モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~   作:メソポ・たみあ

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第60話 手を引きたまえ

 

「……ッ! あなたたち……!」

 

 その二人を見た瞬間、クローディアはブワッと沸騰するかのように怒りの形相を見せる。

 

 ――現れたのは、一組の男女。

 

 男の方はやや長めの金髪で背が高く、端正な顔つき。

 まさに貴族紳士といった風貌だ。

 

 女の方は赤毛のデコ出しヘアーで、美人だが実に生意気な目つきをしている。

 

 おそらく恋人同士……だよな。

 

 これ見よがしに腕を組んでベタベタとしているから、すぐにわかる。

 

「……なんだ、あんたら?」

 

「はあ? 口の利き方に気を付けなさいよ。ディルク様のことを知らないなんて、これだから垢臭い調教師(テイマー)は……」

 

カッチーン

 

 お? お主垢臭いと申したか?

 ワシら調教師(テイマー)を不潔と申したか?

 

 面白い奴だな、気に入った。

 

 今すぐ○してやる。

 

「こらこらアルベナ、彼は今噂の”ロゼ・アリッサムの眷属の世話係”だぞ? 薄汚いとはいえ、あまり失礼を言ってやるな」

 

「知らない。ディルク様以外の殿方なんて眼中にありませんもの! きゃっ、言っちゃった♪」

 

「ハハハ、こいつめ」

 

「……」

 

 ――うっっっっっざ。

 

 なんだろう、スーパーウザい。

 

 こんなにウザいイチャつき方をする男女、生で見るの初めてだわ。

 

 俺もスピカに似たような態度取ってるかもしれんが、いざ人同士で見せつけられると果てしなくウザいな。

 

 普通に殺意湧くレベルだろ。

 

「失礼、私の名前はディルク・フェルスト。公爵貴族フェルスト家の嫡男だ。こちらの淑女は大陸の大店(おおだな)ビュッセル商会のご令嬢、アルベナ・ビュッセル」

 

「ふん、覚えて頂かなくて結構よ」

 

 ビュッセル商会――って聞いたことあるな。

 

 ダンプリにも名前が出てきた、この世界の大企業だ。

 

 あらゆる物品を取引していて、大陸中の貴族にも太いパイプを持つらしい。

 

 当然ビュッセル家も超大金持ちで、資金力だけなら大貴族すらも上回るとかなんとか。

 

 で、アルベナっていうこの少女は、そこのご令嬢。

 

 ダンプリに登場した記憶はないが、まあ見ての通りワガママ娘みたいだな。

 

 ――ところで、

 

「ちょっと待て……フェルスト家って……!」

 

 確か――クローディアに婚約破棄を突きつけた奴の家名だ。

 

 俺は流石に驚きを隠せない。

 

 どうしてそんな奴が目の前に――!

 

 突然に現れたディルクたちをクローディアは激しく睨み、

 

「……なんの用よ。あなた方の顔なんて見たくもないのですけれど」

 

「ハッ、私とて貴様のような性悪女になど会いたくあるものか。だが、愛しのアルベナがどうしてもと言うのでな」

 

「ぷくく、ねえどんな気持ち? 大貴族のお嬢様から没落貴族の小娘にまで堕ちて、臭くて汚い調教師(テイマー)なんてやってる気分は?」

 

「……」

 

「アハハ! それそれ、その顔よ! その顔を見に来たの! 凄く笑えるわ!」

 

 言い返すこともできないクローディアを下劣に笑い飛ばすアルベナ。

 

 俺は流石にムカついて、

 

「おい、お前――!」

 

「ノエル・リントヴルムくん」

 

 文句の一つでも言ってやろうとした矢先、ディルクが俺を呼び止めた。

 

「単刀直入に言おう。――その女から手を引きたまえ」

 

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