モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~   作:メソポ・たみあ

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第49話 キミ、この仕事向いてるよ

 

「……あら、今日は逃げ出しませんのね」

 

 ――人気(ひとけ)がなくなった調教場。

 

 そこで木の切り株に座っていると、思った通り彼女がやって来た。

 

 クローディア・ベルメールが。

 

「意気地なしらしく、またすぐに走り去ってしまうかと思ったけれど」

 

 ……ふっ、とんでもねぇ。

 待ってたんだ。

 

「うん、今日はキミとお話しようと思ってね」

 

「きゅーん」

 

 スピカを肩に乗せたまま、俺は立ち上がる。

 

 そして振り向き、彼女の顔を見た。

 

「お話ですって……? なにかしら、ようやく私と婚約を進める気にでもなった?」

 

「まず初めに――すまなかった」

 

「え……?」

 

「全部聞いたよ、ベルメール家のこと。俺知らなかったんだ、キミの一族が没落してたなんて……。だから一番最初会った時、キミに酷いことを言ってしまった」

 

「――――ッ!」

 

 驚くクローディア。

 俺は構わず話を続ける。

 

「だから謝らせてほしい。本当にすまな――」

 

「やめて」

 

 低い声で、彼女は言った。

 

「……なに? 同情のおつもりかしら? この私が没落貴族の負け犬だと知って、憐れにでも思った?」

 

「クローディア……」

 

「ええ、そうですとも。私は婚約者に捨てられた無価値な女ですわ。たった一夜の舞踏会でベルメール家の権威を地に落とした、一族最悪の汚点であり悪女……それがこのクローディア・ベルメールなのですから」

 

「キミが無価値だなんて言うつもりは――」

 

「やめてよッ!!!」

 

 遂に――クローディアはキレた。

 

 激昂した彼女を見たスピカが「きゅーん……」と怯える。

 

「どうせ婚約もしてくれないくせに、無責任なことを言うのはやめて! それに同情も結構よ! ますます惨めになるだけだもの……!」

 

 ――彼女の性格は、傲慢で横柄で自分勝手でワガママだ。

 

 ハッキリ言ってクズである。

 だいぶド畜生である。

 

 だけど……それはプライドの高さの裏返し。

 

 プライドが高く責任感が強いからこそ、一族再興の希望を捨てようとしない。

 

 きっと一族の中からも相当な罵詈雑言があったはずなのに。

 

 もうどこにも味方がいないはずなのに。

 

 それでも、未だに諦めてはいない。

 

 彼女の心は折れていない。

 

 まさに諦めの悪さは一級品ということなのだ。

 

 ――だから向いている(・・・・・)

 

「……キミと婚約はできない。でも――ベルメール家の再興を手助けすることはできるかもしれない」

 

「……え?」

 

「いい方法を思いついたんだ。時間はかかるし"ちょっと大変"だけど、上手くいけばベルメール家が新しい権威を手に入れる切っ掛けになるかもしれない」

 

「う、嘘よ……! そんな都合のいい話があるワケ……!」

 

「そうだね、約束はできない。でも俺は、クローディアならできると思ってる」

 

「…………」

 

「話を聞く気になった?」

 

「……いえ、説得はもう結構ですわ。やります」

 

 彼女は即断した。

 あまりにも潔く。

 

「なんでもいいです。どんな汚れ仕事でも、ベルメール家の権威を取り戻せるなら構いませんわ。それで、私はなにをすればよろしくて?」

 

 ――きっと藁にもすがる思いなのだろう。

 

 こういうところは貴族らしいというか、ある意味大物感あるよな。

 

 で、そんな彼女の返答を聞いた俺は――とてもにこやかに笑った。

 

「……よかったあぁ――! 決断してくれて嬉しいよ! でもクローディアならやってくれると思ってた! うん、ホントマジで!」

 

「は、はぁ……?」

 

「いや実はさ、ずっと同業者(・・・)が欲しいと思ってたんだよな~! それじゃ満を持して、キミにこの決め台詞を送ろう!」

 

 嬉々としてそう叫んで、俺はクローディアを見据える。

 

 そして右腕を掲げ――

 

 

「お前も”ドラゴン調教師(テイマー)”にならないか?」

 

 

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