譲ってドラゴンを無下に扱ったのは大目に見るとしても、”呪操珠”を使ってたのはイカンな~。ヴェルドーネ家にも色々お話聞かんとな~」

 

 これまで見たことないレベルで怒ってるよ、デイヴィス学園長。

 

 っていうか、あんたスピカを無碍に扱ったら退学って俺に言ってたじゃん……。

 あれただの脅しだったんか……?

 

 まあたぶん、俺がスピカを大事にすると知った上で念を押しただけだったんだろうけど。

 

 それに――”呪操珠”について確信を持つため、俺やロゼを利用したフシまであるしさぁ。

 

 相手が大貴族で下手に手出しできないから、こうして堂々と調べられるタイミングを見計らってたな?

 

 ホント……食えない爺さんだよ。

 

 彼はマシューの目の前まで近づくと――ニカッと白い歯を覗かせた。

 

「というワケでマシュー・ヴェルドーネよ。校則を破った罰として……お主、退学じゃ♪」

 

 

「う……嘘だああああああああああああああああああああッ!!!」

 

 

 マシューの悲痛な叫びが、決闘場に木霊するのだった。

 

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