モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~ 作:メソポ・たみあ
きっかけは、ただホワイト・ドラゴンと触れ合いたい――それだけだった。
あの白い鱗は珍しいから、触ってみたいなって。
それと――羨ましい、と思って。
ホワイト・ドラゴンを肩に乗せる、その姿が。
アリッサム家の子供として本来あるべき姿が、そこにはあったから。
”ドラゴンの眷属を作って、立派な竜騎士になりなさい――”
耳にタコができるほど聞かされた両親の言葉。
でも今日に至るまで、私は眷属を作れずじまい。
いいな……。
羨ましいな……。
心の底からそう想ったわ。
だから思わず「触ってもいい?」て話しかけたの。
今思い返せばちょっと……いや、だいぶヤバい人だったかもね、私。
だけど――
『大丈夫だよスピカ。彼女は危ない人じゃない』
思い返せば、ノエルは最初から変な奴だった。
初めて会った私を、あいつはどうして信用したんだろう。
まるでずっと前から私を知っていたような、そんな口ぶりだった。
『あんまりよくないんじゃない? 女の子が男の部屋に入り浸るのは』
『ふーん? ノエルは意識してるんだ?』
『世間体を気にしてるだけです』
『私は別に気にならないもの』
――そう、最初は気にしてなかった。
私はスピカちゃんと遊べればそれでよかったから。
強いて言うなら、ノエルは気のいい友達。
ドラゴンが大好きなドラゴンバカ。
そう思ってた――はずなのに、
『だ、だからノエルさんに会いに来たんです! ノエルさんと一緒にいたくて……』
ソリンのあの言葉を聞いた時、胸の奥がモヤモヤした。
最初は「なんでだろう?」って思ったわ。
だけど、
『最後までキミの味方だよ』
……あの時、ようやくハッキリと自覚できたの。
私は――いつの間にかノエルのことが――
「――ロゼ、お待たせ」
「きゅーん!」
私が庭園の椅子に座っていると、ノエルとスピカちゃんがやって来る。
「ごめんごめん、待たせちゃったかな?」
「ううん、全然。スピカちゃんは今日もかわいいわね~♡」
「きゅーん♪」
もう何度目かもわからないやり取り。
――マシューとの決闘から、今日で一週間。
スピカちゃんは決闘の怪我がほぼ癒えて、今日も元気いっぱい。
本当によかった。
ノエルは私と反対側の椅子に座り、
「それでどうなった? ヴェルドーネ家の件は」
「うん、”呪操珠”を学園に持ち込んだことやアリッサム家への妨害工作がバレて、今後五百年は元老院に関われないよう処罰されたわ。当然婚約の話もなし。あと侯爵から伯爵に爵位降格ですって」
――デイヴィス学園長が元老院と協力して、ヴェルドーネ家をあれこれ調査。
その結果、私が眷属を作れなかったのは彼らの妨害工作のせいだったとわかった。
アリッサム家の中でも卵入手やドラゴン捕獲に関与する使用人たちを、多額の金で買収していたらしい。
それを聞いて最初は怒りも湧いたけど、今はなにも感じない。
結局、危険を冒してでもドラゴンを探しに行かなかった私自身、そして唯一の子だからと行かせようとしなかった一族も悪いのだから。
むしろこれから機会が巡ってくるかもしれないと思うと、喜ばしくなる。
両親にはスピカちゃんのことや事の経緯も説明したし、もしかしたら遠くない内にドラゴンの卵を入手できるかもしれない。
とっても楽しみだわ。
ノエルは苦笑し、
「それは可哀想に。マシューも今頃泣いてるだろうな」
「なに言ってるの、お家取り潰しにならなかっただけ温情よ」
「ま、それもそうか。それじゃロゼ、この後昼食を一緒にどう? 決闘を戦い抜いた二人に、改めてご馳走を用意しようと思うんだけど」
「ええ、勿論行くわ。楽しみね~スピカちゃん♪」
「きゅきゅーん♡」
「よし、じゃあさっそく――」
「ねえノエル」
「ん?」
「……私、ね――」
――もし彼と出会っていなかったら、今頃どうなっていたのだろう。
もしあの時声をかけていなかったら、今頃どうなっていたのだろう。
始まりは偶然だったとしても……今は、心の底からこう思えるのだ。
「私……あなたと出会えて、本当によかった」
ピコン!
〔〔ロゼ√のイベントを達成〕〕
〔〔ロゼとの親密度が25上昇〕〕
〔〔ロゼの愛情ランクが”1”になりました〕〕
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第3章はここまでとなります!
次話からは第4章がスタートします。