モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~   作:メソポ・たみあ

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第68話 堂々たれ

 

「と――飛んだ!」

 

 岩の上から颯爽と跳躍するフレン。

 

 彼はパタパタと全力で両腕を振るい、飛行を試みる。

 

「きゅわっ! きゅわぁっ!」

 

パタパタ

 

パタパタ

 

 小さな翼膜が風を切る音。

 懸命に飛ぼうとする音が、絶え間なく彼の両腕から奏でられる。

 

 しかし――

 

「あ……あああぁっ! いけませんわ! 落ちますっ!」

 

「きゅわぁ~~~ッ!」

 

 小さな翼ではまだ十分な揚力が得られず、地面に向かって急降下。

 

「フ、フレン! 大丈夫ですわよ! しっかり受け止めますから!」

 

 その様子を見ていたクローディアは顔面蒼白になってあたふたし、フレンをキャッチしようと腕を掲げる。

 

 ……まあ、気持ちはわかる。

 彼が怪我でもしたら大変だ。

 

 でも、心配はいらない。

 

「――きゅわっ?」

 

「きゅーん♪」

 

 ふわり、とフレンの小さな身体が宙に浮く。

 

 スピカが空中で彼をキャッチ。

 そのままスイスイと空を飛び始めたのだ。

 

「きゅわっ、きゅわっ♪」

 

「きゅきゅーん。きゅーん♡」

 

 とても楽しそうに空中遊泳を漫喫する二人。

 

 ――フレンからしてみれば、スピカと一緒とはいえこれが初めての飛行となる。

 

 風を切って青空を飛ぶ感覚は、さぞ新鮮で気持ちいいことだろう。

 

「…………ほっ」

 

 そんな光景を見て、クローディアは安堵した様子で胸を撫で下ろした。

 

「大丈夫だって言ったろ? なにせスピカが付いてるんだから」

 

「そ、それはそうでしたが……でも不安なものは不安なんです!」

 

「はい、それ」

 

「え?」

 

「俺たちドラゴン調教師(テイマー)は、彼らの前で不安を見せちゃいけないよ。俺たちの抱えた不安は彼らに伝播するんだ」

 

 ――ドラゴンとは感受性の強い生き物。

 

 主人が今どんな気持ちでなにを感じているのか、敏感に察してしまう。

 

 だからこそドラゴン調教師(テイマー)は毅然として、堂々としていなければならないのだ。

 

「俺たちが自信と確信を持って物事に挑めば、ドラゴンは最高の結果をもたらしてくれる。彼らも成功を信じてやってくれるからね。逆もまた然り」

 

「……!」

 

「特に戦闘やトレーニングの時は堂々としてなくちゃ。ちょっとふざける余裕があるくらいで、丁度いいのさ」

 

「……お勉強に、なりますわ」

 

「どういたしまして。クローディアももう少し小粋なジョークを挟めるようになると、フレンを安心させてあげられると思うよ、アハハ!」

 

「でもあなたのジョークは聞いてる側がむしろ不安になりますけれどね」

 

「……ごめん」

 

 そんな鋭い突っ込みに、俺は目を逸らして謝罪するしかなかった。

 

 ううむ、俺渾身のドラゴン調教師(テイマー)ギャグもまだまだということだな……。

 

 もっと精進せねば……。

 

 この後、俺たちは日が暮れるまでフレンの飛行練習に精を出したのだった。

 

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