モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~ 作:メソポ・たみあ
「ハァ……ようやく止まってくれたか……」
「きゅーん……」
引きこもりモードになったドラゴン・タートルを前に、俺とスピカは安堵の息を吐いていた。
街に被害こそあったけど、奇跡的なことに負傷者はゼロ。
家屋が数件破壊されただけに留まり、まさに水際での防衛に成功した感じ。
……もしフレンが必死に仲間たちを呼んでくれなかったら、今頃はもっと被害が拡大していただろう。
考えるだけで恐ろしいな……。
それなんてガ○ラだよ……。
いやガメ○は人間の味方だけどさ。
……渋谷を壊滅させたりもしたけども。
で、ドラゴン・タートルを制圧してくれたワイバーンの大軍は未だに空を旋回したり家屋の屋根に留まったりして、警戒を続けてくれている。
そんな中、
「きゅわっ! きゅわーっ!」
大空を舞っていたフレンが、クローディアの下へ戻ってきた。
「フレン、あなた……!」
「きゅわ~っ!」
「…………そうですわね。今はただ、あなたにお礼を言わないと」
クローディアは胸元に降りてくるフレンを抱きかかえ、優しくその頭を撫でてあげる。
「ありがとう、フレン。よくやってくれました。それと……初飛行、お見事でしたわよ」
「きゅわっ!」
ホント? やったあ!
と、とっても嬉しそうに喜ぶフレン。
無邪気に喜ぶ彼の姿は、やっぱりとてもかわいいな。
「ギュワアァ……」
――そんな二人の下に、呼び出されたワイバーンの一体がのそりとやって来る。
完全な成熟期であるため身体は大きく、クローディアを見下ろせてしまうほど。
さらに牙も爪も鋭く、身体中に傷があることから群れのボスと思われる。
「きゅわっ、きゅわっ」
「ギュワ……」
フレンに対して鼻先を近づけ、なにやら意思疎通を図るボスワイバーン。
あれは群れの仲間に行う親愛表現だ。
すると、次は頭を上げてクローディアを見つめた。
「ギュワァ……」
「……あなた方も、ありがとうございました。本当に助かりましたわ。このご恩は忘れません」
「……」
「けれど……どうか
――どうやらクローディアは”フレンがワイバーンの群れに誘われている”と思ったらしく、そんなことを懇願する。
それを聞いたボスワイバーンは、
「ギュワ」
「ふぇ? な、なんですの!? くすぐったいです!」
フレンにやったのと同じように、鼻先でクローディアの顔を撫でる。
「ギュワ、ギュワァ」
「ギュワワ!」
ボスの行動を見た他のワイバーンも、次々とクローディアを鼻先で突っついていく。
彼女はあっという間に囲まれてしまった。
大変な人気者である。
「きゅわっ、きゅわっ♪」
「な、なんですの!? 皆さんどうされてしまったのです!? ア、アハハ! くすぐったいですってば!」
「……皆、クローディアを”群れの仲間”として認めてくれたみたいだよ?」
「え?」
「これはワイバーンが行う親愛表現なんだ。モテモテなみたいでよかったじゃないか」
「か、からかわないでくださいまし! もう、フレンも皆を止めてくださいな!」
「きゅわ~♪」
困り果てるクローディアに対し、最高に上機嫌なフレン。
彼女が同族に認められたのがよほど嬉しいんだろうな。
うんうん、わかるぞぉ。
この光景は尊いもんな……。
正直ちょっと羨ましいまである。
俺も仲間に入れてほしい……。
……空気読めない人みたいになりそうなので、黙って見届けるけど。
――ところで、だ。
「さて……問題はこのドラゴン・タートルをどうするかと――」
あのアホ共にどう落とし前を付けさせるか、だよな。