モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~ 作:メソポ・たみあ
「と――飛んだ!」
岩の上から颯爽と跳躍するフレン。
彼はパタパタと全力で両腕を振るい、飛行を試みる。
「きゅわっ! きゅわぁっ!」
パタパタ
パタパタ
小さな翼膜が風を切る音。
懸命に飛ぼうとする音が、絶え間なく彼の両腕から奏でられる。
しかし――
「あ……あああぁっ! いけませんわ! 落ちますっ!」
「きゅわぁ~~~ッ!」
小さな翼ではまだ十分な揚力が得られず、地面に向かって急降下。
「フ、フレン! 大丈夫ですわよ! しっかり受け止めますから!」
その様子を見ていたクローディアは顔面蒼白になってあたふたし、フレンをキャッチしようと腕を掲げる。
……まあ、気持ちはわかる。
彼が怪我でもしたら大変だ。
でも、心配はいらない。
「――きゅわっ?」
「きゅーん♪」
ふわり、とフレンの小さな身体が宙に浮く。
スピカが空中で彼をキャッチ。
そのままスイスイと空を飛び始めたのだ。
「きゅわっ、きゅわっ♪」
「きゅきゅーん。きゅーん♡」
とても楽しそうに空中遊泳を漫喫する二人。
――フレンからしてみれば、スピカと一緒とはいえこれが初めての飛行となる。
風を切って青空を飛ぶ感覚は、さぞ新鮮で気持ちいいことだろう。
「…………ほっ」
そんな光景を見て、クローディアは安堵した様子で胸を撫で下ろした。
「大丈夫だって言ったろ? なにせスピカが付いてるんだから」
「そ、それはそうでしたが……でも不安なものは不安なんです!」
「はい、それ」
「え?」
「俺たちドラゴン
――ドラゴンとは感受性の強い生き物。
主人が今どんな気持ちでなにを感じているのか、敏感に察してしまう。
だからこそドラゴン
「俺たちが自信と確信を持って物事に挑めば、ドラゴンは最高の結果をもたらしてくれる。彼らも成功を信じてやってくれるからね。逆もまた然り」
「……!」
「特に戦闘やトレーニングの時は堂々としてなくちゃ。ちょっとふざける余裕があるくらいで、丁度いいのさ」
「……お勉強に、なりますわ」
「どういたしまして。クローディアももう少し小粋なジョークを挟めるようになると、フレンを安心させてあげられると思うよ、アハハ!」
「でもあなたのジョークは聞いてる側がむしろ不安になりますけれどね」
「……ごめん」
そんな鋭い突っ込みに、俺は目を逸らして謝罪するしかなかった。
ううむ、俺渾身のドラゴン
もっと精進せねば……。
この後、俺たちは日が暮れるまでフレンの飛行練習に精を出したのだった。