モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~   作:メソポ・たみあ

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第59話 たまには師匠と呼んでも

 

 ――クローディアによるフレンの育成が始まって、一週間が経過。

 

「フレン、今日も基礎ステータスの強化……特に攻撃力と素早さを上げるトレーニングをしていきますわよ」

 

「きゅわっ!」

 

「まず打ち込み台への攻撃訓練を一時間、休息を挟んでダッシュと飛行練習を一時間。その後で昼食にしましょう。メニューは”ロックバードのチキンサンド”を用意してあります」

 

「きゅわ~っ」

 

「え? もう、しょうがありませんわね。それじゃあ”サイコロりんご”もデザートにつけてあげますから」

 

「きゅわっ♪」

 

 ――今日の予定をフレンに言って聞かせるクローディア。

 

 俺はそんな彼女に、ただ感嘆としていた。

 

 ……たった一週間。

 

 たった一週間で、彼女は俺に頼らずトレーニングメニューを組めるようになってしまった。

 

 最初こそ右も左もわからないといった様子だったのに、今ではフレンの体調やメンタルを考慮できるまでになっている。

 

 驚くべき学習の早さだ。

 

 おそらく――いや間違いなく、夜遅くなどの空いた時間にトレーニングを見直し、座学を頭に叩き込んでる。

 

 ひょっとしたら碌に睡眠を取っていないのかもな。

 

 それもベルメール家を想う精神力の成せる技、か……。

 

 モンスターと一緒に休むことも調教師(テイマー)の仕事だって伝えてあるのに……。

 

 今日のトレーニングが終わったら、もう一度ちゃんと言っておこう。

 

 ……にしても、彼女は自分のことを「文武両道の才女」だなんて言っていたが――あながち間違いでもないかもな。

 

「――このような感じで進めようと思うのですけれど、如何かしら。ノエル師匠(・・)?」

 

「ん? ああ、いいと思――って、師匠?」

 

「な、なによ……あなたは私の先生なのですから、たまにはそう呼んでもいいでしょう?」

 

「あ、うん…………ふふっ」

 

「どうして笑うんですか! な、なんだか恥ずかしくなってしまうでしょう!?」

 

「いや、ごめん。なんだかさ――」

 

 ――改めて、想像もできなかったなって。

 

 あのダンプリの悪役令嬢から、師匠と呼ばれる日がくるなんて。

 

 モニターの前でダンプリをプレイしていた頃の俺に「将来クローディアはお前の弟子になるんやで」なんて言っても、絶対信じなかっただろう。

 

 本当に、この世界に生まれてから不思議なことばかりだ――。

 

「そうだね、メニューは凄くいいと思う。ただフレンの様子を見つつ、インターバルのスパンは都度調整していっても――」

 

 俺は彼女とメニューに関する擦り合わせを始めようとする。

 

 しかし――その時、

 

「! きゅーん!」

 

 俺の肩の上で、スピカが急に鳴き声を上げた。

 

 まるで――威嚇をするように。

 

 

「クスクス……見て? 没落貴族の負け犬が調教師(テイマー)を始めたという噂は、本当みたいよ?」

 

「そのようだ。まったく薄汚い……婚約を破棄して正解であったな」

 

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